戦闘兵器を人間にする

日明

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ありがとう

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ダリルはゼーリッヒに洗濯や洗い物、料理といった家事の知識も教えた。飲み込みは早く、すぐに人並みに出来るようになった。
今度は数字、文字といった働く上で必要な知識を与えていく。文字は少し苦戦していたが、ダリルが言わずとも自分で勉強を続けていた。
そのうち本を与え、朝にはおはよう。夜にはおやすみといった挨拶も教えた。
「おはよう。ダリル」
挨拶をするだけでダリルは嬉しそうに笑い、おはようと返してくる。
「ダリル」
「ん?なんだ?」
「ご飯も、服も、お風呂もありがとう」
169だった頃は全て当たり前では無かった。
「勉強も本もありがとう」
知識を得るのは楽しかった。本は自分の知らない世界を沢山を教えてくれ、自分が今まで人形であったことを知る。与えられていた環境は人間に対する扱いではなかったと。
だから、感謝しなければならないと思った。
その言葉はありがとうだと本で知った。
暫く瞬きを繰り返していたダリルだったが、不意にドバッと泣き出す。
「え、あ...」
涙は悲しかったり苦しかったりしたら出るものだ。だが、攻撃も実験もされていないダリルが泣いてる事実に何故なのかと動揺する。
「ごめん...違うんだ...。嬉しくてよぉ...。俺も、お前に沢山ありがとうが言いてぇよ。俺のわがままに付き合って一緒に居てくれてありがとうなぁ」
「涙って...嬉しくても出るの?」
「あぁ。嬉し泣きって言うんだ」
「そっか...。ダリルが苦しくないなら良かった」
ホッと息を吐けばいい子に育ってぇ!とダリルが更に声をあげて泣き出し、ゼーリッヒは2度目の動揺をすることになった。
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