29 / 55
平穏なひととき
3
しおりを挟む
窓の外に海が見えてきた。奇麗なブルーはきらきらと瞬き波は寄せては引いてを繰り返す。岩場にはカモメがたくさん止まっているのが見える。空の青さとおなじあおいろ。
「すごい……」
幼い頃と変わらない海がそこにはあった。
「海は初めて?」
「ううん、保育園の頃に一度だけ行ったことがあるけどそれきり」
「祐二さんと?」
「幼馴染の家族が連れて行ってくれたんだ」
人生で二度目の海。まだ季節は早かったがそれでもこれほど海の近くに来ることが出来た事が翠は嬉しかった。
「足をつけるくらいなら出来ると思うんだけど、ちょっと待ってね、車止めちゃう」
葛が車の速度を落とし前方を確認する。そこにはコンクリートのだだっ広いの駐車場と恐らく潰れているであろうペンションの建物があった。
「ここ入っていいの?」
「大丈夫。本当に入れないときはロープ張ってあるから」
真正面、防波堤に続く階段の前に葛は車を止めた。
「靴下は脱いでいった方が良いかも」
そう言われ翠は靴下を脱いで斜めがけのかばんの中にしまった。素足でスニーカーを履くのは妙な気分で気持ちが悪かったが海に入ってしまえば素足なのだからと気にしない事にする。サンダルの季節にはまだ早いのだ。
「それじゃあ行こう」
車のドアを開ける。先程まで感じていた甘い匂いはもうそこにはなく、代わりに潮の香りが鼻孔をくすぐった。翠はすっかり忘れていた。海というのは潮の香りがするという事を。それは心地の良い香りだったが、葛の香水の香りが翠の中にこびりつき残ったままだった。
階段を上り防波堤の上へ。その下はもう砂浜だった。砂浜へ降りるためにコンクリートブロックや土で作られた階段もどきを降りてさらさらとした砂の上に着地する。映画や本で見る砂浜というのは決まって綺麗なものであるがここの砂浜は木の枝や貝殻、ゴミなどが落ちていてあまり綺麗ではないどころか素足で歩けば怪我をしそうだ。
「ちょっと寒いけど誰もいないし貸し切りだね」
「うん」
潮風というものはべたべたと纏わりつくのだと翠は今日初めてそう感じた。以前に来たときは幼かったこともありただ楽しく遊んだ記憶しかなかった。
べたつく潮風は不快ではなく新鮮だったが他に人がいないのは頷けてしまう上にやっぱり少し肌寒い。
「よし、じゃあ足つけに行こう。絶対冷たいよ」
葛が悪戯に笑う。その様子は三十代の女性に似つかわしくなかったが葛の容姿が若く見えることもあり翠はそれ程違和感を感じなかった。
お互い靴を脱いで、脱いだ靴は水に濡れないよう離れたところに置いた。細かい貝殻の欠片や木の枝を踏んで怪我しないよう足元を見ながら進む。波が押し寄せる範囲へ足を踏み入れると濡れて冷たくなった砂が足の裏にじっとりと絡みついた。
「来た来た来た!」
「わ、あっ」
波が寄せてきたタイミングで葛は乾いた砂の方へ逃げていく。対して翠はそのままその場へ立ち止まった。するとひんやりと冷たいブルーが翠の足を覆い隠す。翠の足は数センチ程その場に埋まり、ズブズブと足が砂の中に沈んでいく感覚は奇妙だった。
「翠ちゃん冷たくないの!」
後ろから葛が少し大きな声で問いかける。
「つめたい、けど平気!」
足を取られている為に振り返るとバランスを崩し転びそうになったがすんでのところで持ちこたえる。
足をつけたり波から逃げてみたり、はたまた拾った木の枝で砂浜に絵を描いてみたりと遊んでいた。翠にしては珍しくはしゃいでみたが少し無理をしていた。それは葛がこうして連れてきてくれたのだから楽しまなくてはという気持ちがあったように思う。
しばらくして。葛と翠は防波堤に並んで座りじっと海を眺めていた。
「久しぶりにはしゃいだなぁ」
葛も翠に付き合って楽しんでいた。互いに、この状況を楽しむ努力をしていた。
「ぼくも楽しかった。ちょっと寒いけどね」
代り映えのしない日常から抜け出し、いつもとは違う場所で過ごすことに翠は満足もしていた。最近は紅と生きていく事で頭がいっぱいになっていたが良いリフレッシュになったのだろう。
翠は未だ葛のことがよくわからない。歩み寄りたい気持ちは持ち合わせているが、葛には謎が多い。まさに今の状況そのもののように、それらを全て放り出して上辺だけ仲良くやる事は簡単だろう。翠にその発想はない。全てを知って仲良くなるか、気まずいまま流されるかの二極だった。そして後者の場合は翠にとって負担が大きい。今日も結果として海に来ることが出来たのは良かったが断れないから来たと言えばその通りで、翠はどうにももどかしかった。
「葛さん、海が好きなの?」
「まぁね。たまに来る程度だけど……」
どこか心ここにあらずな葛の横顔を見て翠は疑問に思った。
葛もやっぱり無理をしているのではないか。自分に合わせてはしゃいでいたのではないか。それは自分と仲良くなるために、こうして休日まで使ったのではないか。
そう考えてしまえば今この状況は居心地が悪く何故葛がそこまでするのかと思ってしまう。もちろんこれは翠の勝手な想像だったがそう感じさせる表情や雰囲気が葛には度々存在する。
「知ってる? 死んだ後に遺灰を海にまくことがあるって」
「イハイ?」
「あぁ、亡くなった後に火葬場で遺体を焼いたらその一部が灰になって、それを海にまく事があるの」
「そういうのってお墓に入れるんじゃないの?」
「普通はね。でも遺灰の一部を海にまいたりするの。死ぬ前に『遺灰を海にまいてほしい』って本人が親族にお願いしたりして」
葛は淡々と言葉を続ける。翠も、ただ葛が語る言葉に耳を傾けていた。
「不思議だよね。海にまいてほしいなんてお願い」
「葛さん」
「うん?」
「もしかして、誰か……友達とか親戚の人とかの遺灰を海にまいたの?」
翠が尋ねると葛はずっと海に向けていた視線を翠に戻し、以前のような距離を感じさせる笑みを浮かべてこう言った。
「うん。あたしは会った事がない人だしあたしがまいたわけじゃないけど。でもずっと思入れがあるんだ」
会った事がないのに思入れがある人。
想像は真意に追いつかなかった。
その後数か月は滞りなく過ぎて行った。
翠は休日は図書館へ通い、一通りの本の内容で役立ちそうな箇所を抜粋しノートにまとめる。それらを見ながら紅と相談という事を繰り返した。毎週のように図書館へ通うとパパに勘繰られるかもしれないという紅の助言で一週間置き、二週間置きにするなど図書館へ行くのは不定期にし、また貸出カードを作り関係のない小説を借りるなどして紅の存在を疑われないよう過剰なまでに注意を払った。
そうして夏休みが終わる頃、図書館にあるめぼしい本は一通りチェックを終えた。医学に関する本から実話を元にした小説まで。そもそも解離性同一性障害に特化した本は数が少なく、小説は脚色が多く参考になる部分は少ない。そして何より、人格との共存を取り扱った本は一冊も見当たらなかった。
「大丈夫よ。わたしは消えたりしないから」
焦る翠に紅はそう言葉をかけた。しかし本を読めば読むほど、ある日突然紅が消えてしまう可能性がある事に翠は不安になっていった。
「でも、ぼくがきみを見つけた時みたいに突然消えちゃったりしたら」
「わたしは八年間ずっと閉じ込められていても消えなかった。だから大丈夫よ」
「……うん」
紅がいくら翠を安心させようと声をかけても翠の中にある不安は消えなかった。この状況に『絶対』は存在しないと理解してしまった。クローゼットの向こうに紅を見つけたあの日から紅は翠にとって心の支えになっていた。いつもひとりで寂しい思いをしていた翠の大切な友人であり姉妹。それが例え自分と体を共有する存在だとしても、共有する存在だからこそ不安で怖かったのだ。
「すごい……」
幼い頃と変わらない海がそこにはあった。
「海は初めて?」
「ううん、保育園の頃に一度だけ行ったことがあるけどそれきり」
「祐二さんと?」
「幼馴染の家族が連れて行ってくれたんだ」
人生で二度目の海。まだ季節は早かったがそれでもこれほど海の近くに来ることが出来た事が翠は嬉しかった。
「足をつけるくらいなら出来ると思うんだけど、ちょっと待ってね、車止めちゃう」
葛が車の速度を落とし前方を確認する。そこにはコンクリートのだだっ広いの駐車場と恐らく潰れているであろうペンションの建物があった。
「ここ入っていいの?」
「大丈夫。本当に入れないときはロープ張ってあるから」
真正面、防波堤に続く階段の前に葛は車を止めた。
「靴下は脱いでいった方が良いかも」
そう言われ翠は靴下を脱いで斜めがけのかばんの中にしまった。素足でスニーカーを履くのは妙な気分で気持ちが悪かったが海に入ってしまえば素足なのだからと気にしない事にする。サンダルの季節にはまだ早いのだ。
「それじゃあ行こう」
車のドアを開ける。先程まで感じていた甘い匂いはもうそこにはなく、代わりに潮の香りが鼻孔をくすぐった。翠はすっかり忘れていた。海というのは潮の香りがするという事を。それは心地の良い香りだったが、葛の香水の香りが翠の中にこびりつき残ったままだった。
階段を上り防波堤の上へ。その下はもう砂浜だった。砂浜へ降りるためにコンクリートブロックや土で作られた階段もどきを降りてさらさらとした砂の上に着地する。映画や本で見る砂浜というのは決まって綺麗なものであるがここの砂浜は木の枝や貝殻、ゴミなどが落ちていてあまり綺麗ではないどころか素足で歩けば怪我をしそうだ。
「ちょっと寒いけど誰もいないし貸し切りだね」
「うん」
潮風というものはべたべたと纏わりつくのだと翠は今日初めてそう感じた。以前に来たときは幼かったこともありただ楽しく遊んだ記憶しかなかった。
べたつく潮風は不快ではなく新鮮だったが他に人がいないのは頷けてしまう上にやっぱり少し肌寒い。
「よし、じゃあ足つけに行こう。絶対冷たいよ」
葛が悪戯に笑う。その様子は三十代の女性に似つかわしくなかったが葛の容姿が若く見えることもあり翠はそれ程違和感を感じなかった。
お互い靴を脱いで、脱いだ靴は水に濡れないよう離れたところに置いた。細かい貝殻の欠片や木の枝を踏んで怪我しないよう足元を見ながら進む。波が押し寄せる範囲へ足を踏み入れると濡れて冷たくなった砂が足の裏にじっとりと絡みついた。
「来た来た来た!」
「わ、あっ」
波が寄せてきたタイミングで葛は乾いた砂の方へ逃げていく。対して翠はそのままその場へ立ち止まった。するとひんやりと冷たいブルーが翠の足を覆い隠す。翠の足は数センチ程その場に埋まり、ズブズブと足が砂の中に沈んでいく感覚は奇妙だった。
「翠ちゃん冷たくないの!」
後ろから葛が少し大きな声で問いかける。
「つめたい、けど平気!」
足を取られている為に振り返るとバランスを崩し転びそうになったがすんでのところで持ちこたえる。
足をつけたり波から逃げてみたり、はたまた拾った木の枝で砂浜に絵を描いてみたりと遊んでいた。翠にしては珍しくはしゃいでみたが少し無理をしていた。それは葛がこうして連れてきてくれたのだから楽しまなくてはという気持ちがあったように思う。
しばらくして。葛と翠は防波堤に並んで座りじっと海を眺めていた。
「久しぶりにはしゃいだなぁ」
葛も翠に付き合って楽しんでいた。互いに、この状況を楽しむ努力をしていた。
「ぼくも楽しかった。ちょっと寒いけどね」
代り映えのしない日常から抜け出し、いつもとは違う場所で過ごすことに翠は満足もしていた。最近は紅と生きていく事で頭がいっぱいになっていたが良いリフレッシュになったのだろう。
翠は未だ葛のことがよくわからない。歩み寄りたい気持ちは持ち合わせているが、葛には謎が多い。まさに今の状況そのもののように、それらを全て放り出して上辺だけ仲良くやる事は簡単だろう。翠にその発想はない。全てを知って仲良くなるか、気まずいまま流されるかの二極だった。そして後者の場合は翠にとって負担が大きい。今日も結果として海に来ることが出来たのは良かったが断れないから来たと言えばその通りで、翠はどうにももどかしかった。
「葛さん、海が好きなの?」
「まぁね。たまに来る程度だけど……」
どこか心ここにあらずな葛の横顔を見て翠は疑問に思った。
葛もやっぱり無理をしているのではないか。自分に合わせてはしゃいでいたのではないか。それは自分と仲良くなるために、こうして休日まで使ったのではないか。
そう考えてしまえば今この状況は居心地が悪く何故葛がそこまでするのかと思ってしまう。もちろんこれは翠の勝手な想像だったがそう感じさせる表情や雰囲気が葛には度々存在する。
「知ってる? 死んだ後に遺灰を海にまくことがあるって」
「イハイ?」
「あぁ、亡くなった後に火葬場で遺体を焼いたらその一部が灰になって、それを海にまく事があるの」
「そういうのってお墓に入れるんじゃないの?」
「普通はね。でも遺灰の一部を海にまいたりするの。死ぬ前に『遺灰を海にまいてほしい』って本人が親族にお願いしたりして」
葛は淡々と言葉を続ける。翠も、ただ葛が語る言葉に耳を傾けていた。
「不思議だよね。海にまいてほしいなんてお願い」
「葛さん」
「うん?」
「もしかして、誰か……友達とか親戚の人とかの遺灰を海にまいたの?」
翠が尋ねると葛はずっと海に向けていた視線を翠に戻し、以前のような距離を感じさせる笑みを浮かべてこう言った。
「うん。あたしは会った事がない人だしあたしがまいたわけじゃないけど。でもずっと思入れがあるんだ」
会った事がないのに思入れがある人。
想像は真意に追いつかなかった。
その後数か月は滞りなく過ぎて行った。
翠は休日は図書館へ通い、一通りの本の内容で役立ちそうな箇所を抜粋しノートにまとめる。それらを見ながら紅と相談という事を繰り返した。毎週のように図書館へ通うとパパに勘繰られるかもしれないという紅の助言で一週間置き、二週間置きにするなど図書館へ行くのは不定期にし、また貸出カードを作り関係のない小説を借りるなどして紅の存在を疑われないよう過剰なまでに注意を払った。
そうして夏休みが終わる頃、図書館にあるめぼしい本は一通りチェックを終えた。医学に関する本から実話を元にした小説まで。そもそも解離性同一性障害に特化した本は数が少なく、小説は脚色が多く参考になる部分は少ない。そして何より、人格との共存を取り扱った本は一冊も見当たらなかった。
「大丈夫よ。わたしは消えたりしないから」
焦る翠に紅はそう言葉をかけた。しかし本を読めば読むほど、ある日突然紅が消えてしまう可能性がある事に翠は不安になっていった。
「でも、ぼくがきみを見つけた時みたいに突然消えちゃったりしたら」
「わたしは八年間ずっと閉じ込められていても消えなかった。だから大丈夫よ」
「……うん」
紅がいくら翠を安心させようと声をかけても翠の中にある不安は消えなかった。この状況に『絶対』は存在しないと理解してしまった。クローゼットの向こうに紅を見つけたあの日から紅は翠にとって心の支えになっていた。いつもひとりで寂しい思いをしていた翠の大切な友人であり姉妹。それが例え自分と体を共有する存在だとしても、共有する存在だからこそ不安で怖かったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる