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第一章「時の扉」
第四話「チェーンソー」
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階段を駆け上がったキャンディ。
そこで目にしたものは。
「え!?ナニコレ?」
キャンディの瞳に映ったモノは、
ツタに巻き付かれたPCと、そのツタとPCにからめとられたジージョ博士の姿だった。
まさに人体とPCと植物の合体風景、といったところか…。
「博士!」
ジージョは相変わらず、
「俺に触るなあっ!やめろお!俺を取り込むなあっ!」
と、何か見えないものと格闘している様子だった。当然、キャンディの言葉は届いていない。
博士を縛り付けるPCの画面には難しいプログラミング言語の羅列がけたたましく自動入力されていた。そしてPCと博士を縛り付ける植物のツタは、相変わらずネチャネチャした粘液をしたたらせていた。
キャンディは気が動転していてはいたが、なるべく冷静にいられるように努めながら、今自分に出来ることを模索していた。
「博士は会話ができない状態。そしてあのコンピューターと植物のツタに巻き付かれて
苦しんでいる。いま私に出来ることは……。」
キャンディは二階の部屋を見渡した。
なるほど、マッドサイエンティストである博士の研究室そのものだ。多数の書物や危険な化学物質の試験官、そして今博士を結び付けているコンピューターとは別の機械があちらこちらに。
そして、彼女はある道具を見つけた。
それは、部屋の奥にしょぼんと置いてある、チェーンソーだっ!
彼女はひらめいた。
「これしかないわっ」
苦しむ博士をよそに、部屋の奥まで行きチェーンソーを取りに行った。
しかし、この植物コンピューターには〝意思〟があるようで、キャンディの思惑をすかさず見地して、それの妨害を謀った。
PC付き植物のツタが彼女に巻き付きにかかったのだったっっ!!
「こいつ。」
苛立ちの中、彼女はひらりひらりとツタをかわし、とうとうチェーンソーまで辿り着いた。
「バッチこぉぉ~いッ!」
彼女は好きであればあるほど、博士の為にはこの様な男勝りな一面も見せる。一途な愛故だ。
チェーンソーをヴィィィ~ンッ!!と起動させた彼女は戦闘態勢MAXに至っていた。
ひとつめのツタを切り落とすと、どんどん彼女は博士の元へ詰め寄っていくっっっ。
博士まで、ジージョ博士まであと少しっ。
そして、迫りくるツタを全部切り切ったのち、彼女はPCと植物と一体化している博士の救出をはかった。
部屋が暗かったので、博士の状態の全貌はさっきまでなんとなくしか見えてなかったが、
いま正対して正面をみると、博士は胴と頭にツタが巻き付かれていることが分かった。
「これを切り落とせばいいのねっ!待っててね、ジージョ博士っ。」
彼女がツタをチェーンソーで切りにかかった瞬間ーー
博士が正気を取り戻したかのように、
「待て!キャンディ君っ!これは実験の途中なのだ。」
キャンディは切りかかったチェーンソーをいったんしまい、ジージョの言葉を聞こうとした。
「確かに私は先ほどまで、端から見ると正気を無くしていたっ。しかし、これも時間軸の制圧には必要な工程なのじゃ」
「え?でも博士が苦しそうに…、それに助けようとしたらわたしにも襲い掛かってきましたよ?」
「この苦行、幻覚と妄想の世界を抜け出して、私が時間の本質を垣間見たときに、このツタは外れるようになっている。」
「PCは?」
「バイオ(自然)とコンピューター(機械)の融合こそが究極の化学反応を起こす元となり、それと人間が融合することが、「時間軸」の相対化に関する最も近道な研究だと私は見出した。」
「あと…、これが最も聞きたいことなんですが、ここはどこですか?見たところ1970年代の地方都市のように感じるんですが…。実験は成功したんですか?結局…」
「ワシたちは…」
「ええ。」
「時間軸を相対化しようとして、見事に失敗した…。」
「ええッ!?」
「そしてその失敗の結果、時代だけ平行退行して、いま1974年の 架空の地方都市にいる。」
「架空、とは!?」
「やはり神様はいるのじゃよ、キャンディ。我々はパンドラの箱を開けようとして、見事にその洗礼を受けている。そして、これは推測に過ぎないが、我々はこの時代から元いた時代に戻れない。」
「なんですって!!!」
キャンディは重たい絶望を、いろいろな感情を味わった…。
「だが、手はある」
「なんですかっ!」
「それこそ私が実験最中の、バイオ・テクノヒューマン理論じゃよ」
続く
そこで目にしたものは。
「え!?ナニコレ?」
キャンディの瞳に映ったモノは、
ツタに巻き付かれたPCと、そのツタとPCにからめとられたジージョ博士の姿だった。
まさに人体とPCと植物の合体風景、といったところか…。
「博士!」
ジージョは相変わらず、
「俺に触るなあっ!やめろお!俺を取り込むなあっ!」
と、何か見えないものと格闘している様子だった。当然、キャンディの言葉は届いていない。
博士を縛り付けるPCの画面には難しいプログラミング言語の羅列がけたたましく自動入力されていた。そしてPCと博士を縛り付ける植物のツタは、相変わらずネチャネチャした粘液をしたたらせていた。
キャンディは気が動転していてはいたが、なるべく冷静にいられるように努めながら、今自分に出来ることを模索していた。
「博士は会話ができない状態。そしてあのコンピューターと植物のツタに巻き付かれて
苦しんでいる。いま私に出来ることは……。」
キャンディは二階の部屋を見渡した。
なるほど、マッドサイエンティストである博士の研究室そのものだ。多数の書物や危険な化学物質の試験官、そして今博士を結び付けているコンピューターとは別の機械があちらこちらに。
そして、彼女はある道具を見つけた。
それは、部屋の奥にしょぼんと置いてある、チェーンソーだっ!
彼女はひらめいた。
「これしかないわっ」
苦しむ博士をよそに、部屋の奥まで行きチェーンソーを取りに行った。
しかし、この植物コンピューターには〝意思〟があるようで、キャンディの思惑をすかさず見地して、それの妨害を謀った。
PC付き植物のツタが彼女に巻き付きにかかったのだったっっ!!
「こいつ。」
苛立ちの中、彼女はひらりひらりとツタをかわし、とうとうチェーンソーまで辿り着いた。
「バッチこぉぉ~いッ!」
彼女は好きであればあるほど、博士の為にはこの様な男勝りな一面も見せる。一途な愛故だ。
チェーンソーをヴィィィ~ンッ!!と起動させた彼女は戦闘態勢MAXに至っていた。
ひとつめのツタを切り落とすと、どんどん彼女は博士の元へ詰め寄っていくっっっ。
博士まで、ジージョ博士まであと少しっ。
そして、迫りくるツタを全部切り切ったのち、彼女はPCと植物と一体化している博士の救出をはかった。
部屋が暗かったので、博士の状態の全貌はさっきまでなんとなくしか見えてなかったが、
いま正対して正面をみると、博士は胴と頭にツタが巻き付かれていることが分かった。
「これを切り落とせばいいのねっ!待っててね、ジージョ博士っ。」
彼女がツタをチェーンソーで切りにかかった瞬間ーー
博士が正気を取り戻したかのように、
「待て!キャンディ君っ!これは実験の途中なのだ。」
キャンディは切りかかったチェーンソーをいったんしまい、ジージョの言葉を聞こうとした。
「確かに私は先ほどまで、端から見ると正気を無くしていたっ。しかし、これも時間軸の制圧には必要な工程なのじゃ」
「え?でも博士が苦しそうに…、それに助けようとしたらわたしにも襲い掛かってきましたよ?」
「この苦行、幻覚と妄想の世界を抜け出して、私が時間の本質を垣間見たときに、このツタは外れるようになっている。」
「PCは?」
「バイオ(自然)とコンピューター(機械)の融合こそが究極の化学反応を起こす元となり、それと人間が融合することが、「時間軸」の相対化に関する最も近道な研究だと私は見出した。」
「あと…、これが最も聞きたいことなんですが、ここはどこですか?見たところ1970年代の地方都市のように感じるんですが…。実験は成功したんですか?結局…」
「ワシたちは…」
「ええ。」
「時間軸を相対化しようとして、見事に失敗した…。」
「ええッ!?」
「そしてその失敗の結果、時代だけ平行退行して、いま1974年の 架空の地方都市にいる。」
「架空、とは!?」
「やはり神様はいるのじゃよ、キャンディ。我々はパンドラの箱を開けようとして、見事にその洗礼を受けている。そして、これは推測に過ぎないが、我々はこの時代から元いた時代に戻れない。」
「なんですって!!!」
キャンディは重たい絶望を、いろいろな感情を味わった…。
「だが、手はある」
「なんですかっ!」
「それこそ私が実験最中の、バイオ・テクノヒューマン理論じゃよ」
続く
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