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「うわ」
その甘い視線の先にいるアリーナは、はは、と軽く笑うとテーブルに向き直った。
すると、向かいに座る男性3人の表情がひくひくとひきつっている。
「どうかしました」
アリーナが背を向けた瞬間、ライの視線はまたもや冷たいものに戻っていた。
「俺、やっぱり自分の席で食べようかな?」
1人の申し出に、他の2人が頷く。
「だよね! 食堂がこんなに混むとは思ってなかったから来てみたんだけどさ、こんなに混むならお弁当持って食べに来るのは悪いよね」
「僕ら、いつもお弁当だったから、気付かなかったなぁ。ハハハ…。」
いそいそとお弁当を撤収準備を始めた3人は、もうガイナーとライの言い争うところなんて2度と見なくていいからこの場からすぐに立ち去りたいと願っている。
「あんたたち、ライの視線にビビってるんじゃないわよ」
ライをキッと睨み返した後振り返ったガイナーが、今度は3人を睨みつける。
「嫌ですよ。ガイナー室長だって、ライ様に殺気飛ばされてみてくださいよ。命なくなりますよ」
腐っても皆文官である。殺気が行き交う場面など締めの時期に皆がピリピリとしている場面しか体験したことはない。戦いのための殺気とは一線を画す。ライの殺気は、本当に人を殺せる。
「命なくなってないでしょ! ちょっと、戻らない」
ガイナーの制止は全く役には立たなかった。アリーナたち向かいの3人は早々に撤収した。
「アリーナ、前にいいかな?」
3人が撤収したのを待っていたように、機嫌のよいライの登場である。
「駄目です」
答えたのはガイナーだ。
「私はアリーナに聞いたんだけど」
「私たちが一緒にいるんですから、私たちにも聞いていただきたいですわ」
今度答えたのはマリアだ。
当のアリーナは、2人がライと会話してくれるならいいか、と思って口を挟まないことにした。
「…そうか。」
ライがきょろきょろと周りを見回した後、突然手を上げた。
「ダナ! ちょっと食事を持ってこっちに来てくれないか!」
ダナの名を聞いて、ガイナーは虚を突かれる。
「ちょ…ちょっと! 何してるのよ」
ガイナーがうろたえるところなど6年の付き合いがあるアリーナですら初めてだ。
まだきょろきょろしていたライは、また他の方向に向けて手を上げた。
「カイル! お前も食事を持って来てくれないか!」
「ちょっと! それは卑怯よ」
マリアが戸惑ったような表情になりつつ、それと同時に顔を赤らめる。カイル、と呼ばれた若者は、騎士団の団員であり、マリアの婚約者だ。あと1年後には結婚することが決まっている。こちらは恋愛結婚だ。
「で、同席してもいいかな?」
にっこり笑うライに、ガイナーもマリアも拒絶ができず、ううー、と唸る。
勿論、騎士団副団長の命令をどういう意図かわからずとも即答で拒否する騎士団員など騎士団の団長くらいのものだ。団長ですら即答で拒否できないこともあるらしいが。
「アリーナ、座ってもいいかい?」
さっき2人の団員に大きな声をかけたことで、食堂の視線はライに集まっている。
勿論、その向かいにいるアリーナにも、その視線は向けられていて、コソコソと話している人たちが点在する様子から、昨日の出来事を既に伝え聞いている人たちにとっては、格好の噂の的であることが分かる。
「いいから、座ってくれないかしら。」
もうこれ以上目立ちたくない、と言う言葉は使わなかった。もう十分目立っていたからである。
「良かった。アリーナに断られたらショックで立ち直れないところだったよ」
何で一晩明けてもこう過剰なんだろうなぁ、とアリーナは他人に向けられた言葉のように、ライの話を聞き流す。
「実際ショック受けてましたもんね。あれは見ものでしたね」
ガイナーが軽く攻撃を繰り出す。
「アリーナは仕事中の集中力がすごいんだね。明日からはお昼と夜ご飯はここで待ち合わせにしよう。昨日は約束もせずに悪かったね。アリーナと結婚できることになって浮かれてつい約束を忘れてたんだ。アリーナもそうでしょう? 浮かれてたから上司に伝えるのを忘れてたんだよね」
ガイナーの話がなかったように話し出すライは、先ほど金庫番に来たときのガイナーとの話でアリーナがライと結婚するつもりがあることをガイナーに伝えていなかったと気付いていたらしい。
あー、とアリーナはガイナーを見る。ガイナーは目を見開いてアリーナを見る。結婚まで話が進んでいることがしっかりばれた。
「アリーナ? 私以外を見つめちゃいけないと言ったでしょ」
ゴフッ、と水分を吹き出したのはマリアだ。お茶かスープを飲んでいる最中だったらしい。マリアは慌てて零れ落ちた水分を拭きとっている。
「…副団長がそんなこと言ってるの、初めて聞きました」
初めて聞く声に顔を上げれば、噂のガイナーの奥様であるダナが驚いた表情で立っていた。
「嫌だな、ダナ。私だって人間だよ」
「…人間なのは一応知っています。すいませんアリーナ嬢、マリア嬢、ご一緒させてください。副団長命令の様ですので。」
「私もご一緒させてください」
あとから来たカイルもぺこりとお辞儀をするとマリアの前の席に座る。ダナはもちろんガイナーの前だ。
その甘い視線の先にいるアリーナは、はは、と軽く笑うとテーブルに向き直った。
すると、向かいに座る男性3人の表情がひくひくとひきつっている。
「どうかしました」
アリーナが背を向けた瞬間、ライの視線はまたもや冷たいものに戻っていた。
「俺、やっぱり自分の席で食べようかな?」
1人の申し出に、他の2人が頷く。
「だよね! 食堂がこんなに混むとは思ってなかったから来てみたんだけどさ、こんなに混むならお弁当持って食べに来るのは悪いよね」
「僕ら、いつもお弁当だったから、気付かなかったなぁ。ハハハ…。」
いそいそとお弁当を撤収準備を始めた3人は、もうガイナーとライの言い争うところなんて2度と見なくていいからこの場からすぐに立ち去りたいと願っている。
「あんたたち、ライの視線にビビってるんじゃないわよ」
ライをキッと睨み返した後振り返ったガイナーが、今度は3人を睨みつける。
「嫌ですよ。ガイナー室長だって、ライ様に殺気飛ばされてみてくださいよ。命なくなりますよ」
腐っても皆文官である。殺気が行き交う場面など締めの時期に皆がピリピリとしている場面しか体験したことはない。戦いのための殺気とは一線を画す。ライの殺気は、本当に人を殺せる。
「命なくなってないでしょ! ちょっと、戻らない」
ガイナーの制止は全く役には立たなかった。アリーナたち向かいの3人は早々に撤収した。
「アリーナ、前にいいかな?」
3人が撤収したのを待っていたように、機嫌のよいライの登場である。
「駄目です」
答えたのはガイナーだ。
「私はアリーナに聞いたんだけど」
「私たちが一緒にいるんですから、私たちにも聞いていただきたいですわ」
今度答えたのはマリアだ。
当のアリーナは、2人がライと会話してくれるならいいか、と思って口を挟まないことにした。
「…そうか。」
ライがきょろきょろと周りを見回した後、突然手を上げた。
「ダナ! ちょっと食事を持ってこっちに来てくれないか!」
ダナの名を聞いて、ガイナーは虚を突かれる。
「ちょ…ちょっと! 何してるのよ」
ガイナーがうろたえるところなど6年の付き合いがあるアリーナですら初めてだ。
まだきょろきょろしていたライは、また他の方向に向けて手を上げた。
「カイル! お前も食事を持って来てくれないか!」
「ちょっと! それは卑怯よ」
マリアが戸惑ったような表情になりつつ、それと同時に顔を赤らめる。カイル、と呼ばれた若者は、騎士団の団員であり、マリアの婚約者だ。あと1年後には結婚することが決まっている。こちらは恋愛結婚だ。
「で、同席してもいいかな?」
にっこり笑うライに、ガイナーもマリアも拒絶ができず、ううー、と唸る。
勿論、騎士団副団長の命令をどういう意図かわからずとも即答で拒否する騎士団員など騎士団の団長くらいのものだ。団長ですら即答で拒否できないこともあるらしいが。
「アリーナ、座ってもいいかい?」
さっき2人の団員に大きな声をかけたことで、食堂の視線はライに集まっている。
勿論、その向かいにいるアリーナにも、その視線は向けられていて、コソコソと話している人たちが点在する様子から、昨日の出来事を既に伝え聞いている人たちにとっては、格好の噂の的であることが分かる。
「いいから、座ってくれないかしら。」
もうこれ以上目立ちたくない、と言う言葉は使わなかった。もう十分目立っていたからである。
「良かった。アリーナに断られたらショックで立ち直れないところだったよ」
何で一晩明けてもこう過剰なんだろうなぁ、とアリーナは他人に向けられた言葉のように、ライの話を聞き流す。
「実際ショック受けてましたもんね。あれは見ものでしたね」
ガイナーが軽く攻撃を繰り出す。
「アリーナは仕事中の集中力がすごいんだね。明日からはお昼と夜ご飯はここで待ち合わせにしよう。昨日は約束もせずに悪かったね。アリーナと結婚できることになって浮かれてつい約束を忘れてたんだ。アリーナもそうでしょう? 浮かれてたから上司に伝えるのを忘れてたんだよね」
ガイナーの話がなかったように話し出すライは、先ほど金庫番に来たときのガイナーとの話でアリーナがライと結婚するつもりがあることをガイナーに伝えていなかったと気付いていたらしい。
あー、とアリーナはガイナーを見る。ガイナーは目を見開いてアリーナを見る。結婚まで話が進んでいることがしっかりばれた。
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ゴフッ、と水分を吹き出したのはマリアだ。お茶かスープを飲んでいる最中だったらしい。マリアは慌てて零れ落ちた水分を拭きとっている。
「…副団長がそんなこと言ってるの、初めて聞きました」
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「嫌だな、ダナ。私だって人間だよ」
「…人間なのは一応知っています。すいませんアリーナ嬢、マリア嬢、ご一緒させてください。副団長命令の様ですので。」
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