3 / 3
003
しおりを挟む
せい君が選んで買ってくれたサックスブルーのパジャマを着たまま、無意味に大きいベッドの上でうとうとして過ごした。大きなスーパーマーケットのような小さなデパートのようなお店に買い物に出かけた時に色違いでサックスブルーとミントグリーンの二着を買ったのだ。それまでのパジャマは高校生の頃から着ていて、大分生地がくたびれていたので捨てた。
防災無線からお昼の時報が流れてきた。この放送を聞いて、空腹であることを一瞬は意識する。特に用事もないので何も食べず一日寝ていてもいいのだが、せい君に変に思われない程度に人間の暮らしをしようと思う。
昨日仕入れたもやしを炒めながらラーメンを茹で、どんぶりによそう。今日はもやし味噌ラーメンだ。秋山家では昼ご飯は麺類という謎の風習があるのだ。外食の時は例外だが、自宅で昼食をとるときは決まっている。うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、あたりが定番で、珍しいところだときしめんとほうとうがる。夏場は冷麺とそうめんが加わる。
せい君も今頃、会社の食堂で食事中だろう。午後は何をしようか考えながらラーメンを啜った。
クローゼットの床に並べてあるコンテナボックスを開けた。せい君の登山用品が入っている箱だ。
「あった」
紙パックのような表紙に包まれている登山地図をコンテナから拾い上げた。五冊ある。どれも隣県の、山と周辺の地図のようだ。
かつて行ったことのある山なのか、これから行く予定があるのか。
試しに一冊を紙パックから取り出した。折り畳まれた大きな地図と冊子が入っていた。
まずは地図を広げる。ツルツルした防水の紙に両面印刷だった。広げるとテーブルいっぱいになる大きさだ。数種類の線で道が書き分けられ、数字が書かれている。標高の数字はすぐに分かった。道に沿って書かれている矢印と数字は歩くのに必要な時間だろう。他にも落石や道が不明瞭などの注意事項が細かく書かれている。
冊子は代表的なルートを解説する内容で、写真も掲載されている。難易度や体力に合わせてコースや宿泊場所を設定すれば色々なバリエーションがあるということだった。私でもこの地図の山々に登れるのだろうか。
試しに冊子のルートと地図を照らし合わせる。日帰り二時間四〇分というルートだ。バス停から始まっている。
バス停の近くには売店や郵便局のマークがあって、登山というより観光地のような雰囲気かもしれない。途中の山小屋までは整備された広い道があるようだ。山小屋で休憩し、ここから山頂まで五十分ほど歩く。山頂は標高三千メートルを少し超える。
防災無線からお昼の時報が流れてきた。この放送を聞いて、空腹であることを一瞬は意識する。特に用事もないので何も食べず一日寝ていてもいいのだが、せい君に変に思われない程度に人間の暮らしをしようと思う。
昨日仕入れたもやしを炒めながらラーメンを茹で、どんぶりによそう。今日はもやし味噌ラーメンだ。秋山家では昼ご飯は麺類という謎の風習があるのだ。外食の時は例外だが、自宅で昼食をとるときは決まっている。うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、あたりが定番で、珍しいところだときしめんとほうとうがる。夏場は冷麺とそうめんが加わる。
せい君も今頃、会社の食堂で食事中だろう。午後は何をしようか考えながらラーメンを啜った。
クローゼットの床に並べてあるコンテナボックスを開けた。せい君の登山用品が入っている箱だ。
「あった」
紙パックのような表紙に包まれている登山地図をコンテナから拾い上げた。五冊ある。どれも隣県の、山と周辺の地図のようだ。
かつて行ったことのある山なのか、これから行く予定があるのか。
試しに一冊を紙パックから取り出した。折り畳まれた大きな地図と冊子が入っていた。
まずは地図を広げる。ツルツルした防水の紙に両面印刷だった。広げるとテーブルいっぱいになる大きさだ。数種類の線で道が書き分けられ、数字が書かれている。標高の数字はすぐに分かった。道に沿って書かれている矢印と数字は歩くのに必要な時間だろう。他にも落石や道が不明瞭などの注意事項が細かく書かれている。
冊子は代表的なルートを解説する内容で、写真も掲載されている。難易度や体力に合わせてコースや宿泊場所を設定すれば色々なバリエーションがあるということだった。私でもこの地図の山々に登れるのだろうか。
試しに冊子のルートと地図を照らし合わせる。日帰り二時間四〇分というルートだ。バス停から始まっている。
バス停の近くには売店や郵便局のマークがあって、登山というより観光地のような雰囲気かもしれない。途中の山小屋までは整備された広い道があるようだ。山小屋で休憩し、ここから山頂まで五十分ほど歩く。山頂は標高三千メートルを少し超える。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる