短編集

流す血

僕が血を流すことで君が涙を流さないでいられるならそれでいい
僕が歯を食いしばってる様なんて君は知らなくていい
ただ笑ってくれてればいい
その隣に僕がいなくても君が幸せなら
それでいい
僕のこの思いは流れる血と共に土に還そう
願わくばまた笑顔の君と出会える日を夢見て
さようなら


なんだこいつは化け物なのか
血を吐いて、腹を貫かれても目が死なない前進してくる
私より遥かに傷ついているこの男に畏怖している
腕を切り飛ばしそれでも迫ってきた男はやがて地に伏した
そして笑って、涙を流し動かなくなった
その様子を見てようやく私は知った
この男が化け物でなかったのだと


私の幼馴染みが今戦っている
国境にある鉱山を巡って起こった戦いだ
その戦いで費やされるものはお金だけではない
お金以上に価値ある命が失われていくなんて無意味な戦いだろう
祈って祈ってやまない
彼が無事に帰ってきますように
そして私のこの気持ちを伝えられますように


end


冒頭のフレーズから3人の心理描写