物語は突然に

かなめ

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日々早々

病気の妖精の病気とは(お腹の虫?)

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マズい…。激しく眠い…っ!何か…色々とありすぎて、安心した今、眠気ハンパない…。朝だよ、朝。まだ起きてから2時間くらいしか経ってないよ(たぶんだけど)。それなのに眠いとか!眠気を飛ばそうと必死でハンカチで顔を擦ってみるけど、全然効果ない…。欠伸が出そうになるのをコッソリとハンカチを噛んで我慢してみたりするけど、眠気がなくなるわけじゃなし。どうしよう…。
「もしかして眠かったりします?」
突然、本当に突然そんな事を言われて思わず
「なっ、何で解ったのー!?」
バカ正直に返事してしまった。いや、だって!エスパーかなんかか、この人!?
「いえ…ほら、大きな声で泣いたりすると結構疲れますし。そうでなくとも先程の件で極度の緊張を強いられた事でしょうし。疲れるのも無理はないと言いますか…」
流石は気配りの人!気遣いの仕方がもうなんていうか段違い。そして余計に安心感からか更に眠気がドンときた。
「あぁ…、はい、あの、眠いです。済みません」
「大丈夫ですよ、謝る事ではありませんから。少し横になっては如何ですか?直ぐに場所を用意しますので」
そう言いながら本当に直ぐに席を立つ。
「ジリスさん!」
「はい?」
何となく。そばにいてほしくて。置いていかれたくなくて。
「出来れば胸ポケがイイです…」
そう言ってた。
「えぇと…それは構わないのですが、ゆっくり休めなくはないですか?いくら魔法で少しばかり拡張しているとは言え、休むには狭いでしょう?」
黙って首を横に振る。返事をしなかったのはただ単に欠伸を噛み殺してたせいだったんだけど、ジリスさんは何故か深く頷いて
「解りました。どうぞ」
と言ってくれた。よくは解らないけど、たぶんまた何かの誤解が生じたんだと思う。けどもう眠気が本当にピークで思考もいまいち まとまらなくなってきていたので、まぁ、いいやとばかりにそのまま眠りに落ちたのだった。






───温かくて、気持ち良くて、
このままずっとこうしていたい───


ググ、キュールルールー

ハッと
何ここ狭い、ここ何処?
寝ボケてた私は、何処にいたのかをスッカリ忘れてて、思いっきりバタバタと暴れてしまいました…。えぇ、そりゃもう思いっきり…。
「わっ!?」
「えっ!?」
声、あ゛ー、今の声は…っ!
「アイリンさん?如何かしましたか?」
ジリスさんですよね…。忘れてたー!ジリスさんの胸ポケの中ですね、そうですね、すっかり忘れて寝ボケてましたー!

キュ、キュルルー

お腹の虫も鳴いてますね!ぎゃーーー!何でこう恥ずかしいところばっかり見せてるかな、私ぃ!!
「アイリンさん?大丈夫ですか?」
!!…もしかして…今回はお腹の音は聞かれてない!?よしっ!それなら、さっきのもノビをしようとしたら上手く出来なくてモタついちゃっただけとでも言っとこう、うん、これだ!そう考えた矢先、思わず力を込めてしまったせいかさっきとは全然違う大きな鳴き声が。

グーグルキューーゥゥ

一瞬の沈黙の後
「あ~…っと……………。
食事にしましょうか……?」
あ゛ーーーーーーっ、もうっ、
私のお腹めぇぇえっ!!!
「ごめんなさいぃぃっ!」
くっそぅ、恥ずかしすぎる…っ!恥ずかしさのあまりまたも胸ポケの中でバタバタ暴れてしまいました…。ゴメンね、ジリスさん!
大丈夫ですよとか丁度私もお腹すいてきたところですしとか言ってるのが聞こえるけど、絶対、気を遣って言ってくれてるだけだ、これ!絶対笑うの我慢してるヤツだ、これぇぇ!もう!私のお腹うるさすぎ!誰かお腹の音が鳴らなくなる豆知識をください…!
私が悶絶してる間にジリスさんは何処かへ移動してたらしい。動いてる事に気付いた。よく考えたら…これ、ハタから見たら胸ポケの所がモゴモゴ動いているという奇妙奇天烈な状態を見せびらかしながら歩かせちゃってたって事ですね!?重ね重ね申し訳ない…。マジ反省しよう、本当に。胸ポケの中で体育座りする。よく考えたら、いや、よく考えなくても、ジリスさんには本当にもう迷惑しかかけてない…。マジで自重しよう!
「アイリンさん?大丈夫ですか?一度、外に出ますか?」
ん?あ、いきなり大人しくなったせいか、何か苦しくなったかとか勘違いされてるな、これ。ピョコッと顔だけ出しておく。
「大丈夫です」
「そうですか?もし窮屈だったなら言ってくださいね」
ポケットの拡張はこれ以上は出来ませんが~とか色々言ってくれてるが、それは全然大丈夫。それより、こうやって顔だけでも出してれば、さっきまでのは此処に私がいたせいだって解るからね。取り敢えず、これで変な噂になる事は無いはず。キュルルーとさっきよりは控え目に鳴ってるお腹。お腹の音お前も自重しろよおぉ!
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