ホラーたんぺんしゅう

姫宮未調

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部員を求める女生徒

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━━ある男性が語る、学校に纏わる怪談をひとつ


……このお話は夢に見るまで忘れていたお話です。
ボクが体験したお話。
ボクがまだ中学一年生の頃、まだ両親が生きていた頃なので18年近く前のことになります。
学校には怪談話は付き物です。
そのときボクはクラスメイト数人と談笑しながら一階にいました。
何か忘れ物をしたからと一人の男子がもう一人に取ってきてくれよと頼んだんです。
その学校はエレベーターがあったんですが、運悪くその日は『故障』していました。舌打ちをしながら、頼まれた男子は階段を文句をいいながら上がっていきます。
一年生は三階に教室があります。投げ遣りになりながらかけ上がっていこうとしていました。
ボクは彼の性格を知っていたので心配になって無言でついていきます。
むしろ、ボクの方が速いと思ったので。
前を見ていなかった彼、彼のあとを追っただけのボク。

……不思議なことが起こりました。
三階までしかないのに階段が続いていたんです。
それは屋上に続く階段。そんなもの、存在しないはずなんです。
彼もまたびっくりして立ち止まります。
止まった彼とボクが見たのはもうひとつ。
そこに真夏の日差しを受けて、逆光で顔のみえないショートカットのボーイッシュな風貌の女の子が居たんです。
少し高めの身長。(ボクが小さいのでそこまで大きくなかったかもしれません)
見たこともないけれど、同じ制服なので先輩なのかもしれないと思いました。
でも、違和感が襲いました。彼もまた怪訝な顔しています。
彼女はボクには気がつかず、彼に話し掛けます。
『…この学校にはね?怪談があって、ある時期になると屋上に続く階段が現れるの。そこでは新入部員を……………………』
そこまでいうとビックリしている彼の後ろの襟まで手を伸ばし、女性とは思えない力で引っ張りあげます。
『……吊し上げにするのよ!  』
そう言って彼を階段に叩きつけようとしました。

何故かそのとき、不自然にボクの登ってきた階段に彼女へのショートカット階段がついていたんです。ボクは脇目も振らず、その階段を駈け上がり、『やめろぉぉ!!!  』と叫び、彼女を突き飛ばそうとしたんです。力加減なと省みずに……。
彼女はボクの声を聞いて目を見開いて驚愕していました。まるであり得ないものを見るかのように。
彼女はボクを憎らしそうに見つめ、(逆光なので目は見えなかったんですけど)掻き消えました。
彼はそのまま落ち、廊下に尻餅をつきました。

……気がつくと、もうそこには屋上へ続く階段などありませんでした。
彼は恐怖に怯え、ボクにぶつかって慌てて、『わりぃ!!  』と言って階段を降りていきました。
……………ボクもそこにはいたくなかったので後にしようと思って、きびすを返した途端、
『……おまえを切り離してやる……』
そう、さっきの女生徒の低い声が聴こえてきました。
ボクは身震いしました。……いえ、あのときはこんな声なかったはずなんです。
もしかしたら、ボクはこの真夏の間にまた、彼女に会うのでしょうか。
邪魔をしたボクを殺しに彼女はやって来るのでしょうか。

……ボクはそうだとしても、きっと大丈夫だと信じています。
今度こそ、もう現れないようにしてあげるつもりでいるから……。

終わり
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