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即断即決④
「……だって、離縁の話が出たのは、今日の今日、なんだよね?」
「そうだけど?」
私だって、自分の身が解放される日が来るとか思ってもなかったけど。
「……いきなり、放り出されたら、困ることないかな?」
「うーん。まあ、困るかもしれないけど、元々こんなお貴族様みたいな生活はしてなかったしね。どうとでも生きていけるよ」
「いや、でも……」
変なエド。
今日はいやに歯切れが悪いな。
「何が言いたいわけ?」
「私が力を貸そうか?」
「いや。今までさんざん貸してもらったから、大丈夫。今まで本当にありがとう。慈善事業? ってやつも、エドのおかげで、色々とスムーズにいったと思うよ。まあ、殿下? の立場なんだから、話もスムーズにいくよね」
私には自由にできるお金があったけど、伝手も、信頼もなかったから、相手との交渉がスムーズにいく気がしなかった。
だから、私はお金を出す代わりに、矢面にエドに立ってもらって、いろんなことを進めていったのだ。
まさか相手が“殿下”って立場だと思わなかったから、思った以上にエドって人を口説く才能があるんだなーって感心してたんだけどね。
“殿下”がお金持ってきて、これ作ってほしい、って言ったら、断る人はそうそういないよね。
「えーっと……そういうことではなくて……離縁したのなら、私と結婚を……」
「断る!」
エドが全部言い終わる前に、話をぶち切った。
だって……無理だし。
エドは力なく目を伏せた。
いつもと違う表情に、私の胸がチクリとする。
でも……無理なものは無理だから。
「話って、それだけ?」
私の問いかけに、エドがゆっくりと顔を上げる。
「ああ。悪かった。変なことを言い出して。……もし、私の力を貸してほしければ……連絡してくれ」
エドの言葉に、私は苦笑する。
「流石に庶民の立場で王子様をこき使っちゃダメでしょ。私でも、それくらいはわかるって!」
「いや、公爵夫人だったとしても、普通はダメだろ」
「あいにく、知らなかったもんで」
この言葉遣いも、本当はダメなんだろうなー。でも、他の言葉遣いとか知らないし。
「いや。おかげで、私も自分の素を出していられたから……エヴァとの時間は大切な時間だったんだ」
エドのまっすぐな視線に、私は視線をそらしてしまう。
「そっか。それくらいは役に立たないとね!」
へへ、と愛想笑いをして、私はエドを見る。
「本当に、お世話になりました」
私はぎこちなく、見よう見まねで礼を取って見せてみる。まあ、普通の令嬢のようなドレスは着てないから、不格好かもしれないけど。
「……元気で」
絞りだしたようなエドの言葉に、私の胸はキュッと締め付けられる。
だけど、私は精いっぱいの笑顔を見せて、エドに背中を向けた。
だって、決めたから。
◇
「エヴァおねえちゃん!」
「はいはい。何の本が読みたいわけ?」
「これ、これ読んで!」
私の周りに、小さな子供たちが群がってくる。
まだ、学校には行けない年齢の子供たちだ。だけど、公爵夫人である間に、こんな孤児院にいる子供たちでも学校に行けるような手はずは整えたし、孤児院でも、簡単な読み書きが習えるように、本だとか色々、勉強しやすい環境を整えてみた。
そして私は、庶民のための学校を作るときには顔を出すことはなかったけど、孤児院とか教会とかに本を配りに行ったりしていたから、伝が多少はあった。
だから、離縁を申し出られたその足で、孤児院に向かった。
子供たちに読み書き計算を教えるから、置いて欲しいって。
そして無事、私の棲家は決まった。
さすがに食いぶちを稼ぐ必要もあったから、近所の裕福な商家で読み書きを教えたりもしている。
それくらいの十分な知識は、エドに習ったから。
あれから半年経ったけど、エドは、どうしているんだろうな。
「エヴァおねえちゃん!」
「あ、はいはい。どれ読むんだっけ?」
時々、あの日々を懐かしく思うときがある。
エドと言い合いながら、笑い合いながら、庶民のための学校を作るために奔走した日々。
エドが矢面に立っていたお陰で、第四王子は庶民の味方だって、巷では大人気だ。
エドが人気を得ると、あの優男は、お金は自分が出したんだよー、ってアピールし始めたらしいけど、実際に行動したのがエドなもんだから、お金を持ってるんだって思われただけで、いろんな人にたかられてるらしい。
本当はお金もないのにね。ざまぁ。
そうそう、クソ豚野郎は、優男のお金を目当てに事業を拡げたもんだから、手詰まりになってると風の噂に聞いた。
じーちゃんとばーちゃんの二人は、今も元気に暮らしている。私がクソ豚野郎と優男のところから逃げてこれたのをとても喜んでくれた。
「エヴァおねえちゃん?!」
あ。いけない。さて、読むとするか。……王子様が出てくる話かぁ。女の子は、こういうの好きだよね。
◇
「めでたし、めでたし」
私はぱたんと本を閉じる。
目をキラキラと輝かせた女の子たちは、きっと自分が王子様と結婚した貧しい少女の気持ちになっているんだろう。
「ねえ、エヴァおねえちゃん。私も王子様と結婚できるかな?」
「無理だね」
私はさっくり、女の子の夢を壊した。
女の子たちの顔が、とたんに哀しい表情になる。
「現実は厳しいよ。だって、王子様のお妃さまになるためには、いろんなマナーとか、勉強とか、しなきゃいけないんだよ? お貴族様の世界は庶民にはもっともっと厳しいし。沢山意地悪だってされると思うけど? それに耐えられる?」
私の言葉に、女の子たちは一様にムッとした顔をした。
「王子様のことが本当に好きなら、できるよ!」
幼い考え方に、私はついほおが緩む。
私だって、もっともっと幼かったら、きっと、そんな風に軽く考えられていただろうけど。
庶民のための学校を開くために動いていた時、私もエドと一緒に、関係者たちと会議に出席したことがある。当然、お貴族様もその中にはいて、その人たちの私を見る視線は、ひどく冷たかった。
私がタッペル公爵夫人であることを明らかにしてなかったこともあったけど、その所作をいちいち馬鹿にされているみたいだった。
それに、私の発言は、一切取り合ってもらえなかったから。
だから、私はエドだけを矢面に立たせて、私は表に出ないようにしていた。
「世の中、そんなに甘くないから」
「あんな風に、王子様が迎えに来てくれても、ダメなの?」
「あんな風って、どんな風……」
女の子の一人が指さした先に視線を向けて、私は目を見開いた。
……私が会っていた時とは違う、きっちりとした造りの服を着こんだエドがいた。
エドは視線が合うと、にこりと微笑む。
「なるほど、そこをクリアできれば、大丈夫なのかな?」
「無理、無理だって!」
無理無理無理無理!
エドが“殿下”って呼ばれた瞬間に、諦めたのに!
「でも、私のことを好きじゃないとは言わないんだね?」
私は必死で首を横に振る。どうかなりたいとか、大それたことなんて思ってなかった。ただ、淡い淡い恋心を大切にしておきたかっただけだった。……本当に、それだけだった。
「ねー、ねー。王子様は、エドって人?」
一人の女の子が、エドの服を引っ張る。
エドが不思議そうに首を傾げる。
「うん。エヴァにはエドって呼ばれていたよ?」
「エヴァおねえちゃん、エドって呼びながら泣いてたよ? 意地悪しちゃだめだよ?」
私は慌てる。心当たりはあったけど、まさか誰かに見られてるとか思ってもなかった。
「意地悪はしたつもりはないんだけどね。エヴァお姉ちゃんに、結婚してほしいって言いに来たんだ」
わぁ! と女の子たちがざわめく。
「無理」
「庶民のための学校は軌道に乗ってきたけど、まだまだ問題が山積みでね。庶民の視点で意見を言ってくれる人間が必要なんだ」
「そ、それは……協力するけど」
私の答えに、エドがニコリと笑う。
「そういう人間を、私の妻に求めているんだ」
「そういうつもりで協力するって言ってない!」
「知っての通り、私はあまり社交の場には出ないから、エヴァが心配するような場面は少ないと思うよ。ゼロにはできないけど」
「無理!」
「父上が、いろんなことにやる気のなかった私を動かしたエヴァに褒美を取らせると」
「いや、いらないから!」
「だから、私を褒美にしてもらったから」
「……無茶苦茶……」
顔を覆った私の手を、エドがそっとつかむ。
ぺりぺりと顔から手が離されて、否応なくエドが視界に入る。
「いらないとは言わないんだね」
これを即断即決できる勇気なんて、私にはない。
でも、会わなくなってからもずっと、エドが恋しかったのは本当だから。
私は、こくりと頷いた。
完
「そうだけど?」
私だって、自分の身が解放される日が来るとか思ってもなかったけど。
「……いきなり、放り出されたら、困ることないかな?」
「うーん。まあ、困るかもしれないけど、元々こんなお貴族様みたいな生活はしてなかったしね。どうとでも生きていけるよ」
「いや、でも……」
変なエド。
今日はいやに歯切れが悪いな。
「何が言いたいわけ?」
「私が力を貸そうか?」
「いや。今までさんざん貸してもらったから、大丈夫。今まで本当にありがとう。慈善事業? ってやつも、エドのおかげで、色々とスムーズにいったと思うよ。まあ、殿下? の立場なんだから、話もスムーズにいくよね」
私には自由にできるお金があったけど、伝手も、信頼もなかったから、相手との交渉がスムーズにいく気がしなかった。
だから、私はお金を出す代わりに、矢面にエドに立ってもらって、いろんなことを進めていったのだ。
まさか相手が“殿下”って立場だと思わなかったから、思った以上にエドって人を口説く才能があるんだなーって感心してたんだけどね。
“殿下”がお金持ってきて、これ作ってほしい、って言ったら、断る人はそうそういないよね。
「えーっと……そういうことではなくて……離縁したのなら、私と結婚を……」
「断る!」
エドが全部言い終わる前に、話をぶち切った。
だって……無理だし。
エドは力なく目を伏せた。
いつもと違う表情に、私の胸がチクリとする。
でも……無理なものは無理だから。
「話って、それだけ?」
私の問いかけに、エドがゆっくりと顔を上げる。
「ああ。悪かった。変なことを言い出して。……もし、私の力を貸してほしければ……連絡してくれ」
エドの言葉に、私は苦笑する。
「流石に庶民の立場で王子様をこき使っちゃダメでしょ。私でも、それくらいはわかるって!」
「いや、公爵夫人だったとしても、普通はダメだろ」
「あいにく、知らなかったもんで」
この言葉遣いも、本当はダメなんだろうなー。でも、他の言葉遣いとか知らないし。
「いや。おかげで、私も自分の素を出していられたから……エヴァとの時間は大切な時間だったんだ」
エドのまっすぐな視線に、私は視線をそらしてしまう。
「そっか。それくらいは役に立たないとね!」
へへ、と愛想笑いをして、私はエドを見る。
「本当に、お世話になりました」
私はぎこちなく、見よう見まねで礼を取って見せてみる。まあ、普通の令嬢のようなドレスは着てないから、不格好かもしれないけど。
「……元気で」
絞りだしたようなエドの言葉に、私の胸はキュッと締め付けられる。
だけど、私は精いっぱいの笑顔を見せて、エドに背中を向けた。
だって、決めたから。
◇
「エヴァおねえちゃん!」
「はいはい。何の本が読みたいわけ?」
「これ、これ読んで!」
私の周りに、小さな子供たちが群がってくる。
まだ、学校には行けない年齢の子供たちだ。だけど、公爵夫人である間に、こんな孤児院にいる子供たちでも学校に行けるような手はずは整えたし、孤児院でも、簡単な読み書きが習えるように、本だとか色々、勉強しやすい環境を整えてみた。
そして私は、庶民のための学校を作るときには顔を出すことはなかったけど、孤児院とか教会とかに本を配りに行ったりしていたから、伝が多少はあった。
だから、離縁を申し出られたその足で、孤児院に向かった。
子供たちに読み書き計算を教えるから、置いて欲しいって。
そして無事、私の棲家は決まった。
さすがに食いぶちを稼ぐ必要もあったから、近所の裕福な商家で読み書きを教えたりもしている。
それくらいの十分な知識は、エドに習ったから。
あれから半年経ったけど、エドは、どうしているんだろうな。
「エヴァおねえちゃん!」
「あ、はいはい。どれ読むんだっけ?」
時々、あの日々を懐かしく思うときがある。
エドと言い合いながら、笑い合いながら、庶民のための学校を作るために奔走した日々。
エドが矢面に立っていたお陰で、第四王子は庶民の味方だって、巷では大人気だ。
エドが人気を得ると、あの優男は、お金は自分が出したんだよー、ってアピールし始めたらしいけど、実際に行動したのがエドなもんだから、お金を持ってるんだって思われただけで、いろんな人にたかられてるらしい。
本当はお金もないのにね。ざまぁ。
そうそう、クソ豚野郎は、優男のお金を目当てに事業を拡げたもんだから、手詰まりになってると風の噂に聞いた。
じーちゃんとばーちゃんの二人は、今も元気に暮らしている。私がクソ豚野郎と優男のところから逃げてこれたのをとても喜んでくれた。
「エヴァおねえちゃん?!」
あ。いけない。さて、読むとするか。……王子様が出てくる話かぁ。女の子は、こういうの好きだよね。
◇
「めでたし、めでたし」
私はぱたんと本を閉じる。
目をキラキラと輝かせた女の子たちは、きっと自分が王子様と結婚した貧しい少女の気持ちになっているんだろう。
「ねえ、エヴァおねえちゃん。私も王子様と結婚できるかな?」
「無理だね」
私はさっくり、女の子の夢を壊した。
女の子たちの顔が、とたんに哀しい表情になる。
「現実は厳しいよ。だって、王子様のお妃さまになるためには、いろんなマナーとか、勉強とか、しなきゃいけないんだよ? お貴族様の世界は庶民にはもっともっと厳しいし。沢山意地悪だってされると思うけど? それに耐えられる?」
私の言葉に、女の子たちは一様にムッとした顔をした。
「王子様のことが本当に好きなら、できるよ!」
幼い考え方に、私はついほおが緩む。
私だって、もっともっと幼かったら、きっと、そんな風に軽く考えられていただろうけど。
庶民のための学校を開くために動いていた時、私もエドと一緒に、関係者たちと会議に出席したことがある。当然、お貴族様もその中にはいて、その人たちの私を見る視線は、ひどく冷たかった。
私がタッペル公爵夫人であることを明らかにしてなかったこともあったけど、その所作をいちいち馬鹿にされているみたいだった。
それに、私の発言は、一切取り合ってもらえなかったから。
だから、私はエドだけを矢面に立たせて、私は表に出ないようにしていた。
「世の中、そんなに甘くないから」
「あんな風に、王子様が迎えに来てくれても、ダメなの?」
「あんな風って、どんな風……」
女の子の一人が指さした先に視線を向けて、私は目を見開いた。
……私が会っていた時とは違う、きっちりとした造りの服を着こんだエドがいた。
エドは視線が合うと、にこりと微笑む。
「なるほど、そこをクリアできれば、大丈夫なのかな?」
「無理、無理だって!」
無理無理無理無理!
エドが“殿下”って呼ばれた瞬間に、諦めたのに!
「でも、私のことを好きじゃないとは言わないんだね?」
私は必死で首を横に振る。どうかなりたいとか、大それたことなんて思ってなかった。ただ、淡い淡い恋心を大切にしておきたかっただけだった。……本当に、それだけだった。
「ねー、ねー。王子様は、エドって人?」
一人の女の子が、エドの服を引っ張る。
エドが不思議そうに首を傾げる。
「うん。エヴァにはエドって呼ばれていたよ?」
「エヴァおねえちゃん、エドって呼びながら泣いてたよ? 意地悪しちゃだめだよ?」
私は慌てる。心当たりはあったけど、まさか誰かに見られてるとか思ってもなかった。
「意地悪はしたつもりはないんだけどね。エヴァお姉ちゃんに、結婚してほしいって言いに来たんだ」
わぁ! と女の子たちがざわめく。
「無理」
「庶民のための学校は軌道に乗ってきたけど、まだまだ問題が山積みでね。庶民の視点で意見を言ってくれる人間が必要なんだ」
「そ、それは……協力するけど」
私の答えに、エドがニコリと笑う。
「そういう人間を、私の妻に求めているんだ」
「そういうつもりで協力するって言ってない!」
「知っての通り、私はあまり社交の場には出ないから、エヴァが心配するような場面は少ないと思うよ。ゼロにはできないけど」
「無理!」
「父上が、いろんなことにやる気のなかった私を動かしたエヴァに褒美を取らせると」
「いや、いらないから!」
「だから、私を褒美にしてもらったから」
「……無茶苦茶……」
顔を覆った私の手を、エドがそっとつかむ。
ぺりぺりと顔から手が離されて、否応なくエドが視界に入る。
「いらないとは言わないんだね」
これを即断即決できる勇気なんて、私にはない。
でも、会わなくなってからもずっと、エドが恋しかったのは本当だから。
私は、こくりと頷いた。
完
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