君は花のよう

明人

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赤い光

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ルルーアが今季最後に来る明日のために悩みに悩み抜いたリックだが、ひとまずヤーハとセドに最大限の頼み事と1つ商品の取寄を頼み、眠ることにした。
静かに眠っていたリックの顔面に溺れるかと言うほどの水が降り注ぎ、咳き込みながら起き上がる。
「ルピィか!なんの真似「外を見て!!」
切羽詰まった表情のルピィが、胸ぐらを掴んで外を見させる。
外は真っ暗なはずなのに、轟々と赤い光が見えた。
ベットから飛び降り、外を見れば森が赤い炎に包まれている。
しかもその方角は、
ルルーアの家がある場所だ。
窓から勢いよく外に飛び出し、浮遊魔法で空を飛ぶ。
「ルピィ!君の力を貸してくれ!」
「ええ!ルルーアのためだもの!あんたの魔力借りるわよ!!」
全力でルルーアの家に向かいながら、ルピィの水の魔力とリックの魔力が合わさる。
その力は大きな黒雲となり、森の頭上を覆った。
大量の雨が降り注ぎ、火は次第に鎮火していく。
ルピィとリックは大きく息を吐き、肩で息をした。
一帯を覆うほどの巨大な雨雲を呼ぶのに大量の魔力を消費したのだ。
「ほんっとにあんたと相性悪いわね...っ!それより早く!」
「分かっている!」
ルルーアの家が見えた。
緑に覆われていたはずの家は黒く焼け焦げ、煙を立ち昇らせていた。
彼女が愛した草花も見る影もない。
「ルルーア!」
家に飛び込み何度も名前を呼ぶ。 
扉らしき扉を全て開け放ちながら彼女を探す。
想いを自覚したばかりで君を失うのか?
後悔ばかりが頭の中を駆け巡り、頭を振って振り払う。
奥の部屋に入れば、床に倒れている彼女を見つけ体の全てが凍てつくような感覚を覚えた。


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