転生したらぼっちだった

kryuaga

文字の大きさ
3 / 72
プロローグ

#3

しおりを挟む



「つまり、俺はその世界に送ってもらえるって事ですか?」



 おいしい話には裏がある、なんて格言の様なものの存在も忘れて、思わず敬語になりアマテラスに結論を迫る現金な護。



「うん。君が望むなら可能だよ。でもその前に、色々と説明しなくちゃいけない事もあるから落ち着いて?」



「あっ、と。すみません」



 体ごとアマテラスに迫っていた事に気付き、慌てて体を引くが、勢いが強すぎたのか、尻餅をついてしまう。



「ふふ、落ち着いたかな? ……それじゃあ説明を始めるね」





 曰く、その世界"トイボックス"には、



 大地の生み出す特有のエネルギー(護は魔力と仮称)があり、大地から溢れ出た魔力によって草木を始め、動物や人間すらも活性化、あるいは変異させ、魔物や魔獣、幻獣や聖獣、あるいは特異な人族を生み出しているそうだ。

 魔力というこの世界特有のエネルギーによって世界管理に必要な想いの力にも余裕ができ、トイボックス担当の神が弄る事が出来てしまったらしい。



 魔力の影響を受けて変異し、生み出された人族には様々な種族がおり、



 一部の素体となり、多種族のように尖った能力は無いが、肉体的にも身に宿す魔力量的にも平均的で、体の精強差は比べ物にならないが、地球人ともほぼ完全に肉体構造を同じくする、普人族。



 肉体的にかなり頑強で、魔力量は普人族にやや劣るが、部族毎に更に様々な特徴を備える、獣人族。



 魔力量や、それを操作する才能が高く、比較的手先も器用。

 ほとんど、という程ではなく、比較的美形が多く華奢で、耳が長い、森人族……いわゆるエルフ。



 獣人族には劣るが、やや頑強な肉体を持ち、普人族よりはそこそこ多い魔力量を持つが、戦闘センスはあまり無いらしく、それでいて手先は器用で鍛治などの生産や創造を好む、山人族……要するにドワーフ。



 同一種族ですら似通った特徴があまり現れず、個人個人でやたら尖った外見や能力を持つ、魔人族……ただし特化能力以外はからっきし。





 曰く、トイボックスには、



 トイボックスの担当神が作ったダンジョンがあり、最奥にある魔力の凝縮された核を手に入れれば、巨万の富、強大な魔力、後述する強力であったり特殊であったりするスキル、あるいは付随する名声を手に入れられるという。



 内部には獣を初めとした魔物や魔獣、幻獣に聖獣、様々な人族などの姿を模したモノがモンスターとして存在しており、魔力核を守っているそうだ。

 日夜冒険者が、さらには獣や魔物などの人族ではない者達すら、ダンジョンに挑んでは命を散らし、あるいは魔力核ほどではないが、副次的な利益を得て帰るそうだ。





 曰く、トイボックスには、



 ダンジョン発生前より存在した"探索者"といった、その名の通り、各地の探索や調査、様々な素材の採集などを行うトレジャーハンターの様な者達が、ダンジョン発生よりしばらくして"冒険者"と名を変え、冒険者ギルドと呼ばれる互助組合を立ち上げ、ダンジョンに挑む者達、以前のような探索を行う者をサポートする組織があるそうだ。



 しかしそこでまたギルドの存在を面白がった担当神が介入し、冒険者である事を証明し、身分証明にもなるギルドカードに様々な機能を追加した。

 それは冒険者達にとって青天の霹靂のような機能ばかりであったが、ギルド職員に取ってもまた別の意味で青天の霹靂であった。

 いつの間にかギルドカードが有り得ないほど機能を飛躍させたうえ、何故か作り方の知識が頭の中にあり、それでいて機能を付与する原理が全く理解出来ないのである。

 初めの内は他の技術に転用出来ないか研究がなされていたが、何の成果も出ず、今では作り方は職員であれば大抵知っているが、原理が理解出来ない事に何の違和感も持たなくなっているのだそうだ。





 曰く、トイボックスへ行くならまずギルドに登録するのがお勧めらしい。



 と、言うのも、先程の話に出たギルドカードの存在が大きい。

 トイボックスではダンジョン内のモンスターに限らず、植物を含め、ありとあらゆる生物が魔力を持っている。

 ギルドカードには、倒した相手から素材の質を損なわない程度に魔力を奪い、溜める機能がついていて、溜めた魔力をギルドで清算すると、普通に生活するよりも効率よく魔力を体に取り込むことが出来る。

 ……実の所、その魔力の多くを清算する際担当神にピンハネされているのだが、人族は知る由もないし、それでもギルドカード無しで魔力を取り込むより数倍は効率がいいそうだ。



 そして魔力の高効率吸収と同等以上に価値のある機能が、[想いとスキルの交換]だ。

 これも担当神の遊び心によって生み出されたもので、そもそもトイボックスにスキル等というものは存在しなかった。



 ギルドカードには想いを±別に吸収し、溜める機能もついており、ダンジョン内でマイナスの想いはもちろん、ダンジョン外の生物からもマイナスの想い、少なくはあるがプラスの想いも集める事が出来る。



 ちなみに通常通りに、想いの発生方法である感謝の祈りや憎しみによっても想いは溜める事が出来る。

 マイナスの想いは溜まりやすいが、ある程度までの基本的な技術や知識のスキルまでしか交換が出来ない。

 プラスの想いは非常に溜まりにくいが、上位の技術や知識、あるいは特殊なスキルと交換することが出来るそうだ。



 勿論、交換された想いは担当神の楽しみのために利用される。

 魔力で世界が安定しているのをいいことに、プラスの想いの数割をスキルの創造に、残りは自分のために。

 マイナスの想いの何割かはきちんと処理しているのだが、残りは全部何かに利用しているらしい。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...