ಂ××ౠ-異世界転移物語~英傑の朝

ちゃわん

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第5章

第45話

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 「うめぇ~~~。久しぶりにこんな良い飯食えたわ。良いのかよ。好きなだけ食っちまってよ。」

 「構わねぇよ。酒も飲もうぜ。」

 「お!良いのかよ?いや、良いのか。俺達ももう20超えてるからな。いくら飲もうと誰に文句も言われねぇか。」

 「そうそう。好きなだけ飲もうぜ。俺も日本人に会ったのは久しぶりだしよ。…そういや俺も店の飯を食うのは久しぶりだな。今日は死ぬほど飲もうぜ。」

 「はぁ~~~…。しかし端溜もとんでもない人生送ってるなぁ…。奴隷落ちって…。」

 「喰也だって普通の高校生の人生じゃねぇよ。なんだよ王女の婿で勇者って。主人公かよ。」

 「…ッハ。婿も勇者も俺の力じゃない。偶々こっちに召喚された時にもらった宝くじ見たいなもんさ。今となっちゃ、見る影もないがな。」

 「それが解らない。王都にいた時は言葉も通じたし、魔法もかなり使えたんだろ?フォステリア・ドイト・ハルダニヤだっけ?聞いたことあるぜ。この世界の3大魔術師だ。そいつに認められたって事は…、勇者へのおべんちゃらを差っ引いたって相当なもんだろ?」

 「まぁ…俺もそう思う。どんなに低く見積もったって平均以上には使えていたはずだ。だが、王都から離れて…、…いや、王女から離れたからか?何か魔法もうまく使えなくなった。前やったように魔力を動かせねぇ。量も格段に少なくなって…今は下げ止まったがよ。魔力が減り続けて、言葉も段々通じなくなって…そりゃもうヤバイと思ったね。」

 「それでよくここまで来れたよな?ここってかなり王都から離れてるだろ?追手とかさ?」

 「あぁ、まぁ、言葉と力が残ってる内に全力でここまで来たってのもあるが、この変装の指輪を使ったんだ。勇者としての権力と金がある内に隠れて貴族の女から手に入れたんだよ。身分証もな。ほら。」

 「んな、安々と見せんなよ…。どれっと…。終身名誉行商人之証…、何?商人なの?」

 「まぁね。冒険者だと実力がないとなれないし、定期的に仕事をこなさなきゃならないからな。前だったら冒険者の上級程度の力はあったから冒険者になれたっちゃぁなれたんだが…。今となってはこっちにして良かったな。この手形は冒険者の身分と同じくらい国を行き来出来る資格だ。適当な物売ろうと思ってるって言えば、それで街に入れるからな。厳しい審査が必要だが、ま、そこは勇者と貴族の権力が効いたんだろう。いや、俺の魅力か?」

 「うるせぇよ。んで?そっちが変装の指輪か?」

 「そう。これも使う魔力の量によって変装できる程度が変わるんだ。…ッブハー!…うまいなこの酒。んでよ?魔力を大量に使えば男から女に、女から男に変わることすら出来るんだとさ。今の俺は髪の色を変える位だけど…、俺達の特徴っていや髪の色だろ?それさえ何とかなればどうとでもなるかなって。実際なったし。」

 「確かになぁ。髪と目の色のせいで街に入るのすら怖かったからな。実際黒目黒髪はほとんど見ねぇしな…。しかし男から女に変わって一体何の意味があるんだっつーの。」

 「いやぁ。結構貴族の間では重宝されてるアイテムでよ?適当な魔石から魔力を持ってくりゃ、魔力量は解決するしな。一番は、お貴族様の素晴らしい性癖解消に使われてるが…、二番は暗殺とかハニートラップとかだとさ。」

 「ハニートラップぅ?!本気かよ?!それって男が女になって汚ねぇおっさんに抱かれるってことだろ?幾ら暗殺の為っつってもよぉ…。」

 「ま、動機は金と人質でどうとでもなるらしい。けど、重宝されてる理由は、ただの女がハニートラップ仕掛けるより基が男の女の方が成功率が大分高くなるからなんだと。」

 「えぇ…、そりゃまた何で…。」

 「男の理想の女は男にしか演じられないってことなんだろうな。女の理想の男は男からみりゃありえないだろ?ほら…宝塚みたいなさ。」

 「あぁ~~……。なるほど。納得したわ。確かにそうだなぁ。…しかし男に抱かれるってのは想像しただけで…。」

 「まぁ、抱かれる気持ちは解らねぇがな。そういう女を抱いたらもう戻れないって言われてるぜぇ~。」

 「そうかぁ~~~?」

 「いやいや。さっきの話と同じことさ。結局男のツボを抑えてるのは男だけってことなわけよ。気持ち良い所も悪い所も全てな。心も体もだ。中にゃ、騙されてるって分かってても夢中になる奴だっているくらいだ。…お前もこの指輪をしてる女には気をつけたほうがいいぜ?」

 「…ご忠告どうも…。でも、そんな大事なことペラペラ喋っても良いのかよ。生命線だろ?」

 「ん…あぁ…まぁ、確かになぁ。だが、まぁ大丈夫だろ。この指輪も証明書も俺の魔力を登録してるんだとさ。俺以外が持てば、証は黒ずみ、指輪は反応しない。盗んだところで意味ねぇのよ。」

 「ンなるほどねぇ。流石貴族御用達か。そこら辺の対策は当たり前にしてんだな。」

 「そういうことよ。それに、まぁ…、…久しぶりに喋れて嬉しかったからな。酒もうまいし。なんせ日本語聞いたのなんて5年以上前だからなぁ…。」

 「…5年?多く見積もっても4年は経ってないよな?」

 「…?いや、こっちに召喚されてからちょうど5年くらいだぜ?お前は4年なのか?」

 「あぁ…、4年は経過してないと思う…。」

 「ふん…。…あの時、端溜は俺の声が聞こえたって言ってたな?俺とお前がすれ違った時。」

 「あぁ。なんか、痛ぇとか、何すんだとかそんな感じのこと言ってたか。」

 「言ってた。確かに言ってた。…つまり端溜は、俺が召喚される寸前に言った言葉を聞いてたわけだ。俺も召喚される寸前、お前の姿が見えた。多分、俺が召喚された後にお前が召喚されたんじゃないかな。全くの同時じゃなかったわけだ。…俺の召喚の巻き添えかな…。」

 「ふ~ん…。でも、恐らくほんの数秒だぜ?…いや、こっちと向こうの時間の流れが同じとは限らないかのか。もしかしたら、こっちで何年過ごしても向こうじゃほんの数秒しか経ってないってことも?」

 「…かもな…。ま、今の俺達にゃ関係ない話だが。」

 「あぁ。どうせ帰れやしない俺達にはな。」

 「…。」

 「…。」

 「…もっと飯食って酒飲もうぜ。」

 「…そうだな。ゲロ吐く位食いまくろう。」

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 「んでぇ~~~~?どぉ~~して、勇者から逃げ出してきたのよ。もったいねぇ…、ヒック。貴族の女抱きまくりぇてぇ…、ゲフッ。将来は王女と結婚って…地球で一番の勝ち組高校生じゃぁねぇにょよ、ゴクッゴクッ。ッブハー、っつーかお前が逃げたせいでなじぇか俺に追っ手がかかっらんらかんなぁ、ウィック。」

 「んぁあ~~~、悪ぃ悪ぃッグフ…。ありぇ?結構度数たきゃくねぇ?ゴクッゴクッゴクッ…やっぱり高ぃぃ…。…だぁって王女気味悪いんらもんよぉ…。いつも会うときゃ作り笑いでよぉ…ゲェェェップ。それが貴族の嗜みだぁってよ…ウック。そんなん言われたら萎えるだろぉ~~?おりぇはぁ…愛を手に入れられなかった男ぉ…。おめぇは良いよなぁ。しょうししょうあいの相手ぇがいてぇ~~…。」

 「もぉ~~~死んじゃっちぇるきぇろなぁ~~……ゴッゴッゴッゴッゴック。おりゃはぁ…、うひなった愛をぉ…しゃがしてしゃ迷う…しゃすらいの旅人…ウヒッ。でぇもよぉ…ヒック。他のおんにゃ?もぉ、勇ひゃの子ろも生むって割り切っれらんらろぉ…、ころ酒うまぁぁぁい…!らんで王女だけにムカついてんのさぁ~。」

 「えぇ~~…、しょう言われれ…見ればぁ…らんれら?あ、お酒おかわりちょうらい…。もうおしゃけないの…。」

 「親父さぁん!!おしゃけ!おしゃけを下しゃぁい!!…しょれってしゃぁ…王女に惚れてちゃんじゃないのぉぉぉ?ブフッ」

 「惚れぇ……?ヒック。しょうかぁ?あいつきゃおはいいけどぉ、頑固ぉだしぃ、乱暴らしぃ?常識はれぇしぃ?権力好きらしぃ?可愛げがぁにぇんらよ可愛げがぁ。あ、おしゃけ?ろうもろうも。」

 「しょぉかぁ~~?まぁいいけろぉ~?んでぇ、おみゃーはこれからろーすんの?」

 「しょりゃぁ…、にゃんとか別にょ女みちゅけてぇ、ヒモになってぇ、…しんりつろ愛をしゃがす!!ブヒャッヒャッヒャッヒャ!」

 「んでまらぁマッチョに殴りゃれるんらろぉ?冒険者やれよ冒険者ぁ、ゴクッゴクッ。あにょマッチョにゃぐり返してやりょーじぇぇぇ!」

 「んでもぉ、魔法じぇんじぇん……じぇじぇじぇん!使えないんらよぉ。…じぇじぇじぇ!…おりゃは~~牙をにゅかれた…にゅかれた…ハムスター?…さぁ…。」

 「んええぇぇ~~?みゃほう使えないぃぃ?しょんなことあんのぉ?ちょっろハムスター手ぇ貸しれ見ろぉ。ほらぁ~~~~~……。」

 「んん~~~~~……。」

 「「E.T.」」

 「「エヒャヒャヒャヒャヒャ!!」」

 「…んん~~~?にゃんか指がぁあっらかくらってぇ…、あれぇ、こりぇ魔りょきゅ流れてなぁい?」

 「ほぉらぁ、みゃ力しょう作出来んならぁ…、魔法もぉ使えるっしょ!!」

 「えぇっろぉ…確か前ぇ…きょんな感りれぇ…、あっ。」

 「でたじゃん。ファイユァ~~~ブゥォ~~ル!!…おりぇよりでかい~~~ブゥォ~~ル!!アハッアハッハッハッ!!」

 「お…おぉ…ぉぉぉおおお!!出けら!!出けぇらぁ!!勇者に戻った!!勇ひゃにぃ!!もろったぞぉ!!」

 「おおおおおおお!!!」

 「冒険者に!!!なる!!おりぇは!!冒険ひゃになっれ!!もっとちゅよくなる!!」

 「勇ひゃ!!勇ひゃ!!勇ひゃ!!」

 「おーじょーなんれぇ知るかぁ!!おりゃは自由らぁ!!逃げ切っれやるぅ!!」

 「勇ひゃ!!勇ひゃ!!勇ひゃ!!」

 「「勇ひゃ!!勇ひゃ!!勇ひゃ!!」」

 「「かんぱ~~い!!一気!!」」

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 痛いよ。

 頭が痛いよ。

 死ぬよ、これ死んじゃうよ。

 どうしてこん、あッッッ痛ぁぁぃぃぃ……神様ごめんなさぁいぃ……許してくださぁい…。

 なんでこんなテーブルが一杯…?

 あ。

 あのまま床で寝てたぁん!のかぁ…。すいませんでしたぁ…。勘弁してくださいぃ…。

 もう昼かよ…。店主も起こせよな。

 と、取り敢えず水を…。

 「親父さん…水くんない?」

 「…昨日は随分楽しんだみたいじゃねぇか。」

 「あ、もうちょっと囁く様に言ってくんない?凄い頭痛いの…。」

 「…(今回はお情けで見といてやったが、普通は身ぐるみ剥がされるからな。)」

 「え?」

 「…(次はない。羽目外すのも程々に…)」

 「え?何聞こえない。ちゃんと喋って?」

 「次はぁ!!店から二人共叩き出してぇ!!身ぐるみ剥がされて!!ケツ掘られんのを実況中継してやるよぉ!!」

 「痛い痛いぃぃ…、分かったわかったぁ…もう分かったから水頂戴…。」

 「ほらよ。あと、そっちの兄ちゃんは良いのかよ。」

 あ。

 そういえば喰也と飲んでたんだっけ。

 「おい、喰也!!起きろ!!」

 「…ん…?あ、あれ?ここは?き、気持ち悪ぃ…。」

 「取り敢えず水飲めよ。」

 「おぉ…、端溜か…。悪いな。頭痛いんだが?」

 「俺もだ。」

 「…。」

 「…。」

 「で、端溜は南部大陸へ行くのか…?」

 「あぁ…、そのつもり。ここなら、俺みたいな逃亡奴隷でも南部大陸行きの船の乗船チケットとか手に入るらしい。金さえあればなんとかなる…と聞いた。どうやって手に入れるかはこれから調べなきゃならねぇけど…。」

 「…俺も連れてってくれねぇか?」

 「そういや喰也も王女から逃げてるんだっけ…?」

 「あぁ、俺は逃げると決めてから色々準備してたから…。変装の指輪も、証明書も…。で、情報収集も事前にしてたからここに来た…。」
 
 「へぇ…。」

 「ここには確か、この大陸で勢力のある裏ギルドの本拠地があって…。俺はそこへの渡りの付け方を知って…る。裏ギルドの要望次第だが…、金さえあればなんでも手に入るってのも間違いないって…。逃げる前の俺は実力あったし…、言葉も通じてたし…金なんざどうにかなるって…。…だけどこの有様でよ。」

 「方法知ってても言葉がわかんなきゃなぁ…しかも魔法も使えなくなったとなりゃ、まぁ、どうしようもねぇよな…。…わかった。そっちはその情報教える。俺は…通訳ってとこか?」

 「あと南部大陸への護衛をってお願いしたいが、お互い逃げてる身だからな。バラけることもあるだろうし、…見捨てることだってあるかも知れないからな。」

 「…ま、そうなっても恨まねぇよ。」

 「ヘぇっへへ。かっけぇな…。まぁ…つまり出来る限り組もうぜって話し。組んでる間俺に言葉を教えてくれ。言葉が通じないのはマジでキツい…。」

 「ふぅん…。言葉を教えるのは良いぜ。あとは金か…。」

 俺は金を無尽蔵に作れるが…、あまりこれで目立つのは得策じゃないしな。

 俺がやったって絶対にばれないなら良いんだけどなぁ。

 流石にリスクが有りすぎる。

 もう少し状況を見ないと。

 「そこで組もうって話になるわけよ…。俺も魔法が使えるようになったし、冒険者が出来る…。そしてここは迷宮都市。な?分かるだろ…?一緒に迷宮入って儲けようぜ。」

 う~~ん…。

 必ず喰也が強くなるって保証がないし…。

 こっちがずっと助ける事になる可能性だってある…。

 けど、裏ギルドへ話が通るのはありがたい。

 そもそも裏ギルドってなんだよって話だしな。

 俺みたいなぽっと出のド素人がそんな簡単に裏ギルドに渡りを付けられるわけないんだよ、よく考えりゃ。

 素人が簡単に裏ギルドに会えますって、もうそれ裏ギルドじゃないじゃん。

 表ギルドじゃん。

 佑樹がいればまず最初の問題はクリアできるってわけか…。

 …まぁ、いいか。

 それに迷宮で多少金を稼いで、そこに俺が作った金を紛れ込ませれば、多少の嵩増しが出来るんじゃないか?

 …それに仲立さんは俺が教えてから短時間でかなり魔法が強くなってた。

 初めて教わったにも係わらずだ。

 喰也はすでに魔法を使ったことがある。何故か使えなくなってたが、それも解決した。

 これから強くなる可能性だってある。

 いや、その可能性の方が高いか…?

異世界から来た人間?いや、日本人だからか?もしかしたら魔力の扱いが長けてる才能が共通してあるのかもしれんし。

 それに、まぁ、昨日冒険者になれって言ったのは俺だからな。

 少し位責任取らないとなぁ。

 「分かった。良いぜ。…そうだな、取り敢えず…喰也の寝床はあんのか?」

 「…いや、昨日ベッドには逃げられたし…。」

 「ベッド…分かった。取り敢えず、この金使ってこの宿に喰也の部屋取るぞ…。んで、ギルドカード作って、最低限の武器防具を整えよう…。あとは一旦迷宮入って考えるか…。…ん?…ていうか武器とか鎧とか何でない…の?逃げる準備してたんだろ?」

 「あぁ~……、盗まれた。」
 
 「えぇ…。」

 「武器防具は普通の奴だったから…。流石に明らかに怪しいものは事前に準備できなかった…。当日当たりを付けてかっぱらって来たけど、特に俺と紐付いてるわけじゃない…。言葉がわからなくてわちゃわちゃしてる時に簡単に…な。指輪と証明書は肌身離さず持ててたし、何とかなったけどな。」

 「きっついなぁ…。まぁ、いいけどさ。…あ、あとさ。」

 「ん?」

 「今の全部明日からやらない…?すっごい頭痛いんだよ…。」

 「うん、まぁ…賛成。」

 いや無理ですわ。

 二日酔いで一体何が出来るっつーの。

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 「取り敢えずこいつでこの男の武器防具を一式揃えてくれ。あと、俺達は迷宮に潜ろうと思ってる。何か必要な道具があったら買いたい。」

 「マジかよ。これ金貨…5枚?端溜って結構金持ってんの?」

 「これ以外には後少しってとこかな。」

 「…わざわざ迷宮に潜る必要なかったかな?」
 
 「いや、結局俺達はまだ旅をしなきゃならんし、最低限の強さは必要だろ?船に乗るためにどれ位の金があれば良いのかも分からんしね。稼げる手段を持っておくのも大事だろ。」

 「…装備を貰って逃げっちまうかも知れないのにか?」

 「言葉も通じないのにか?しかも今、喰也はそんなに強いわけじゃない。少なくとも今逃げるのは得策じゃないさ。んで、俺と組めば俺が使えるって事は分かると思うぜ?」

 「…随分な自信じゃねぇか。…いや、実際端溜が強いってのは何となく分かるし、まぁ…その通りか。」

 「今はお互い組んだほうが得だよ。んで、どうしょうもなく合わねぇって事になったらそんときゃチームを解消すりゃ良い。そんときに金を返せなんて言わないから安心しろって。」

 「…騙されて奴隷に落ちた後でよくまぁそんなこと言えるな…。…んじゃまぁ、お言葉に甘えますわ。」

 「…話は付いたかい?どんな武器が良いんだ?」

 「えぇっと…、長剣を使うんだが迷宮でも使えるか?できれば長剣が良い。防具は…、動きやすくて音が鳴らないのがいい…と彼は言ってる。」

 「迷宮入ったことねぇのかい?まぁ、長剣程度なら振り回すのに困らねぇよ。これだけありゃ鋼で良いだろ。防具は…、革系かな。消耗品だがコツと金を稼いだら自分に合ったのに変えてきゃ良い。あんたは…必要ないか。ここにはそれ以上の装備はねぇからな。」

 「あぁ。俺には必要ない。他に必要な道具とかはあるか?」
  
 「ポーションは一人一個持っとけ。長期に潜るんでないにしろ、水、保存食は最低限は持っておく。後は火の魔法が使えねぇなら光源を確保する手段がないとな。スライムのカンテラなんて高いが冒険者御用達だぜ?」

 ポーションはまだ残ってるし、俺の分は大丈夫か。

 しかし、明かりは火を使って良いのか?

 「…?一酸化炭素中毒とかって大丈夫なのか?迷宮で火を使って?」

 「イッシャンカ…?…火の毒のことか?それなら問題ない。少なくとも迷宮は毒を食うって話だからな。そういう話は聞いたことない。バカな盗賊がただの洞窟を根城にした時はそんなこともあるだろうがな。」

 「…分かった。ポーションは一つ。水と水筒、保存食2,3食。それを持ち運べるバッグをそれぞれ一つずつ。あと、成果を帰る用の袋もそれぞれ一つずつ頼む。」

 「毎度。じゃあ、そっちの兄ちゃん来な。防具を合わせるぜ。」

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 「これで冒険者登録は終了だ。しかし読み書き出来ねぇ奴は腐るほどいるが言葉が通じねぇのは流石に初めてだな。」

 「まぁこれから覚えていくんだよ。それと、迷宮にこれから行くんだ。初めてなんだが迷宮の情報を教えてくれ。」

 「えぇ~~…面倒くせぇな。」

 「ざっけんな。しっかり教えろよ。俺らが儲かりゃあんたらだって儲かるだろうが。」

 「分かった分かった。そうだな…、ここで有名な迷宮の一つは地竜山迷宮だ。古代の地竜が自分達の住処を作るために山を掘り進めて出来た迷宮だ。そりゃもう奥深くまで掘りまくったらしいぜ。ある時何かが起こりその住処の中の竜は全滅した。その龍達の魂や魔石が次々と魔物や宝を生み出しているらしい。」

 「何かって何だよ?」

 「さぁなそりゃ分からん。」

 「なんかあやふやな話だなぁ。」

 「あくまでそういう話があるってだけだからな。見たやつなんざ誰もいねぇわけだしよ。当然中は迷路のようになってる。上がったり下がったり、右へ左へ後ろへ前へとな。だが、龍たちの住処…というのが正しいかは知らんが、少なくともここを勧める大きな理由が一つある。」
 
 「なんだよ?勿体ぶるなって。」

 「悪ぃ悪ぃ。ここはな。罠が一つもないんだ。少なくとも今まで見つかってる範囲ではな。道や部屋に一切ない。しかも、宝箱にも一切罠がない。それが初心者に一番オススメの理由だ。まぁ、ここで宝箱が出るのは相当珍しいそうだが。」

 「なるほど。そりゃいい。」

 「勿論悪いところだってある。竜の巣だったわけだから、敵は他の迷宮に比べて強ぇ。階層タイプじゃねぇから階が進むごとにどの程度強くなるとは具体的に言えんが、一番弱い火蜥蜴をぶち殺せねぇようじゃお話にもならんわな。」

 「ふん…取り敢えず試してみるか。ダメだったら逃げりゃいいし。」

 「良いんじゃねぇかそれでも。死ぬのは俺じゃねぇしな。」

 おい。

 「だが迷うのだけは気をつけろよ。死因が迷って出られなくなった餓死だって話はそんな多くねぇが、少なくもねぇ。あとは…深さも距離もわからなくなるとは思うが、少なくとも道が大きくなったら引き返せ。そこはでかくて強い竜が住処にしてた可能性が高い。」

 「奥に行けば行くほど道がでかくなって危険になるってことか?」

 「そうだ。最奥に辿り着いた奴はいないが、少なくとも下層入り口当たりまではそうなってるらしい。あとは…他の冒険者には気をつけろよ。まぁ、言わなくても分かると思うが。」

 「まぁ…そりゃそうだが、建前上は冒険者同士の私闘は禁止されてるだろ?冒険者十番通則でよ?そんなはっきり言って良いのかよ。」

 「まぁそうなんだがな。迷宮と街の中はぜんぜん違う。街で調子に乗ってると迷宮で狩られるなんてことは普通にあるしな。他の街とはちょっと違うな。普段おとなしくしてりゃそうそう迷宮でぶっ殺されは…。」

 「ん?何だよ?」

 「あー…。これは、言っても無駄かもしれんが…。」

 「…良いから言ってくれ。そこまで言われちゃ気になってしょうがねぇって。」

 「…そうだな。この街には一人、大陸級の冒険者がいる。ニギ・サンダーボルトって奴だ。」

 「ふぅん?」

 「そいつは近接においてとんでもない強さを持つ。あのダックスといい勝負だ。いや、条件を揃えりゃダックス・ディ・アーキテクスを凌ぐかもしれん。だが、問題もあってな…。」

 「早く言ってくれよ。何が問題なんだ。」

 「素行がめちゃくちゃ悪いんだよ。街では横暴の限りをつくし、傍若無人そのものだ。街の中じゃ最後の一線をわきまえちゃいるが…、さて、迷宮の中では話が違ってくる。」

 「…。」

 「ただすれ違った冒険者の面が気に食わないと、身ぐるみ剥いだこともある。ニギにケンカを売った奴は迷宮から二度と出てこなかった。そいつの装備を後でニギが売っていたが、文句を付ける奴等いない。」

 「すげぇな。ギルドは何もしないのかよ。」

 「しないよ。ギルドにとっちゃ迷宮で稼いで魔石と宝を収めてくれる奴が一番偉いんだよ。新人100人よりニギ一人に価値があるのさ。さっき言った地竜山迷宮の下層入り口まで行ったのはニギなんだぜ?」

 「なぁるほどねぇ。」

 「まぁ、そういうわけだから。ニギと会ったら顔を伏せて通り過ぎるのを待つのが無難だな。取り敢えず他の冒険者はそうしてる。あとは…運だな。ニギは単身で迷宮に潜ってるから罠とかそういう面倒くさいのを嫌って地竜山迷宮によく潜ってる。会わないように別の迷宮に潜るのも手だぜ。」

 「他の迷宮には罠があんだろ?俺達にゃそれはわかんねぇ…。地竜山で行く。助かったよ、ありがとな。」

 「…ニギの面は見れば分かる。いつもニヤニヤしてるからな。背は高く体はでかい。体の隅々まで刺青がある。剃ってる頭にも刺青が彫られてるからひと目見りゃ分かるはずだ。あと…でかい剣とでかい金棒を持ってる。…ま、知ってた所で戦うわけないだろうが…気をつけろよ。…ま、精々お宝と魔石を取ってこい。火蜥蜴を狩れれば少なくともこの街で飯は食ってけるぜ。」

 「おお。じゃあな。」

 「…端溜。ダックス・ディ・アーキテクスって言葉が聞こえたんだが…。」

 「あぁ。ここにはニギ・サンダーボルトってやべぇ冒険者がいるんだと。そいつはダックスって奴に勝てるほど強いから気をつけろってさ。」

 「…ありえない。」

 「?なんだ知ってるのか?」

 「あぁ。…俺はその人から剣を教わってたんだ。ハルダニヤ流兵術つってな。教えて貰ってて偉そうだが、俺の勇者の力を全て使ってもまるで勝てる気がしなかった。あの人が負けるってのは…無理がある。全然想像できない。」

 「ふ~ん…。じゃあ、そいつに勝てるかも知れないって言われてるだけでも、ニギって奴は相当やべー奴なんだな。これから行く地竜山迷宮によく潜ってるらしいから気をつけようぜ。出会っても下を向いて通り過ぎるのを待ってりゃ良いんだとさ。俺も多分勝てないからさぁ。」

 「…そうだな、気をつけるよ。」

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 「裏ギルドへの渡りの付け方はいくつかある。一つはそこを収めている貴族にお願いすること。裏と繋がりがない貴族なんていない。上方にコネクションがあればまず間違いなく裏ギルドへ繋いでくれる。裏ギルドへの依頼次第だがな。」

 「うん。まぁ、今回、それはダメだよな?」

 「あぁ。俺達はお互い脛に傷持ってるわけだからな。リスクは下げたい。というかそうそう貴族に会えるわけないしな。」

 そりゃそうか。

 ザリー公爵やアルト様に会ってるとあんまそう思わないな。

 あの人達が特別なだけか。

 「他には…、裏に目をつけられる程度にヤンチャするとか、金貸し、奴隷売、盗品流しなんてやってるような奴らにお願いするとかがあるが…、時間が掛かるしそもそもそいつらも信頼できないっていうね。」

 「まぁ…そうだな。」

 「そしてこれがさっきやってた、府庁を使うってやつだな。「ヴェフェルエシディさんを探しています。〇〇にいるとお伝え下さい。」と情報屋に話を流す。〇〇で待ってると裏ギルドの奴らが話しかけてくる。「ヴェフェルエシディはあいにく不在だ。私が話を聞く。」ってな。そこで「ゴラフブシツさんはお元気でしょうか。」と答えて終わりだ。」

 「はぁ~~~。そんな合言葉が合ったのね。だからギルドであの見るから怪しい奴に話しかけさせたのか。ヴェフェルエシディって誰だよって思ったわ。でも下手したらそれってその暗号知ってるやつだったら誰でも会えちゃうんじゃないの?例えば裏ギルドを捕まえたい奴に引っ張り出されちゃったりするんじゃないの?」

 「それをなるべくされないように向こうから連絡が来る前に色々調べられてる。それに相当信頼されないとその連絡員より上の連中には会えないと聞く。大概はその使いっ走りが捕まって後は全然追えないんだってさ。」

 「へぇ~~~。なんかもっとスラムみたいな所に入ってコソコソ話を聞くんだと思ってたよ。」

 「んな見るからに怪しい行動はしないしさせないとさ。特に裏ギルドに何かを依頼したい奴はそういう行動に疎いからな。そういう奴らから足が付くのを防ぐために拠点にはそうそう行けないと思う。基本向こうから接触してくるはずだ。…そういえば端溜の事はなんて呼べばいい?」

 「あぁ…、そうだな。ここの冒険者ギルドにはシャムで登録してる。これからはそう呼んでくれ。喰也は…ハルでいいんだっけ?」

 「ああ。俺の兄貴の名前だ。使わせてもらうぜ。」

 「でもこの国って「ハル」ダニヤだろ?いいのか?」

 「だからだよ。この国にはハルって名前はそこそこいる。明らかに偽名と分かるし、そうそう文句も言われないだろ。」

 「ふぅん…。まぁ、結局俺達が泊まってるこのギズマの宿で待ってりゃ良いのか。どれ位待てば良いんだ?一週間って言われてもそりゃキツイだろ?」

 「ギルドの情報屋も心得た様子だったからな。そんなに時間は掛からないと思うが…。」

 「…お酒でも飲んで待ってる?」

 「……いや、それは流石にまずいだろ?万が一向こうにケンカ売ってるなんて思われちゃさ。」

 「…まぁ、そうだな…。」
 
 ん?

 こっちにゆっくり近づいてきてるやつがいるな。

 …砂塵・土蜘蛛がなければ全然わからないほど静かにこっちに来てる。

 こいつか?

 …しかしこいつ本当に使いっ走りなのか?

 こんなにうまく気配を消してる奴なんざ見たことないが…。

 …一応腰を浮かせておくか。ポンチョも固めて、剣とナイフに手を付けとこう。

 ナイフは引力・斥力魔法で何時でも飛ばせるように…標準は念の為そいつに合わせておくか…。

 「…お前らがヴェフェルを探してる奴らか?悪いが、ヴェフェルエシディはあいにく不在だ。私が話を聞く。」

 「…ヴェフェルエシディさんには「ゴラフブシツさんはお元気でしょうか。」とお伝えしたいだけなのですが…。」

 「…なるほどな。」

 …こいつは、強い、な。多分。

 油断なく周りを見てるのに、足は俺の方を向いてる。俺がなにかしてもすぐ動けるようにだろう。膝は曲げて腰は落としてる。外套を着てるから解らないが、俺の探査魔法ならそこら辺は丸裸だからな。

 少なくとも油断はしてない。

 くすんだ短い茶髪で、目はギラギラしてる。

 背は低い。小男って感じか。

 しかも奥の方にこっちを注意してる男が座ってる。二人体勢か。

 …すげぇな。

 少なくともあの座ってる男は俺達が来る前からいたはずだ。…多分。

 どうやって先回りしたんだ?

 いや、ギズマにいることは情報屋に言ってる。

 あの後すぐ、手配したのか?

 …もしかして俺達に気付かれないように奥に座ったのか?

 どちらにしろ俺達より上手じゃないか。

 …敵にならないように気をつけなきゃな。

 今は手持ちの金もない。金で場をとりなすのも難しいかもしれんし…。

 「…ふん。随分古臭い方法で会いに来るじゃねぇか。何処の紹介だ?」

 やべ。それは聞いてねぇ。

 「…貴族の伝だ。詳しく知りたいか?」

 「…いや、いい。それで何のようだ?言っとくがここまでして洒落や冗談じゃすまねぇからな。」

 「南部大陸へ行く方法を探している。あんたらに金を積めば乗船券を手配してくれると聞いた。2枚分だ。サウスポート以外からの方法がいい。いくら位になる?」

 「…1人金貨100枚だ。2人なら200枚だな。金を貰ってから手配には時間がかかる。下手したら1ヶ月は手に入らないかもな。」

 「金貨200枚か…。迷宮で稼ごうとは思ってるがそんなにすぐに稼げる金額じゃねぇな…。」

 「…まさか手持ちが全くない状態で俺達を呼びつけたのか?…おいテメェ舐めてんじゃねぇぞ。餓鬼の使いじゃねぇんだ。」
 
 やばい。

 話を聞くだけで呼んじゃまずかったのか?

 喰也は…駄目だ、言葉が解らないからこっちを心配そうに見てることしか出来ない。そして喰也の言葉が通じないこともできればバレたくない。

 …俺がなんとかするしかないのか。

 …しょうがない。

 バレるリスクはあるが…、ナイフを金に変えて他の依頼を…。

 「いや、それはついでみたいなもんだ。今回は、この金の分だけ情報を教えてもらいたい。…反乱奴隷のその後の動向を知りたい。なんでもだ。今何処に捉えられてて、何処を逃げてるのか。奴隷共を追いかけてるのはどんな奴で状況なのか。…確か奴隷の中に黒目黒髪の奴らがいたと思うが…。」

 「…なるほどな。だが何故情報屋に聞かねぇ?それくらいなら情報屋で手に入るぜ。」

 「そりゃ最初の船の乗り方に戻るがな、いずれあんたらには世話になるし早めに話を通しておきたくてな。それに…殺しは出来ねぇが、金を稼ぐ方法があれば教えてもらいたい。」

 「…。」

 「あとできれば一介の情報屋よりも詳細に…早く知りたい。」

 「ま、良いだろう。…そうだな…、逃亡奴隷の話は今分かってる事を教えよう。残りは手に入り次第だ。少なくともこの金分の情報は集めといてやるよ。それ以降は金次第だ。」

 「分かった。…金を稼ぐ方法はあるか?迷宮に潜る以外で割のいい仕事があれば良いんだが…。」

 「ッへ。殺しはしたくないけど割のいい仕事がしたいなんて舐めたこと抜かすんじゃねぇよ、と言いたいとこだがな。もし、迷宮の宝や魔石があれば割安で買ってやるよ。割り引いた分は乗船代金にツケといてやる。あとは…迷宮で死んだ冒険者の装備もこっちで処分してやる。」

 「…殺しはしないと言っただろ。っつーか割安って…。」

 「殺しじゃないさ。魔物にやられた冒険者の死体から剥ぎ取って来いっつってんのさ。まぁ、別に殺しても構わんがね。もちろん嫌なら良い。金が貯まる時間が掛かるだけだ。」

 「…分かったよ。」

 「あと、その冒険者が死んだことを誰にも見られてないんなら冒険者タグも拾ってこい。ランクが高ければ高いほど高額で買い取ってやろう。城下級とかだったら最高だね。」

 「…?そんなもん何に使うんだ?」

 「…詳しく知りたいか?」

 「…いや、いい。物を買い取ってもらうにゃどうすれば良いんだ?何処に行けばいい。」

 「後で使いのものを寄越そう。それと…情報だったか。取り敢えずこの街に届いてる限りだと…、ラドチェリー王女はエイサップを雇った。最初はラミシュバッツに雇われていたらしいが、今は王女が雇ってる。ラミシュバッツは…今王女様に手足もがれた状態だな。完全に王女に金を貢ぐ機械になっちまってる。…どうやら勇者様が逃げちまったらしくてな。王女はある逃亡奴隷を探してるらしいんだが、それが勇者の行方と関係してるらしいんだよ。つまりかなり本気だってことだ。多分金に糸目はつけねぇんだろうぜ。あと勇者について知ってるやつはかなり少ない。そこらで構わず喋ってぶっ殺されても俺は知らない。」

 「…反乱奴隷の行方は?」

 「それはこれから調べねぇと解らねぇな。」

 「そうか、頼むよ。…しかし何故反乱なんかしたのかね。どうせ捕まっちまうって分かってるのによ。」

 「だがまだ捕まってねぇ。万里見敵のエイサップを雇ったのにだ。まさか勇者と手を組むなんざ…。」

 「…?どこかでのたれ死んでるかも知れねぇだろ?違うにしろ遅かれ早かれ捕まるだろ?」

 「普通は遅かれ、なんていう状態にゃならないのさ。エイサップと王族が絡んでるならな。だが、まだ捕まってない。死んだら死んだでその情報も分かるらしいしな。少なくとも冒険者界隈じゃ久しぶりに貴族に逆らう奴がいるっつっていい酒の魚だ。勿論お偉様方は腸煮えくり返ってるがな。」

 「…ふぅん、そんなもんか。」

 「取り敢えずこんなもんだ。情報が入りしだい報告しよう。」

 「ああ…。それと奥にいるやつも連れてってくれ。チラチラ見られながら旨い酒は飲めねぇからな。」

 「…まぁ、いいだろう。おい!行くぞ!」

 喰也と俺が日本語で喋ってるところはなるべく見られたくない。…一昨日散々話してたから無駄かも知れんけど…まぁ、出来ることはしておきたい。

 「…シャム。結局どんな感じになったんだ?」

 「あぁハル。あいつはな…。」
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