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即断即決③
どうやら、公爵家には近々子供が生まれるらしい。
……優男の公式愛人が妊娠して、それ以来、公爵家はお祝いムードで一杯、らしい。
当然、この離れには関係ないんだけど。
意地悪な使用人の一人が私を馬鹿にして嬉しそうに教えてくれるので、嫌味で返してやっている。
「ここの使用人でいる限りは、お祝いには参加できそうにもないね」って。
でも、本気でどうでもいい。
だって……私が結婚した理由は、一つだから。それ以外のことは、本当に、どうでもいい。
最近の日課である乗馬をしようと、離れにある馬小屋にいると、足早に入ってくる足音がした。
私はエドだと思って振り返る。馬の乗り方を教えてくれたのも、エドだったし、私が毎日乗っているのに、エドも付き合ってくれているから。
だけど、そこにいたのは、顔を真っ赤にした優男だった。
「エヴァ!」
怒鳴りつけられたことに、私は肩をすくめる。
怒鳴りつけられるようなことはした覚えはないんだけど?
「はい。何?」
この生活が始まって2年。優男と話すのは、実に2年ぶりだった。
それくらい、この優男たちと私の接触はなかったんだけど。
というか、それが結婚の約束のうちだったと思うし、それは破ってないんだけどな?
「お、お前と言うやつは、しらばっくれるつもりか!?」
「私が一体何の悪いことしたって言うのさ?」
私が首を傾げると、優男が目を見開いた。
「何をしたか、自分でわかっていないのか!?」
私は小さく首を振った。
「全然わかんない」
「我が家の金を使い尽くして、何がわからないだ!」
「へー。使い尽くしちゃったんだ? 案外、大したことない資産だったね」
「何を言っているのかわかってるのか!? お前は、我がタッペル公爵家の莫大な資金を使い果たしたんだぞ!」
怒り狂う優男に、私は首をかしげた。
「それで?」
優男が体を震わせる。どうやら怒りが強まったらしい。
「それで、だと?! お前には事の重大さが理解できないのか!?」
「えーっと。それの何が悪いのか、私にはわかんないんだけど?」
「お金を使い尽くしておいて、何が悪いかわからないなどと!」
「だって、好きなだけお金使っていいって、言ったの自分でしょ」
私の返しに、優男が眉を寄せる。
「そんなこと言った覚えはない!」
うわぁ。自分の都合が悪くなると、そんなこと言うんだ?
「王様の次に偉い人の癖に、そんな嘘よくつけるね。貴族の風上には立てないんじゃないの?」
「うるさい! うるさい! うるさい! 早く買ったものを商人に返せ! 金を取り戻してこい!」
「えー。無理」
何言ってるんだろう、優男。お金で買うのが、返金できるものばっかりだと思ってるって、想像力乏しすぎるんじゃない?
「どこにある! 宝石ばかり買い集めたのだろう!」
「そんなもの買ってないよ。信じないなら探せば?」
私の言葉に、優男は私の腕をつかむと無理矢理離れの部屋に入っていく。
うわー。本当に信じてないんだ。っていうか、痛いし!
「離して!」
「離すか! こっちにこい!」
「こ、公爵様、どうされたのですか!」
優男の剣幕に、使用人たちが驚いている。
「こいつが買い集めた宝石や貴重品はどこにある!?」
優男の言葉に、使用人たちが困惑した表情になる。
そりゃ、そうだ。
「あの、そんなものは、この家のなかには一つもありません」
おずおずと告げる使用人に、優男が私の顔を睨み付ける。
あのさ、私の着てる服も、使用人と似たような服だって気づいてる? 自分を飾るものにお金をかける気なんてないの。
「どこに隠している!?」
「隠してないけど?」
「まだ嘘をつくのか!」
バタン、と音がして、ドタドタと足音が聞こえてくる。
誰?
「タッペル公爵様! む、娘が、粗相をしてしまったそうで……」
現れたのは、前に会ったときよりも更にでっぷり太ったクソ豚野郎だった。
「粗相、なんてかわいいものではない! 我が家の全財産を使い果たしたのだ! そうだ。ピョルリング伯爵に、全て補償してもらおうか」
優男の言葉に、クソ豚野郎が顔を青くする。
「おい! 何てことをするんだ! 一体何に金を使ったんだ!」
クソ豚野郎が私に怒鳴りつける。
「いいって言われたから、好きなように使っただけだけど?」
こいつらに説明するだけ無駄だ。よっぽど宝石の方が価値があるって言いそうだし。
「ピョルリング伯爵、この女が使ったお金を回収してくるんだ! いいな!」
「それは無理じゃないかな。お金は回収できないと思うよ」
「「は?」」
優男とクソ豚野郎が、二人とも間抜けな顔になった。
「エド」
無理だと言ったのは、私じゃなくて、エドだった。
「「殿下!」」
クソ豚野郎が更にかしこまった。優男が信じられないような目で私を見つめる。
……殿下?
「タッペル公爵夫人は、非常に慈善事業に熱心でね。貧しい者たちの生活のためにお金を惜しまなかったんだよ。私も協力していたんだけどね」
「私はしたいことをしただけで、慈善事業をしたつもりはない」
いつものようにぶっきらぼうに告げると、クソ豚野郎が焦った顔になる。
「エヴァ! エドヴァルド殿下になんて口をきくんだ!」
なんて口、ねぇ。……だって、エドはエドだから。たとえ……“殿下”と呼ばれるような身分でもね。
「いつもそうだけど? エドには何も言われなかったけど?」
「そうだね。それが面白かったわけだし。それで、ヘンリックたちは、何にそんなに怒っているんだい?」
「殿下は……一体この女がいくらそのくだらないことに費やしたと思っているんですか!」
流石に“殿下”と呼ぶ相手に怒りを爆発させることはできないんだろう。優男はトーンを落として、でも怒りを含んだ顔でエドに告げた。
エドがうーんと、顎に手を当てる。
「くだらなくはないと思うけど……国家の予算と同じような莫大な金額だったのは、確かだね」
「殿下! それだけの金額を使おうとするのに、どうしてこの女を止めて下さらなかったのです!」
優男の追及に、エドが首を傾げた。
「だって、ヘンリックは、好きなだけお金を使っていいと言ったんだろう?」
「そ、それは、この女が勝手に言っているだけで!」
信じらんない。2年前、私ははっきり聞いたけど? ほら、クソ豚野郎も、何か言いたげに優男見てるけど?
「……だが、庶民の多くからは、感謝されることをしたと思うよ? 金よりも名誉を取ったのだと、庶民たちはほめそやしてくれると思うけど。それに、元のお金を使うばかりじゃなく、それを元手に増やす努力をしてなかったのかな?」
エドはまだ優男を説得してくれるつもりらしい。
「ふ、増やす必要がないほどの莫大な金額だったのです! 名誉など、あの莫大な金に代わるものではありません! そんな名誉など、いりません! そもそも、私は自由にお金を使っていいなどと言うそんな約束はしていない! り、離縁だ! こんな女とは離縁してやる!」
「金を自由に使っていいと言ったっていうのを認めてくれるなら、すぐにでも離縁するけど」
私の言葉に、優男が顔を真っ赤にする。
認めたくはないんだろうなー。でも、言ったよね?
「子供がもうすぐ生まれるんでしょ? でも、あの人の立場は愛人でしかないから、かわいそうに、子供も庶子としてしか扱われないんだろうね? 私みたいに」
「お前のような屑とは、すぐに離縁してやる! 私の能力でお金など、いくらでも作り出せるわ! 早くここから出ていけ!」
「我が家とも無関係だ! いいな!」
優男との捨て台詞と、クソ豚野郎の言い分に、私はニヤリと笑う。
「わかった」
頷くと、私は優男とクソ豚野郎とエドを置いて家を後にした。
家の外に出ると、私は大きく息を吸った。
うん。せいせいした。
白い結婚をした目的はほとんど達成したようなものだし。
「エヴァ!」
私があっさりと出ていったのを、驚いた目で見送っていたエドが追いかけてきた。
「何?」
私が首を傾げると、エドが戸惑った表情になる。
「何って……行く当てはあるの?」
「うん。もちろん」
「え?!」
なんで、え?! なんだろ?
……優男の公式愛人が妊娠して、それ以来、公爵家はお祝いムードで一杯、らしい。
当然、この離れには関係ないんだけど。
意地悪な使用人の一人が私を馬鹿にして嬉しそうに教えてくれるので、嫌味で返してやっている。
「ここの使用人でいる限りは、お祝いには参加できそうにもないね」って。
でも、本気でどうでもいい。
だって……私が結婚した理由は、一つだから。それ以外のことは、本当に、どうでもいい。
最近の日課である乗馬をしようと、離れにある馬小屋にいると、足早に入ってくる足音がした。
私はエドだと思って振り返る。馬の乗り方を教えてくれたのも、エドだったし、私が毎日乗っているのに、エドも付き合ってくれているから。
だけど、そこにいたのは、顔を真っ赤にした優男だった。
「エヴァ!」
怒鳴りつけられたことに、私は肩をすくめる。
怒鳴りつけられるようなことはした覚えはないんだけど?
「はい。何?」
この生活が始まって2年。優男と話すのは、実に2年ぶりだった。
それくらい、この優男たちと私の接触はなかったんだけど。
というか、それが結婚の約束のうちだったと思うし、それは破ってないんだけどな?
「お、お前と言うやつは、しらばっくれるつもりか!?」
「私が一体何の悪いことしたって言うのさ?」
私が首を傾げると、優男が目を見開いた。
「何をしたか、自分でわかっていないのか!?」
私は小さく首を振った。
「全然わかんない」
「我が家の金を使い尽くして、何がわからないだ!」
「へー。使い尽くしちゃったんだ? 案外、大したことない資産だったね」
「何を言っているのかわかってるのか!? お前は、我がタッペル公爵家の莫大な資金を使い果たしたんだぞ!」
怒り狂う優男に、私は首をかしげた。
「それで?」
優男が体を震わせる。どうやら怒りが強まったらしい。
「それで、だと?! お前には事の重大さが理解できないのか!?」
「えーっと。それの何が悪いのか、私にはわかんないんだけど?」
「お金を使い尽くしておいて、何が悪いかわからないなどと!」
「だって、好きなだけお金使っていいって、言ったの自分でしょ」
私の返しに、優男が眉を寄せる。
「そんなこと言った覚えはない!」
うわぁ。自分の都合が悪くなると、そんなこと言うんだ?
「王様の次に偉い人の癖に、そんな嘘よくつけるね。貴族の風上には立てないんじゃないの?」
「うるさい! うるさい! うるさい! 早く買ったものを商人に返せ! 金を取り戻してこい!」
「えー。無理」
何言ってるんだろう、優男。お金で買うのが、返金できるものばっかりだと思ってるって、想像力乏しすぎるんじゃない?
「どこにある! 宝石ばかり買い集めたのだろう!」
「そんなもの買ってないよ。信じないなら探せば?」
私の言葉に、優男は私の腕をつかむと無理矢理離れの部屋に入っていく。
うわー。本当に信じてないんだ。っていうか、痛いし!
「離して!」
「離すか! こっちにこい!」
「こ、公爵様、どうされたのですか!」
優男の剣幕に、使用人たちが驚いている。
「こいつが買い集めた宝石や貴重品はどこにある!?」
優男の言葉に、使用人たちが困惑した表情になる。
そりゃ、そうだ。
「あの、そんなものは、この家のなかには一つもありません」
おずおずと告げる使用人に、優男が私の顔を睨み付ける。
あのさ、私の着てる服も、使用人と似たような服だって気づいてる? 自分を飾るものにお金をかける気なんてないの。
「どこに隠している!?」
「隠してないけど?」
「まだ嘘をつくのか!」
バタン、と音がして、ドタドタと足音が聞こえてくる。
誰?
「タッペル公爵様! む、娘が、粗相をしてしまったそうで……」
現れたのは、前に会ったときよりも更にでっぷり太ったクソ豚野郎だった。
「粗相、なんてかわいいものではない! 我が家の全財産を使い果たしたのだ! そうだ。ピョルリング伯爵に、全て補償してもらおうか」
優男の言葉に、クソ豚野郎が顔を青くする。
「おい! 何てことをするんだ! 一体何に金を使ったんだ!」
クソ豚野郎が私に怒鳴りつける。
「いいって言われたから、好きなように使っただけだけど?」
こいつらに説明するだけ無駄だ。よっぽど宝石の方が価値があるって言いそうだし。
「ピョルリング伯爵、この女が使ったお金を回収してくるんだ! いいな!」
「それは無理じゃないかな。お金は回収できないと思うよ」
「「は?」」
優男とクソ豚野郎が、二人とも間抜けな顔になった。
「エド」
無理だと言ったのは、私じゃなくて、エドだった。
「「殿下!」」
クソ豚野郎が更にかしこまった。優男が信じられないような目で私を見つめる。
……殿下?
「タッペル公爵夫人は、非常に慈善事業に熱心でね。貧しい者たちの生活のためにお金を惜しまなかったんだよ。私も協力していたんだけどね」
「私はしたいことをしただけで、慈善事業をしたつもりはない」
いつものようにぶっきらぼうに告げると、クソ豚野郎が焦った顔になる。
「エヴァ! エドヴァルド殿下になんて口をきくんだ!」
なんて口、ねぇ。……だって、エドはエドだから。たとえ……“殿下”と呼ばれるような身分でもね。
「いつもそうだけど? エドには何も言われなかったけど?」
「そうだね。それが面白かったわけだし。それで、ヘンリックたちは、何にそんなに怒っているんだい?」
「殿下は……一体この女がいくらそのくだらないことに費やしたと思っているんですか!」
流石に“殿下”と呼ぶ相手に怒りを爆発させることはできないんだろう。優男はトーンを落として、でも怒りを含んだ顔でエドに告げた。
エドがうーんと、顎に手を当てる。
「くだらなくはないと思うけど……国家の予算と同じような莫大な金額だったのは、確かだね」
「殿下! それだけの金額を使おうとするのに、どうしてこの女を止めて下さらなかったのです!」
優男の追及に、エドが首を傾げた。
「だって、ヘンリックは、好きなだけお金を使っていいと言ったんだろう?」
「そ、それは、この女が勝手に言っているだけで!」
信じらんない。2年前、私ははっきり聞いたけど? ほら、クソ豚野郎も、何か言いたげに優男見てるけど?
「……だが、庶民の多くからは、感謝されることをしたと思うよ? 金よりも名誉を取ったのだと、庶民たちはほめそやしてくれると思うけど。それに、元のお金を使うばかりじゃなく、それを元手に増やす努力をしてなかったのかな?」
エドはまだ優男を説得してくれるつもりらしい。
「ふ、増やす必要がないほどの莫大な金額だったのです! 名誉など、あの莫大な金に代わるものではありません! そんな名誉など、いりません! そもそも、私は自由にお金を使っていいなどと言うそんな約束はしていない! り、離縁だ! こんな女とは離縁してやる!」
「金を自由に使っていいと言ったっていうのを認めてくれるなら、すぐにでも離縁するけど」
私の言葉に、優男が顔を真っ赤にする。
認めたくはないんだろうなー。でも、言ったよね?
「子供がもうすぐ生まれるんでしょ? でも、あの人の立場は愛人でしかないから、かわいそうに、子供も庶子としてしか扱われないんだろうね? 私みたいに」
「お前のような屑とは、すぐに離縁してやる! 私の能力でお金など、いくらでも作り出せるわ! 早くここから出ていけ!」
「我が家とも無関係だ! いいな!」
優男との捨て台詞と、クソ豚野郎の言い分に、私はニヤリと笑う。
「わかった」
頷くと、私は優男とクソ豚野郎とエドを置いて家を後にした。
家の外に出ると、私は大きく息を吸った。
うん。せいせいした。
白い結婚をした目的はほとんど達成したようなものだし。
「エヴァ!」
私があっさりと出ていったのを、驚いた目で見送っていたエドが追いかけてきた。
「何?」
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「え?!」
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