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第一章「時の扉」

第三話「ツタまみれの研究所」

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キャンディは博士のいると思われる研究所までものすごい速さで走った。息が切れてきた。ただでさえ眠いのに…。
辿り着いたのは四角いコンクリートの建物。手入れをしていないのか、植物のツタが建物にまとわりついている。
こんな密林の中でジージョ博士は何をやっているんだろう?疑問が浮かんだが、まずは博士の生存を確認しなければ。
キャンディは口に手をあてて、
「はーーかーーせーーっ。ジージョ博士ーーっ!いらっしゃいますか~!」
とできる限りの大声で叫んだ。

ーーー

返事はない。心配になったキャンディは、
「勝手に中に入りますよ~?いいですか~?」
また大声で叫んだが返事がないので、博士の許可なく、建物の中に入ってみることにした。

建物の中への一歩目を踏み出してみると、粘液のようなベチャ~っとした液体が足にこびりつくのを感じた。

「え?なにこれ?気持ち悪い」
どうやら建物の内部まで浸食した植物のツタを踏んでしまったらしい。ツタからはドロドロした液体が流れ出ている。

気持ちの整理がついて、なんとかまた歩き出してみる。
ツタの粘液はこびりつきはするが、ずっと付着して靴からはがれないほどのべたつきでは無かったので、なんとか歩き出せた。

最初の部屋は殺風景で、ツタといくつかの机しかなかった。

大体周りを見渡して、建物の内部の様子がなんとなくつかめたときに、キャンディはひっそりと部屋の隅にある、階段を見つけた。

「そうか、博士は二階にいるんだわ、根拠はないけれど、なんかそんな気がする…」
そして彼女は二階に上がろうとしたーーその時っ!

「俺に触るな!やめろぉっ!こっちに来るなっ!!」
確かに博士の肉声が聞こえた。

これはーー?

わたしに対して言っているのか、それとも何者かに襲われているのか…っ、とっさにキャンディは考えた。
そして、万が一のことがあるのでは、と考えて、彼女は、博士を〝助けに〟行くことにした。
階段を一段、一段登る。
ギィィィ…、ギィィィ、と年季の入った音がした。
そして二階に到着ー。

そこにあったものは………!?
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