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第3話 宅配司書と女学生
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④
ラヴェンナは、手にしたマグを傾けるのを忘れた。
滔々と語る小柄なルームメイトに、圧倒されていた。
その通りだと思う。
本を読んだ所感を己より克明な言葉で表現してきた人物は、大学内にもいなかった。
「ねぇラヴェンナちゃん?」
気が付くと、そのくりくりした目を開いたスウィーティがこちらを見上げている。
「大学の司書資格、修士課程までっていったら取るのに最低七年って言われてるのに、なんでそんなに頑張るの? もう少しのんびりやってもいいんじゃない」
一口、冷めかけた紅茶を含み、ラヴェンナはゆっくりと言を継ぐ。
「一刻も早く、人々に本を手渡したいのです」
それはまだ、ほんのりした熱を保っていた。
「何でしょう。説明が難しいのですが」
一縷の乱れもない、琥珀色の液体に、己の瞳が映り込む。
「わたしを、待っている人々がいる。そんな予感が胸を流行るのです」
「――」
とっぷりと、音がしそうなほど堪能するように、ラヴェンナのマグカップを奪ったスウィーティは口に含む。
「いいね、そういうの」
ぱた……ぱた、と、疲れ果てた両足がそれでもリズムを伴って上下する。
「わたしもちょっとだけわかるな。そういう気持ち」
小さな足のスリッパには、くまの顔と耳が描かれている。
「ラヴェンナちゃんと違ってなんの勝算もないけど。自分がする仕事を誰かが求めてくれてる予感、感じたことあるよ」
ふわぁぁというあくびの後、向けられたのは心地よさそうな笑顔。
「何て。わたしはポンコツだけど。ラヴェンナちゃんみたいな人ならきっと、届けられるんだろうね」
二度目のあくびで全身を延ばすと、スウィーティは斜めにソファにもたれた。
ラヴェンナは、手にしたマグを傾けるのを忘れた。
滔々と語る小柄なルームメイトに、圧倒されていた。
その通りだと思う。
本を読んだ所感を己より克明な言葉で表現してきた人物は、大学内にもいなかった。
「ねぇラヴェンナちゃん?」
気が付くと、そのくりくりした目を開いたスウィーティがこちらを見上げている。
「大学の司書資格、修士課程までっていったら取るのに最低七年って言われてるのに、なんでそんなに頑張るの? もう少しのんびりやってもいいんじゃない」
一口、冷めかけた紅茶を含み、ラヴェンナはゆっくりと言を継ぐ。
「一刻も早く、人々に本を手渡したいのです」
それはまだ、ほんのりした熱を保っていた。
「何でしょう。説明が難しいのですが」
一縷の乱れもない、琥珀色の液体に、己の瞳が映り込む。
「わたしを、待っている人々がいる。そんな予感が胸を流行るのです」
「――」
とっぷりと、音がしそうなほど堪能するように、ラヴェンナのマグカップを奪ったスウィーティは口に含む。
「いいね、そういうの」
ぱた……ぱた、と、疲れ果てた両足がそれでもリズムを伴って上下する。
「わたしもちょっとだけわかるな。そういう気持ち」
小さな足のスリッパには、くまの顔と耳が描かれている。
「ラヴェンナちゃんと違ってなんの勝算もないけど。自分がする仕事を誰かが求めてくれてる予感、感じたことあるよ」
ふわぁぁというあくびの後、向けられたのは心地よさそうな笑顔。
「何て。わたしはポンコツだけど。ラヴェンナちゃんみたいな人ならきっと、届けられるんだろうね」
二度目のあくびで全身を延ばすと、スウィーティは斜めにソファにもたれた。
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