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9.見せて貰おうか
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──明くる日。
その日は。朝から本格的に体調が悪かった。おかげでベッドから這い出るのに三十分もかかってしまった。
スキルが欠けたままだと、私自身にもどんな悪影響があるか分からないというグリルフェンの言葉を思い出す。
学園も休もうかと一瞬考えたが、とにかく時間が惜しかった。無理やりにでも身体を動かしている内に、次第に気だるさだけはなんとかなった。
私は休み時間を利用して一日中図書室に張り付いていた。
本当にレアスキルなのだろう。どこ書物にも表面的な事しか触れられていなかった。やっと一冊の詳しい解析書を探しだすのに結局丸一日を要してしまった。
……幻術。
オオカミ族を代表とする獣人族、その中でも王族に近い上流階級の獣人にのみ伝わるスキルのようだ。用途は幅広く、幻覚を見せて対象を混乱させる使い方が主であるが、あの悪魔の言う通り、幻覚を見せた上で対象を意のままに操る事が出来る……つまり洗脳や、寄生といった類いのスキルのような使い方が出来るという事だろう。
「……」
操作されている状態は完全な操り人形であるが、洗脳寄生のスキルとは異なり、使用者が常に対象の行動を操り続けている必要はない。術にかけた時、簡単な誓約を交わし、その誓約の範囲内での行動をさせるのである。
「……幻術をかけられた対象は、誓約に反する行動は絶対にとる事が出来ない。また完全に幻術の支配下にある場合、独力でそれを打ち破る事は術はない……か」
私は嘆息した。練度を上げれば軍隊も作れてしまうかもしれない。使用者の発想次第で何でも出来てしまいそうだ。全くとんでもないである魔法。こんなものの素質を持ちながら十五年間、それに全く気付く事なく呑気に過ごしてきただなんて。
つくづく幸せものだったんだな、私は。
「何を見てるの?」
ふと、横を見やると例の悪魔の姿があった。ふわふわと宙に浮き、やらしそうな笑みを浮かべている。
私は、ああ、飛べるんだ、と思った。まあ悪魔だものな。空くらい飛ぶのか。
「グリルフェン……何かご用ですか」
「邪険にしないでよ。こっちは仕事を任せてるんだからな。復讐の準備は、進んでいるのかい?」
「あまり大きな声で言わないで下さい」
「悪かったな」
全く。私は頭を抱えた。図書室に自分しかいなかったのは先刻承知だったが、廊下からでも、悪魔と一緒にいるところなど見られては目立ってしょうがない。
「何です、それ?」
私は悪魔が手にしている紙の包みのようなものを見て尋ねた。
「うん、クッキーだ!」
「クッキー?」
「散歩してたら偶然通りかかった女子生徒にもらったのだ。それにしても、やっぱり人間の食い物ってのは、美味いなぁ」
……餌付け?
言いながら、ばりぼりとクッキーを租借するカボチャ頭。まぁ、いいか。
「ひょうひゃいんのひごとらんて……」
「なんて?」
口一杯のクッキーを飲み込み、彼は繰り返した。
「……いや、調査員の仕事なんてつまらないものと決めつけていたんだけど、人間と話す機会が多いというのはいいもんだね。飽きないよ」
追い返そうと思ったけれど、それで私も何となく気が抜けてしまった。本を閉じて悪魔に問う。
「……そうでしょうか。私は極力、知らぬ人間とはかかわり合いにはなりたくないですが」
「ははぁ、確かに君は根暗そうだ」
ほっとけ。
「旅は道連れ世は情けっていうだろう」
「……何です、それ?」
「ことわざだよ。旅には共がいれば心強いように、世の中渡っていくには人間関係が一番大切な事という事だ」
……初めて聞いたが。悪魔界のことわざなんだろうか。
「ましてや君は令嬢だろう。この先社交会デビューもあるじゃないか? そこでもむっつり人を避けて歩くつもりか?」
「令嬢に向いてないかもしれません、私。作法も、ダンスも苦手。男性に心にもない愛想を振り撒くのも苦手、子供の頃からよく、先生に怒られてきました」
「ふうん」
「私が本当に自信をもって取り組めるのは、魔法の勉強だけです」
「……本当に、令嬢っぽくない女だねえ」
「しみじみ言わないで下さい。貴方こそ、悪魔のくせになんで教会の調査員なんてやってるんです?」
「うん──」
クッキーを全て食べ終えた──私には一枚もくれなかった──グリルフェンは、紙を丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「──なんとなく、かな」
「なんとなくで、なれるんですか?」
「現界してすぐ教会のシスターに拾われたんだよ。異界にいた時の記憶は、あやふやだ。親の顔も、本当の名前も覚えてない。彼女から魔法を教わり、現世のルールを教わり、調査員としての活動のやり方も教わった。調査員になる以外の道なんて、考えた事もなかったし」
──捨て子、か?
「……ごめんなさい」
「別に、謝るなよ。自分じゃむしろ幸運だと思ってるんだから。異界は陰気くさい所だったし、現世での生活の方がよっぽどいい。シスターの事も、仕事仲間の事も好きだしな」
そう言いきったカボチャ頭の表情に影は一点もなかった。
「実はこれが初仕事なんだ」
「そうなんですか」
「あぁ、だから必ずこの学園の闇を正してみせたい。協力してくれよ、人狼のご令嬢」
「その、人狼のっての、やめて頂けません?」
「うん?」
「私はフレア・ルナソル。初めに名乗ったでしょう」
グリルフェンはスッと目を細めた。
「……ああ、フレア・ルナソル。じゃあヒントを聞かせてくれ。君が怪しんでいる強奪スキルの所持者、そいつは男かい? 女かい?」
「……男、ですね。別に邪魔せず、私の行動を見守って下さると約束するなら、教えてもいいんですけど」
「君が引っ掻き回している内に犯人が逃亡してしまうような事はない? 例えば強奪のスキルと同時に譲渡のスキルも所持していたら、面倒な事になるよ」
「それはありません」
「なんで言い切れる?」
「彼も譲渡を所持していない」
「ほえ」
「明後日の夜、バルト子爵家でダンスパーティーが行われます。そこで真実が明らかになる筈です。よろしければ貴方もご参加下さい、グリルフェン」
グリルフェンは、へえ、という顔をした。
「じゃあ、見せて貰おうかな」
その日は。朝から本格的に体調が悪かった。おかげでベッドから這い出るのに三十分もかかってしまった。
スキルが欠けたままだと、私自身にもどんな悪影響があるか分からないというグリルフェンの言葉を思い出す。
学園も休もうかと一瞬考えたが、とにかく時間が惜しかった。無理やりにでも身体を動かしている内に、次第に気だるさだけはなんとかなった。
私は休み時間を利用して一日中図書室に張り付いていた。
本当にレアスキルなのだろう。どこ書物にも表面的な事しか触れられていなかった。やっと一冊の詳しい解析書を探しだすのに結局丸一日を要してしまった。
……幻術。
オオカミ族を代表とする獣人族、その中でも王族に近い上流階級の獣人にのみ伝わるスキルのようだ。用途は幅広く、幻覚を見せて対象を混乱させる使い方が主であるが、あの悪魔の言う通り、幻覚を見せた上で対象を意のままに操る事が出来る……つまり洗脳や、寄生といった類いのスキルのような使い方が出来るという事だろう。
「……」
操作されている状態は完全な操り人形であるが、洗脳寄生のスキルとは異なり、使用者が常に対象の行動を操り続けている必要はない。術にかけた時、簡単な誓約を交わし、その誓約の範囲内での行動をさせるのである。
「……幻術をかけられた対象は、誓約に反する行動は絶対にとる事が出来ない。また完全に幻術の支配下にある場合、独力でそれを打ち破る事は術はない……か」
私は嘆息した。練度を上げれば軍隊も作れてしまうかもしれない。使用者の発想次第で何でも出来てしまいそうだ。全くとんでもないである魔法。こんなものの素質を持ちながら十五年間、それに全く気付く事なく呑気に過ごしてきただなんて。
つくづく幸せものだったんだな、私は。
「何を見てるの?」
ふと、横を見やると例の悪魔の姿があった。ふわふわと宙に浮き、やらしそうな笑みを浮かべている。
私は、ああ、飛べるんだ、と思った。まあ悪魔だものな。空くらい飛ぶのか。
「グリルフェン……何かご用ですか」
「邪険にしないでよ。こっちは仕事を任せてるんだからな。復讐の準備は、進んでいるのかい?」
「あまり大きな声で言わないで下さい」
「悪かったな」
全く。私は頭を抱えた。図書室に自分しかいなかったのは先刻承知だったが、廊下からでも、悪魔と一緒にいるところなど見られては目立ってしょうがない。
「何です、それ?」
私は悪魔が手にしている紙の包みのようなものを見て尋ねた。
「うん、クッキーだ!」
「クッキー?」
「散歩してたら偶然通りかかった女子生徒にもらったのだ。それにしても、やっぱり人間の食い物ってのは、美味いなぁ」
……餌付け?
言いながら、ばりぼりとクッキーを租借するカボチャ頭。まぁ、いいか。
「ひょうひゃいんのひごとらんて……」
「なんて?」
口一杯のクッキーを飲み込み、彼は繰り返した。
「……いや、調査員の仕事なんてつまらないものと決めつけていたんだけど、人間と話す機会が多いというのはいいもんだね。飽きないよ」
追い返そうと思ったけれど、それで私も何となく気が抜けてしまった。本を閉じて悪魔に問う。
「……そうでしょうか。私は極力、知らぬ人間とはかかわり合いにはなりたくないですが」
「ははぁ、確かに君は根暗そうだ」
ほっとけ。
「旅は道連れ世は情けっていうだろう」
「……何です、それ?」
「ことわざだよ。旅には共がいれば心強いように、世の中渡っていくには人間関係が一番大切な事という事だ」
……初めて聞いたが。悪魔界のことわざなんだろうか。
「ましてや君は令嬢だろう。この先社交会デビューもあるじゃないか? そこでもむっつり人を避けて歩くつもりか?」
「令嬢に向いてないかもしれません、私。作法も、ダンスも苦手。男性に心にもない愛想を振り撒くのも苦手、子供の頃からよく、先生に怒られてきました」
「ふうん」
「私が本当に自信をもって取り組めるのは、魔法の勉強だけです」
「……本当に、令嬢っぽくない女だねえ」
「しみじみ言わないで下さい。貴方こそ、悪魔のくせになんで教会の調査員なんてやってるんです?」
「うん──」
クッキーを全て食べ終えた──私には一枚もくれなかった──グリルフェンは、紙を丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「──なんとなく、かな」
「なんとなくで、なれるんですか?」
「現界してすぐ教会のシスターに拾われたんだよ。異界にいた時の記憶は、あやふやだ。親の顔も、本当の名前も覚えてない。彼女から魔法を教わり、現世のルールを教わり、調査員としての活動のやり方も教わった。調査員になる以外の道なんて、考えた事もなかったし」
──捨て子、か?
「……ごめんなさい」
「別に、謝るなよ。自分じゃむしろ幸運だと思ってるんだから。異界は陰気くさい所だったし、現世での生活の方がよっぽどいい。シスターの事も、仕事仲間の事も好きだしな」
そう言いきったカボチャ頭の表情に影は一点もなかった。
「実はこれが初仕事なんだ」
「そうなんですか」
「あぁ、だから必ずこの学園の闇を正してみせたい。協力してくれよ、人狼のご令嬢」
「その、人狼のっての、やめて頂けません?」
「うん?」
「私はフレア・ルナソル。初めに名乗ったでしょう」
グリルフェンはスッと目を細めた。
「……ああ、フレア・ルナソル。じゃあヒントを聞かせてくれ。君が怪しんでいる強奪スキルの所持者、そいつは男かい? 女かい?」
「……男、ですね。別に邪魔せず、私の行動を見守って下さると約束するなら、教えてもいいんですけど」
「君が引っ掻き回している内に犯人が逃亡してしまうような事はない? 例えば強奪のスキルと同時に譲渡のスキルも所持していたら、面倒な事になるよ」
「それはありません」
「なんで言い切れる?」
「彼も譲渡を所持していない」
「ほえ」
「明後日の夜、バルト子爵家でダンスパーティーが行われます。そこで真実が明らかになる筈です。よろしければ貴方もご参加下さい、グリルフェン」
グリルフェンは、へえ、という顔をした。
「じゃあ、見せて貰おうかな」
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