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短大生「平田楓」
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「今日は何食べよーかな」
短大に通う平田楓は、何を食べるかで悩んでいることが多い。周りの友人も、呆れ気味である。
「まーた楓は食べることを」
「そんな食べてばっかじゃ彼氏も愛想尽かしちゃうぞー? 」
「えー?だって食べてる時って一番幸せじゃない? 」
「確かに美味しいもの食べてる時は幸せだけどさ、楓は日々の食事にも感動してるじゃん」
「やー、幸せそうな楓見てんのは好きなんだけどね! 」
「じゃあいーじゃーん。好きなだけ考えさせてー」
いつも通りの他愛もない、日常会話がなされている。この日常が楓にとっては幸せな毎日で、そこにもう一つ、華を添えているのが彼氏の存在である。
「かえっちはまた食べることばっか話してんのかー? 」
「あ、まーくんだー」
楓の彼氏、橘正志は他大学に通っているが、楓の所にふらっと現れることが多々あり、楓も楓の友人らも慣れっこである。
「あんまり食べ過ぎると体に良くねーぞ」
「大丈夫だよー。ちゃんと加減してるからー」
「楓はもう少し橘君の言うこと聞きなさい」
「ほら、佐々木さんも言ってくれてるぜ? 」
「むー… 」
彼氏の正志と友人の佐々木彩音から指摘され、楓は食べ物のことを考えるのを暫しやめた。
「まーくん今日はどうしたのー? 」
「あぁ、前に言ってたチケットが取れたからさ。渡しに来た」
「えー!絶対取れないって言ってたライブのチケット?! 」
「そう、なんとか取れた」
「わー!すごーい!まーくん大好き! 」
「おーい、楓ー。ラブラブになるのは場所選べー」
「彩音だって人前で抱きつくくらいしてるじゃんかー」
「楓は幸せオーラ振りまきすぎで見てるこっちが恥ずかしくなるんだよ」
そんなやり取りをしていたら時間があっという間に過ぎ、バイトに向かう時間が近づいていた。
楓のバイトはそれなりに人の出入りが多いファミレス。夕飯時には満席になることもある、それなりに繁盛している店。
「ハンバーグセットでございます。ごゆっくりどうぞー」
楓はここで働き出して4ヶ月程。客受もよく、人気の店員の地位を得つつある。
「今日もよく頑張ってるねぇ。いつも気持ちのいい接客をありがとう」
「とんでもないです、いつもお越しいただいてありがとうございます」
「あ、平田さんだー。お水ちょうだいよー」
「はーい、只今お持ちしますねー! 」
見知った顔からはこんな風に親しげに話しかけられることも増えた。とても居心地のいい場所である。
何より楓がこの店をバイト先に選んだ理由が、飲食店ということである。自分がそうだから、ご飯を食べて幸せな顔をしている人達を見るのが何よりの喜びなのだ。
バイトが終わり、帰路につく。毎度この帰り道では幸せそうなお客さん達の顔を思い返す。そして、一日を幸せな気持ちで終える。
そんな順調な日々の中に、些細な、しかし無視の出来ない亀裂が入りだした。
今まで頻繁に楓の元を訪れていた正志が姿を現すことが稀になった。
何かあったのかと聞いてみたところ、バイトや課題に忙しくて手が離せないと言う。
全面的に正志を信用していた楓は深く探ることはせず、忙しさが落ち着くまでは待つことにした。
時間はどんどん過ぎていく。一週間二週間、一月二月…一向に正志が忙しさから解放される気配がない。というより、会いに来ない。
そこまで待って初めて、楓の中に避けられているのではという考えがよぎった。
連絡をしたところで返ってくる答えはだいたい同じことだったので、直接会いに行くことにした。
正志の家の鍵は持っている。家に居なければ中に入って待っていよう。帰ってきたらよく話し合ってみよう。
考えを巡らせながら正志の家に着いて、ドアノブを捻ると鍵がかかっていなかった。中に入って楓が目にしたのは抱き合っている男女の姿。正志と彩音であった。
「なにしてんの…? 」
「楓?! 」
「まーくん…ねぇ、なにしてるの…?彩音…これどういうことなの…? 」
「… 」
「… 」
「二人とも黙ってないでこたえてよ!! 」
それはあまりにもショックな光景だった。信頼していた恋人と、恋人よりも長い時間を過ごしていた親友の、二人にいっぺんに裏切られた。
「楓… 」
「いや、いい。俺が説明する」
「…話して」
「楓、俺はな、楓にいつもお願いしていたことがあったと思うんだが、わかるか? 」
「…? 」
「わからないか…いつも食事の量について言ってたこと、思い出せるか? 」
「あぁ…あったね…。いつも食べる量減らせって言ってたことだよね…? 」
「あれがどんだけ本気で言ってたか考えたことあるか? 」
「なにそれ…痩せろって言ってんの? 」
「ちげぇよ!本気でお前の体調が崩れたりしないか心配してたんだよ!なんでわかんねぇんだよ! 」
「えっ… 」
「いつもいっぱい食べてて、幸せな表情してて、それを見てんのは悪い気はしなかった。だけどな、ものには限度があるだろ。太ってるのが嫌なんじゃねぇ、我慢できず食べ続けちまうんじゃねえかってことが心配でしょうがねぇんだよ! 」
「そんな…でもそれじゃ急に会いに来なくなったことと、彩音と抱き合ってたことの説明にはならないよ」
「佐々木さんには相談と頼みごとをしてたんだよ。どうしたら楓が自分を制御できるか、それと日々の食事の量なんかを教えてもらってた。
それを聞きながら、もしかしたら会いに行かなければ食べる量も減っていくんじゃないか、心配して食べ物が喉を通らなくなったりするんじゃないかとか考えてたんだよ」
「…じゃあもう一つ。なんで彩音と抱き合ってたのよ」
「佐々木さんに相談しているうちに、心配してる気持ちが抑えられなくなって体の震えが止まらなくなってた。そうしていたら、佐々木さんが気遣って抱きしめてくれた。それに対して感謝の意味で抱き返しただけだよ」
「楓…急にあんな場面見たら信じられないかもしれないけど、本当のことだよ…。橘君は、本気で楓のこと心配してたんだよ…。こんなに想われていて、楓は凄い幸せ者なんだってこと、よーくわかったよ? 」
「…急にそんなこと言われても信じられないよ」
「楓…」
「あたしはね、そんな心配されても、食べることに対して真剣に向き合うよ。だってそれが好きなんだもん。人が食べて幸せそうな顔してるのを見てるのも好きだから、我慢したくないの。自分が我慢して、人の食べているところを見ても憎しみしか感じないと思うから。だから我慢しないで、好きなように食べていたの」
「…わかった。楓、俺はもう楓と付き合っていける気がしない。きっと何度も同じことでぶつかるだけだと思う。
別れよう」
「ちょっ…橘君… 」
「ええ、別れましょう。お互いの為よ」
「楓…」
「さようなら、幸せになってね、正志」
自分の求めている幸せの形を追い求めて、今までの幸せを壊してしまった二人。
恐らくはどちらも間違ってはいないし、自分の思う幸せを追い求めることは誰にも止めることは出来なかったであろう。
最後こそあっさりであったけども、幸せを追い求める姿に迷いはなく。その姿は自信に満ち溢れ、ただひたすらに前を向いていた。
短大に通う平田楓は、何を食べるかで悩んでいることが多い。周りの友人も、呆れ気味である。
「まーた楓は食べることを」
「そんな食べてばっかじゃ彼氏も愛想尽かしちゃうぞー? 」
「えー?だって食べてる時って一番幸せじゃない? 」
「確かに美味しいもの食べてる時は幸せだけどさ、楓は日々の食事にも感動してるじゃん」
「やー、幸せそうな楓見てんのは好きなんだけどね! 」
「じゃあいーじゃーん。好きなだけ考えさせてー」
いつも通りの他愛もない、日常会話がなされている。この日常が楓にとっては幸せな毎日で、そこにもう一つ、華を添えているのが彼氏の存在である。
「かえっちはまた食べることばっか話してんのかー? 」
「あ、まーくんだー」
楓の彼氏、橘正志は他大学に通っているが、楓の所にふらっと現れることが多々あり、楓も楓の友人らも慣れっこである。
「あんまり食べ過ぎると体に良くねーぞ」
「大丈夫だよー。ちゃんと加減してるからー」
「楓はもう少し橘君の言うこと聞きなさい」
「ほら、佐々木さんも言ってくれてるぜ? 」
「むー… 」
彼氏の正志と友人の佐々木彩音から指摘され、楓は食べ物のことを考えるのを暫しやめた。
「まーくん今日はどうしたのー? 」
「あぁ、前に言ってたチケットが取れたからさ。渡しに来た」
「えー!絶対取れないって言ってたライブのチケット?! 」
「そう、なんとか取れた」
「わー!すごーい!まーくん大好き! 」
「おーい、楓ー。ラブラブになるのは場所選べー」
「彩音だって人前で抱きつくくらいしてるじゃんかー」
「楓は幸せオーラ振りまきすぎで見てるこっちが恥ずかしくなるんだよ」
そんなやり取りをしていたら時間があっという間に過ぎ、バイトに向かう時間が近づいていた。
楓のバイトはそれなりに人の出入りが多いファミレス。夕飯時には満席になることもある、それなりに繁盛している店。
「ハンバーグセットでございます。ごゆっくりどうぞー」
楓はここで働き出して4ヶ月程。客受もよく、人気の店員の地位を得つつある。
「今日もよく頑張ってるねぇ。いつも気持ちのいい接客をありがとう」
「とんでもないです、いつもお越しいただいてありがとうございます」
「あ、平田さんだー。お水ちょうだいよー」
「はーい、只今お持ちしますねー! 」
見知った顔からはこんな風に親しげに話しかけられることも増えた。とても居心地のいい場所である。
何より楓がこの店をバイト先に選んだ理由が、飲食店ということである。自分がそうだから、ご飯を食べて幸せな顔をしている人達を見るのが何よりの喜びなのだ。
バイトが終わり、帰路につく。毎度この帰り道では幸せそうなお客さん達の顔を思い返す。そして、一日を幸せな気持ちで終える。
そんな順調な日々の中に、些細な、しかし無視の出来ない亀裂が入りだした。
今まで頻繁に楓の元を訪れていた正志が姿を現すことが稀になった。
何かあったのかと聞いてみたところ、バイトや課題に忙しくて手が離せないと言う。
全面的に正志を信用していた楓は深く探ることはせず、忙しさが落ち着くまでは待つことにした。
時間はどんどん過ぎていく。一週間二週間、一月二月…一向に正志が忙しさから解放される気配がない。というより、会いに来ない。
そこまで待って初めて、楓の中に避けられているのではという考えがよぎった。
連絡をしたところで返ってくる答えはだいたい同じことだったので、直接会いに行くことにした。
正志の家の鍵は持っている。家に居なければ中に入って待っていよう。帰ってきたらよく話し合ってみよう。
考えを巡らせながら正志の家に着いて、ドアノブを捻ると鍵がかかっていなかった。中に入って楓が目にしたのは抱き合っている男女の姿。正志と彩音であった。
「なにしてんの…? 」
「楓?! 」
「まーくん…ねぇ、なにしてるの…?彩音…これどういうことなの…? 」
「… 」
「… 」
「二人とも黙ってないでこたえてよ!! 」
それはあまりにもショックな光景だった。信頼していた恋人と、恋人よりも長い時間を過ごしていた親友の、二人にいっぺんに裏切られた。
「楓… 」
「いや、いい。俺が説明する」
「…話して」
「楓、俺はな、楓にいつもお願いしていたことがあったと思うんだが、わかるか? 」
「…? 」
「わからないか…いつも食事の量について言ってたこと、思い出せるか? 」
「あぁ…あったね…。いつも食べる量減らせって言ってたことだよね…? 」
「あれがどんだけ本気で言ってたか考えたことあるか? 」
「なにそれ…痩せろって言ってんの? 」
「ちげぇよ!本気でお前の体調が崩れたりしないか心配してたんだよ!なんでわかんねぇんだよ! 」
「えっ… 」
「いつもいっぱい食べてて、幸せな表情してて、それを見てんのは悪い気はしなかった。だけどな、ものには限度があるだろ。太ってるのが嫌なんじゃねぇ、我慢できず食べ続けちまうんじゃねえかってことが心配でしょうがねぇんだよ! 」
「そんな…でもそれじゃ急に会いに来なくなったことと、彩音と抱き合ってたことの説明にはならないよ」
「佐々木さんには相談と頼みごとをしてたんだよ。どうしたら楓が自分を制御できるか、それと日々の食事の量なんかを教えてもらってた。
それを聞きながら、もしかしたら会いに行かなければ食べる量も減っていくんじゃないか、心配して食べ物が喉を通らなくなったりするんじゃないかとか考えてたんだよ」
「…じゃあもう一つ。なんで彩音と抱き合ってたのよ」
「佐々木さんに相談しているうちに、心配してる気持ちが抑えられなくなって体の震えが止まらなくなってた。そうしていたら、佐々木さんが気遣って抱きしめてくれた。それに対して感謝の意味で抱き返しただけだよ」
「楓…急にあんな場面見たら信じられないかもしれないけど、本当のことだよ…。橘君は、本気で楓のこと心配してたんだよ…。こんなに想われていて、楓は凄い幸せ者なんだってこと、よーくわかったよ? 」
「…急にそんなこと言われても信じられないよ」
「楓…」
「あたしはね、そんな心配されても、食べることに対して真剣に向き合うよ。だってそれが好きなんだもん。人が食べて幸せそうな顔してるのを見てるのも好きだから、我慢したくないの。自分が我慢して、人の食べているところを見ても憎しみしか感じないと思うから。だから我慢しないで、好きなように食べていたの」
「…わかった。楓、俺はもう楓と付き合っていける気がしない。きっと何度も同じことでぶつかるだけだと思う。
別れよう」
「ちょっ…橘君… 」
「ええ、別れましょう。お互いの為よ」
「楓…」
「さようなら、幸せになってね、正志」
自分の求めている幸せの形を追い求めて、今までの幸せを壊してしまった二人。
恐らくはどちらも間違ってはいないし、自分の思う幸せを追い求めることは誰にも止めることは出来なかったであろう。
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