物語は突然に

かなめ

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神とは

オノタカムイの書3

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あともう少し…あともう少しで全部読み終わる…っ。ココまで長かった…。途中で、例の意味が解らんのが何箇所か出てくるわ、やっちゃった系はやらかしちゃった事自体よりもその後の言動が問題だったりとか、正義感が強いのか単にやりたい放題なのか、もう本当に何なの、この人。

よはたがえど、かくやあらん
まどうはみち、あざへれよ
やがてはたいがと、わたりあり

また来たよ。これ、この意味が解らないヤツ。普通に訳すなら、〝時代は変わってもこんなもんだろ。進路(多分)に迷ってもいずれは一本のデッカい何かになって進めるよ〟的な?ちょっとザックリ訳しすぎだけど、こんな感じ?うん、そりゃそうですね~的な事をわざわざ数頁開けては、また書き込んでるのは何でなの?しかもこう、思わせぶり感が満載で。何か意味があって書かれてる…って事だろうか。
それにしてはおかしい。大体、間隔にしても二~三頁の時もあれば、十頁ほど開いてる時もある。並び方も統一性が無いし、全部平仮名で書かれてるのも変だ。平安時代って男の人は漢字が主だったんじゃなかったんだっけ?
う~ん……。何かが隠されてるとか…?
全然解らんけど。
何がおかしいって、日記の内容とこの意味不明のコレがどうにも同一人物の呟きに思えないんだよね…。
いや、まぁ、普段の日記では色々と面倒臭いヤツっぽく見えても、実は繊細な人だったりするのかもしれないし、そんなの一概に言えないけども!
それにしては、並び方も書き方も、全部平仮名だったりするのもおかしいし。
どういう事なんだろう?
考えながらも頁をめくる。
おっと、最後の頁………。

【小野篁】

デデンと真ん中に一行。
名前だね、うん。名前…おののたかむら。
ふ…………。
誰だよ、オノタカムイとか言い出したヤツはぁぁあ!
小野篁、デスヨネー。思い出したわー。平安時代の貴族の何ちゃら。何か本も読んだよ、確か。アレでしょ、遣隋使、いや遣唐使だったっけ?ま、どっちでもいいや。仮病使って行かなかったとか、お母さんのために冥府の役人になったとか、恩義のある知り合いが死んじゃった時に閻魔様に頼んで助けてあげたとか、何か他にも諸々。文才あって、武芸も確か優れてて、短歌とかも何か有名だったりの脳ある鷹ってヤツなのに、隠さない爪でバッサバッサと言いたい放題な人。
……日記そのまんまな人やん。スゴイ人なの?ヤバイ人なの?どっちなの?
いや、そもそも、そんな人がなぜこの世界にいたのよ?
あっ!ジリスさんがメッチャ何か言いたそうな顔で見てる…。ヤバイ、ジリスさんがいるの忘れてた。ヤバイ。
「あの、お茶…の、おかわり貰ってもイイですか?」
「え?あ、はい」
取り敢えず一息入れよう、そうしよう。ついでにジリスさんへの言い訳も考えとこう。どうしよう?
ジリスさんが部屋から出ていくのを横目で見ながら、少し考えを巡らせる。
うーん…、ジリスさんに何て言えばイイのか。ぶっちゃけ日記だしなぁ…。いや、謎めいた感じのもあるにはあるけど、アレをどう説明すればイイのか。自分もよく解らないっていうのに………って、あれ?小野篁って、確か、何か謎解きみたいな事もやってたよね?何だっけ?ねこのこねこねこ?何か違うな。でもそんな感じの話があったよね?だとすると…やっぱり、日記のアレは意味がある…?
意味があるにしてもどういう意味が?そもそも何箇所あった?いや、合間の間隔も重要なのか?並び方や書き方は?全部平仮名なのも意味があるって事?合間にあった日記にも意味があるんだろうか?そもそも何に対して書かれたモノ?いや、何かを示したモノとか?
何処でそれを判断すればイイ?表紙か?何も書かれてないところとか?
…………………。意味が解らん。
中表紙は、とかくや。〝とかく、や〟かな?〝あれやこれや、か?〟とかそういう感じ…だよね?日記なのに何で疑問系なんだろう。
あっ!
〝雑多な日記だと思うか?〟って事か!?ん?という事は…やっぱり唯の日記じゃないって事?!
大体、それも何で中表紙なの?表紙でイイじゃん。いや、逆に表紙にしなかった理由は何だろう?
……こんなん解らんて……。
謎の範囲広すぎない…?
えぇ~…。これ…これ、一日で読み解くとか無理じゃね?小野篁って何?!天才か?天才の人か?こちとら普通の一般人なんですけどぉ?!天才の考える事なんて解るかぁぁ!世の大半は一般人で出来てるんだぞ?!もっと解りやすく書いてよぉぉ!


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