5 / 7
番外編①
「ヨハンナ様、お耳に入れたいことが」
声をかけてきたのは、タッペル公爵家の執事だった。
私は、できるだけ優雅に見えるように首を傾げてみせた。
この家の女主人は、私以外にはないと、示すように。
「何かしら?」
昔とは全然違う言葉遣いも、ヘンリック様との生活が長くなると、すっかり身についた。
私の努力のたまものだわ。
「あの娘の家に、エドヴァルド殿下が来たようです」
予想外の名前に、私は目を見開く。
「エドヴァルド殿下が?」
気に入らない気持ちをグッとこらえて、私はいかにも不思議そうな顔をして見せる。
まるで、純粋無垢な少女が、それにどういう意味があるのか理解できないように。
執事は、ふ、と表情を和らげると、首をゆっくり振った。
「ですが、心配は無用です。エドヴァルド殿下に興味を持たれたところで、あの娘とヘンリック様が離縁することはあり得ません。それに、あのエドヴァルド殿下です。特に害はないでしょう」
執事に言われなくとも、エドヴァルド殿下の存在を脅威に感じてなどいなかった。だって、ヘンリック様がいつも言っていたもの。
学友のエドヴァルド殿下は、ぼんくらだと。やる気もないから、国王から見放されていて、学院を卒業した後も、要職につくこともなく、プラプラと遊びまわっているのだと。
それは、社交界でも噂されていることで、間違いのない事実なのだと思うわ。
だけど、あの娘が、誰かの興味をひいた、って事実が気に入らなかった。
「でも、エドヴァルド殿下に、悪いうわさが立つといけないわ」
だけど、私は、ヘンリックの事実上の妻ですから。
優雅にことを運ばなければなりませんわ。
あの娘に、味方など不要ですわ。
私は、あたかもエドヴァルド殿下を心配するふりをして、眉を寄せた。
執事が大きく頷く。
「ヨハンナ様は、本当に心根が優しくていらっしゃる。大丈夫です。エドヴァルド殿下が訪ねて来ても、あの娘はいないと告げてもらうようにしましょう」
私もホッとした顔をして、頷いた。
「そうね。それがいいと思うわ」
スッとした気分になって、私はそのことをすっかり頭の外に追いやった。
だって、次の夜会に着ていくための、私が美しくかつ純粋に見えるドレスを決めなければならないから。
ああ、あの娘に、一つだけ感謝はしているのよ?
私を着飾るためのものを、自由に買える財産が手に入ったのは、あの娘が、ヘンリック様の条件を呑んでくれたから、だから。
だけど、それだけだわ。
ああ。この国にも、庶民も貴族の養子になれる制度があれば、私をどこかの貴族の養子にしてもらって、ヘンリック様の名実ともに妻となれるはずだったのに! 貴族の出でなければ他の貴族の養子になれないなんて法律を作ったのは、どこの誰かしら。
……それだけが、本当に残念だわ。
◇
「ヨハンナ様、お耳に入れたいことが」
耳打ちしてきた執事は、困ったような顔をしている。
「どうかしたのかしら?」
「エドヴァルド殿下は、庭先にいるあの娘と、度々会っているようです」
私の眉が寄る。庭先にいるなんて、淑女にはあるまじき姿だわ。
「エドヴァルド殿下に、悪いうわさがつかないかしら?」
「どうやら、あの娘に、殿下が文字を教えているようです」
私は瞬きをする。
「文字?」
「ええ。文字。それから、計算を習っているようです」
勉強しているだけ? 私は首を傾げる。
「エドヴァルド殿下手ずから教えていただくなんて、恐れ多いわ。あの娘に、家庭教師をつけたらどうかしら?」
「ええ、私もそう思ったのですが……ヘンリック様が」
「ヘンリック様が、なんと?」
「あの娘の話を私にするなと。エドヴァルド殿下の気まぐれで、何の役にも立ちはしないから、放っておけと。……本当は、ヨハンナ様の耳にも入れないように、と言われたのですが……」
ヘンリック様は、徹底的にあの娘をいないもののように扱うことにしたのね。
ならば、私もそれに従うまでだわ。
あくまで、従っているだけ。ふふ。
「ヘンリック様の気を煩わせることになったら、私も嫌だわ。今の話は、聞かなかったことにするから、私の言ったことも忘れて?」
エドヴァルド殿下があの娘に興味を持っているのは気に入らないけど、どうにかなるわけじゃないし。
もういいわ。あの娘のことは、気にしないことにしましょう。
執事が頷いて去っていく後ろ姿を見送るころには、私の頭の中は、明日宝石商が持ってくる予定の石をどう使うか考えるのに向いていた。
◇
「え? ヘンリック様、もう一度おっしゃって?」
私は怒った顔のヘンリック様が告げた言葉の中身が理解できなくて瞬きをした。
ねえ、おなかの赤ちゃん。ヘンリック様ったら、変なことを言い出したのよ?
「うちの財産が、あの娘に使い尽くされてしまった」
私はふ、と笑いだす。
「そんなはずがあるわけないわ」
あの田舎娘が、そんな大金を使い尽くすなんて、あり得ないわ。
時折、離れにいる使用人が、あの田舎娘が買ったものについて報告してくれるけれど、本、本、本、本、本、本、本。そして、まれに使用人が着ている服に毛が生えたような洋服しか買っていない。
どこで、そんな大金を使う余地があるのかしら?
「ヨハンナ、よく聞くんだ。あの財産は、使い尽くされて戻ってこない。そうエドヴァルド殿下が言っていた。どうやら慈善事業に使ったらしい」
憎々し気に告げるヘンリック様に、私の頭の中がクリアになってくる。
あの膨大な財産を、あの娘が使い尽くしたですって?!
「なん……ですって!」
「え?」
怒っていたはずのヘンリック様が、私の顔を見てぎょっとした表情になる。
「ヘンリック様! この子は、この子はどうなるのです!?」
「ヨ、ヨハンナ落ち着け! 一つだけ朗報だ。もうあの財産がなくなったのだから、あの娘との婚姻を続ける理由などなくなった。だから、離縁したのだ。ヨハンナとようやく結婚できるんだ」
「この子は、どうなるのです!? 結婚? それが何よ?!」
ヘンリック様が戸惑った表情に変わる。
「ヨハンナ? ようやく、結婚できるんだぞ?」
「あの膨大なお金が無くなったのに、結婚なんて意味ないわ!」
「え?」
呆然としたヘンリック様の表情に、私は自分が口走ってしまった言葉がまずかったことに気づく。
……怒りで我を忘れていたわ……。
「ヨハンナ? 私との結婚を望んでくれていただろう?」
おずおずと告げるヘンリック様に、私はいつものように微笑もうとして、はた、と止まる。
お金が無くなってしまった貧乏貴族にすがる意味があるかしら?
そもそも、ヘンリック様は膨大な財産を使うだけしか能がない方だったし。
だから、財産は減っていくばかりだと、そうは思っていたけれど。莫大な財産だったから、私が生きている間は安泰だと思っていたのに!
「今は考えておりません」
そうよ。私の魅力があれば、他の貴族の愛人になる事だって簡単よ。
だって、この子だって、誰の子かは私もわからないんですもの。
ヘンリック様は、子供に障りがあるといけないからと抱いてくれなかったけれど、こんな身重の体でも愛してくださる方はいるわけだし。
……もう、タッペル公爵家は見限って、出ていきましょう。
それが、いいわ。
一人結論にたどり着いて、前を見れば、鬼のような形相をしたヘンリック様がいた。落ち着かせて出ていかなければ。
私は得意の涙を目に浮かばせた。
「ヘンリック様、元々私は愛人にしかなれぬ身分だったのです。タッペル公爵家の貯えがなくなった今、私とこの子のせいで、タッペル公爵家が更に困ることを望んではおりません。私は市井で何とかやっていきますわ。ですから……支度金を持った貴族の令嬢と再婚されてください。それが、タッペル公爵家を再建するための唯一の手段なのです」
私はこぼれる涙をぬぐいながら、今までで一番の演技かもしれないと自画自賛する。
ガッ、と強い力で私の腕がつかまれる。
「ヨハンナ。私のもとから去るなど、許さない。持参金など必要ない。私が、絶対にこの家を再建して見せる。だから、安心してこの家で子供を産み育てるがいい!」
今までにない威圧感に、私は心から震える。
「ですが」
反論しようとする私に、ヘンリック様がニコリと笑って首を振る。
「安心して子育てができるよう、人の出入りがあまりない部屋で過ごすといい。私は、ヨハンナとその子がいるだけで、幸せなのだから」
ヘンリック様の目にある、狂気にも似た執着を見て、私は自分の運命を悟る。
……優雅な暮らしをしたかった、ただ、それだけだったのに。
完
声をかけてきたのは、タッペル公爵家の執事だった。
私は、できるだけ優雅に見えるように首を傾げてみせた。
この家の女主人は、私以外にはないと、示すように。
「何かしら?」
昔とは全然違う言葉遣いも、ヘンリック様との生活が長くなると、すっかり身についた。
私の努力のたまものだわ。
「あの娘の家に、エドヴァルド殿下が来たようです」
予想外の名前に、私は目を見開く。
「エドヴァルド殿下が?」
気に入らない気持ちをグッとこらえて、私はいかにも不思議そうな顔をして見せる。
まるで、純粋無垢な少女が、それにどういう意味があるのか理解できないように。
執事は、ふ、と表情を和らげると、首をゆっくり振った。
「ですが、心配は無用です。エドヴァルド殿下に興味を持たれたところで、あの娘とヘンリック様が離縁することはあり得ません。それに、あのエドヴァルド殿下です。特に害はないでしょう」
執事に言われなくとも、エドヴァルド殿下の存在を脅威に感じてなどいなかった。だって、ヘンリック様がいつも言っていたもの。
学友のエドヴァルド殿下は、ぼんくらだと。やる気もないから、国王から見放されていて、学院を卒業した後も、要職につくこともなく、プラプラと遊びまわっているのだと。
それは、社交界でも噂されていることで、間違いのない事実なのだと思うわ。
だけど、あの娘が、誰かの興味をひいた、って事実が気に入らなかった。
「でも、エドヴァルド殿下に、悪いうわさが立つといけないわ」
だけど、私は、ヘンリックの事実上の妻ですから。
優雅にことを運ばなければなりませんわ。
あの娘に、味方など不要ですわ。
私は、あたかもエドヴァルド殿下を心配するふりをして、眉を寄せた。
執事が大きく頷く。
「ヨハンナ様は、本当に心根が優しくていらっしゃる。大丈夫です。エドヴァルド殿下が訪ねて来ても、あの娘はいないと告げてもらうようにしましょう」
私もホッとした顔をして、頷いた。
「そうね。それがいいと思うわ」
スッとした気分になって、私はそのことをすっかり頭の外に追いやった。
だって、次の夜会に着ていくための、私が美しくかつ純粋に見えるドレスを決めなければならないから。
ああ、あの娘に、一つだけ感謝はしているのよ?
私を着飾るためのものを、自由に買える財産が手に入ったのは、あの娘が、ヘンリック様の条件を呑んでくれたから、だから。
だけど、それだけだわ。
ああ。この国にも、庶民も貴族の養子になれる制度があれば、私をどこかの貴族の養子にしてもらって、ヘンリック様の名実ともに妻となれるはずだったのに! 貴族の出でなければ他の貴族の養子になれないなんて法律を作ったのは、どこの誰かしら。
……それだけが、本当に残念だわ。
◇
「ヨハンナ様、お耳に入れたいことが」
耳打ちしてきた執事は、困ったような顔をしている。
「どうかしたのかしら?」
「エドヴァルド殿下は、庭先にいるあの娘と、度々会っているようです」
私の眉が寄る。庭先にいるなんて、淑女にはあるまじき姿だわ。
「エドヴァルド殿下に、悪いうわさがつかないかしら?」
「どうやら、あの娘に、殿下が文字を教えているようです」
私は瞬きをする。
「文字?」
「ええ。文字。それから、計算を習っているようです」
勉強しているだけ? 私は首を傾げる。
「エドヴァルド殿下手ずから教えていただくなんて、恐れ多いわ。あの娘に、家庭教師をつけたらどうかしら?」
「ええ、私もそう思ったのですが……ヘンリック様が」
「ヘンリック様が、なんと?」
「あの娘の話を私にするなと。エドヴァルド殿下の気まぐれで、何の役にも立ちはしないから、放っておけと。……本当は、ヨハンナ様の耳にも入れないように、と言われたのですが……」
ヘンリック様は、徹底的にあの娘をいないもののように扱うことにしたのね。
ならば、私もそれに従うまでだわ。
あくまで、従っているだけ。ふふ。
「ヘンリック様の気を煩わせることになったら、私も嫌だわ。今の話は、聞かなかったことにするから、私の言ったことも忘れて?」
エドヴァルド殿下があの娘に興味を持っているのは気に入らないけど、どうにかなるわけじゃないし。
もういいわ。あの娘のことは、気にしないことにしましょう。
執事が頷いて去っていく後ろ姿を見送るころには、私の頭の中は、明日宝石商が持ってくる予定の石をどう使うか考えるのに向いていた。
◇
「え? ヘンリック様、もう一度おっしゃって?」
私は怒った顔のヘンリック様が告げた言葉の中身が理解できなくて瞬きをした。
ねえ、おなかの赤ちゃん。ヘンリック様ったら、変なことを言い出したのよ?
「うちの財産が、あの娘に使い尽くされてしまった」
私はふ、と笑いだす。
「そんなはずがあるわけないわ」
あの田舎娘が、そんな大金を使い尽くすなんて、あり得ないわ。
時折、離れにいる使用人が、あの田舎娘が買ったものについて報告してくれるけれど、本、本、本、本、本、本、本。そして、まれに使用人が着ている服に毛が生えたような洋服しか買っていない。
どこで、そんな大金を使う余地があるのかしら?
「ヨハンナ、よく聞くんだ。あの財産は、使い尽くされて戻ってこない。そうエドヴァルド殿下が言っていた。どうやら慈善事業に使ったらしい」
憎々し気に告げるヘンリック様に、私の頭の中がクリアになってくる。
あの膨大な財産を、あの娘が使い尽くしたですって?!
「なん……ですって!」
「え?」
怒っていたはずのヘンリック様が、私の顔を見てぎょっとした表情になる。
「ヘンリック様! この子は、この子はどうなるのです!?」
「ヨ、ヨハンナ落ち着け! 一つだけ朗報だ。もうあの財産がなくなったのだから、あの娘との婚姻を続ける理由などなくなった。だから、離縁したのだ。ヨハンナとようやく結婚できるんだ」
「この子は、どうなるのです!? 結婚? それが何よ?!」
ヘンリック様が戸惑った表情に変わる。
「ヨハンナ? ようやく、結婚できるんだぞ?」
「あの膨大なお金が無くなったのに、結婚なんて意味ないわ!」
「え?」
呆然としたヘンリック様の表情に、私は自分が口走ってしまった言葉がまずかったことに気づく。
……怒りで我を忘れていたわ……。
「ヨハンナ? 私との結婚を望んでくれていただろう?」
おずおずと告げるヘンリック様に、私はいつものように微笑もうとして、はた、と止まる。
お金が無くなってしまった貧乏貴族にすがる意味があるかしら?
そもそも、ヘンリック様は膨大な財産を使うだけしか能がない方だったし。
だから、財産は減っていくばかりだと、そうは思っていたけれど。莫大な財産だったから、私が生きている間は安泰だと思っていたのに!
「今は考えておりません」
そうよ。私の魅力があれば、他の貴族の愛人になる事だって簡単よ。
だって、この子だって、誰の子かは私もわからないんですもの。
ヘンリック様は、子供に障りがあるといけないからと抱いてくれなかったけれど、こんな身重の体でも愛してくださる方はいるわけだし。
……もう、タッペル公爵家は見限って、出ていきましょう。
それが、いいわ。
一人結論にたどり着いて、前を見れば、鬼のような形相をしたヘンリック様がいた。落ち着かせて出ていかなければ。
私は得意の涙を目に浮かばせた。
「ヘンリック様、元々私は愛人にしかなれぬ身分だったのです。タッペル公爵家の貯えがなくなった今、私とこの子のせいで、タッペル公爵家が更に困ることを望んではおりません。私は市井で何とかやっていきますわ。ですから……支度金を持った貴族の令嬢と再婚されてください。それが、タッペル公爵家を再建するための唯一の手段なのです」
私はこぼれる涙をぬぐいながら、今までで一番の演技かもしれないと自画自賛する。
ガッ、と強い力で私の腕がつかまれる。
「ヨハンナ。私のもとから去るなど、許さない。持参金など必要ない。私が、絶対にこの家を再建して見せる。だから、安心してこの家で子供を産み育てるがいい!」
今までにない威圧感に、私は心から震える。
「ですが」
反論しようとする私に、ヘンリック様がニコリと笑って首を振る。
「安心して子育てができるよう、人の出入りがあまりない部屋で過ごすといい。私は、ヨハンナとその子がいるだけで、幸せなのだから」
ヘンリック様の目にある、狂気にも似た執着を見て、私は自分の運命を悟る。
……優雅な暮らしをしたかった、ただ、それだけだったのに。
完
あなたにおすすめの小説
オッドアイの伯爵令嬢、姉の代わりに嫁ぐことになる~私の結婚相手は、青血閣下と言われている恐ろしい公爵様。でも実は、とっても優しいお方でした~
夏芽空
恋愛
両親から虐げられている伯爵令嬢のアリシア。
ある日、父から契約結婚をしろと言い渡される。
嫁ぎ先は、病死してしまった姉が嫁ぐ予定の公爵家だった。
早い話が、姉の代わりに嫁いでこい、とそういうことだ。
結婚相手のルシルは、人格に難があるともっぱらの噂。
他人に対してどこまでも厳しく、これまでに心を壊された人間が大勢いるとか。
赤い血が通っているとは思えない冷酷非道なその所業から、青血閣下、という悪名がついている。
そんな恐ろしい相手と契約結婚することになってしまったアリシア。
でも実際の彼は、聞いていた噂とは全然違う優しい人物だった。
それは立派な『不正行為』だ!
柊
恋愛
宮廷治癒師を目指すオリビア・ガーディナー。宮廷騎士団を目指す幼馴染ノエル・スコフィールドと試験前に少々ナーバスな気分になっていたところに、男たちに囲まれたエミリー・ハイドがやってくる。多人数をあっという間に治す治癒能力を持っている彼女を男たちは褒めたたえるが、オリビアは複雑な気分で……。
※小説家になろう、pixiv、カクヨムにも同じものを投稿しています。
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
契約書にサインをどうぞ、旦那様 ~お飾り妻の再雇用は永年契約でした~
有沢楓花
恋愛
――お飾り妻、平穏な離婚のため、契約書を用意する。
子爵家令嬢グラディス・シャムロックは、結婚式を目前にしてバセット子爵家嫡男の婚約者・アーロンが出奔したため、捨てられ令嬢として社交界の評判になっていた。
しかも婚約はアーロンの未婚の兄弟のうち「一番出来の悪い」弟・ヴィンセントにスライドして、たった数日で結婚する羽目になったのだから尚更だ。
「いいか、お前はお飾りの花嫁だ。これは政略結婚で、両家の都合に過ぎず……」
「状況認識に齟齬がなくて幸いです。それでは次に、建設的なお話をいたしましょう」
哀れなお飾り妻――そんな世間の噂を裏付けるように、初夜に面倒くさそうに告げるヴィンセントの言葉を、グラディスは微笑んで受けた。
そして代わりに差し出したのは、いつか来る離婚の日のため、お互いが日常を取り戻すための条件を書き連ねた、長い長い契約書。
「こちらの契約書にサインをどうぞ、旦那様」
勧められるままサインしてしまったヴィンセントは、後からその条件を満たすことに苦労――する前に、理解していなかった。
契約書の内容も。
そして、グラディスの真意も。
この話は他サイトにも掲載しています。
※全4話+おまけ1話です。
あなたの瞳に私を映してほしい ~この願いは我儘ですか?~
四折 柊
恋愛
シャルロッテは縁あって好意を寄せていた人と婚約することが出来た。彼に好かれたくて距離を縮めようとするが、彼には好きな人がいるようで思うようにいかない。一緒に出席する夜会で彼はいつもその令嬢を目で追っていることに気付く。「私を見て」その思いが叶わずシャルロッテはとうとう婚約の白紙を望んだ。その後、幼馴染と再会して……。(前半はシリアスですが後半は甘めを目指しています)
完結 振り向いてくれない彼を諦め距離を置いたら、それは困ると言う。
音爽(ネソウ)
恋愛
好きな人ができた、だけど相手は振り向いてくれそうもない。
どうやら彼は他人に無関心らしく、どんなに彼女が尽くしても良い反応は返らない。
仕方なく諦めて離れたら怒りだし泣いて縋ってきた。
「キミがいないと色々困る」自己中が過ぎる男に彼女は……
【完結】私のことが大好きな婚約者さま
咲雪
恋愛
私は、リアーナ・ムスカ侯爵子女。第二王子アレンディオ・ルーデンス殿下の婚約者です。アレンディオ殿下の5歳上の第一王子が病に倒れて3年経ちました。アレンディオ殿下を王太子にと推す声が大きくなってきました。王子妃として嫁ぐつもりで婚約したのに、王太子妃なんて聞いてません。悩ましく、鬱鬱した日々。私は一体どうなるの?
・sideリアーナは、王太子妃なんて聞いてない!と悩むところから始まります。
・sideアレンディオは、とにかくアレンディオが頑張る話です。
※番外編含め全28話完結、予約投稿済みです。
※ご都合展開ありです。