『白い結婚』が好条件だったから即断即決するしかないよね!

三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4

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番外編③

「どうすればいいの!」

 やけくそな気分で、私はベッドにやってきたエドに噛みつく。
 
 王族の作法とかやらで、嫌がったのに、微笑みの圧の強いお姉さま方に私の体は磨き上げられ、花の香りをまとわされ、薄っぺらい夜着を着せられた。
 そして、エドとの寝室に放り込まれた。

 まだエドはいなくて、いたたまれなくて逃げ出そうとすれば、窓はがっちりと外から閉じられ、ドアもびくともしなかった。

 しばらくしんとした部屋の中に一人でいると、初夜への緊張やドキドキより、他の不安の方が強くなった。

 ――もしかしたら、エドが来るって言うのも嘘なのかもしれない。
 本当は、王族であるエドとの結婚なんて形ばかりで、私は、公爵家のお金を使い果たした罪でとらえられたのかもしれない。

 って、心細い気持ちになったところでエドが現れたもんだから、噛みつくしかないと思う!

 私の勢いに、エドが困ったように笑う。

「あいにく、私も初めてでね。どうすればいいか、二人で勉強しようかと思ってるんだけど、どう、かな?」
「……勉強?」

 初夜に、勉強?
 私は意味が分からなくて、首を傾げる。

 エドが微笑みながら、私の頬に手を当てる。

「つまりね、こういうこと」

 私の疑問をそのままに、エドの顔が近づいてくる。
 柔らかな感触が唇に触れて、私は目を見開いた。
 エドが苦笑している。

「いや、かな?」

 私はただ首を横に振った。
 嫌じゃない。
 だけど、口になんてできそうもなかった。
 きっと、私の顔は真っ赤だと思う。

「キスをするときには、目を閉じた方がロマンチックみたいだよ?」

 ろまんちっく。

「なにそれ? どんな感じ?」

 エドが困ったように眉を下げる。

「じゃあ、やってみようか?」

 私は頷くしかなくて、そっと目を閉じた。
 またエドの唇の感触がする。
 
 ろまんちっく、ってこういうこと?
 よくわからないな、と思っていると、エドの手が、頬から肩に滑り落ちる。
 くすぐったくて、口元を緩めた瞬間、熱を持ったものが私の舌に触れる。

「ん」

 抗議しようと思ったのに、その熱は、私の力を奪っていく。

 エドの唇が離れた時には、私の体の熱は上がったみたいだった。
 目を開けてエドを見上げれば、エドが微笑んで私の頬を撫でる。

「わかった?」

 何を問われたのか一瞬わからなくて、ぼんやりとしていると、エドの唇が私の耳に寄せられる。

「これが、ロマンチック、だよ?」

 一瞬で、キスの前にしていた話を思い出す。
 同時に、あまりに恥ずかしくて、顔が熱くなる。

「ろ、ろまんちっくはいらないから!」

 恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!

「ごめん。それは無理かも」

 エドの言葉に、え? となる。
 次の瞬間、座っていた私の体は、ベッドに倒される。

「反応がかわいすぎるから、いけないんだよ? 一緒にもっと、勉強しようね?」
「え? どういう……」

 私の言葉は、エドの口に呑み込まれた。

 ――どんな夫婦も、こんなろまんちっくを体験してるもの?!

 私の疑問は、口にすることは叶わなかった。
 その疑問を思い出したのは、もっともっと先の、ようやくエドのろまんちっくなキスに慣れた頃のこと。

感想 2

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みんなの感想(2件)

ulalume
2024.01.06 ulalume

筆を折っているとは残念な。

しかし人生は思うより長いかもしれない。
現在の意思とまた変わる日が来るかも知れない。
何処かで語りたくなる日が来るかも知れない。

きっとその頃にも
私と同じ様に喜ぶ読者が居ると思います。
もしそんな日が来たら思い出して
背中を推す材料にして頂けると嬉しいです。

ともあれ素敵な作品を有難うございました!

2024.01.06 三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4

わざわざ応援ありがとうございます。
異世界モノを書くのが苦手で、練習で書いたら予想外に評価してもらえている感じでして。
未だに、何が心を掴むのかわかってません(笑)。
新しく書きはしませんが、アカウントは消さないので、またお楽しみ下さい。
励ましの言葉、本当にありがとうございました!


解除
ulalume
2024.01.06 ulalume

痛快です!

主人公、最高!

良作を有難うございます!

番外編も良かったです。
爺ちゃん婆ちゃん視点で
 子供時代の彼女の武勇譚とか、
 王子妃になっても変わらない孫の輪郭とか、
優秀だったベンノとシュスティンのその後とか
今後も不定期で良いので投下して頂ければ幸甚です!

素敵な作品、有難うございました!

2024.01.06 三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4

感想ありがとうございます。
楽しんでいただけたようで何よりです。
残念ながら筆を折ってしまっているので、出ている作品が全部になります。
他の作品でもお楽しみいただければ、と思います。

解除

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