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2章 流星の旋律
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「多分、千華は怒るんです。もう、死んじゃったんだから、後悔してもしょうがないって。いつまでもくよくよしてるんじゃないって」
到着したバスの中で、麻斗は静かにそう締めくくる。彼が軽音楽部を辞めたのも、千華が死んですぐのことだった。
「夏実先輩、覚えていてください。頭の片隅でいいんです。きっとあのとき、瞼を開こうとしたとき、千華は必死に生きようとしていた。最後の最後まで、あの子は全力だった。そのことだけ、覚えていて欲しいんです」
ゆっくりとバスが坂を下りていく。二人しか乗客のいない車内で、夏実は、麻斗が座席に置いた右手に左手を重ねる。
「大丈夫だよ。心配いらない。忘れろって言われても、私は忘れてあげないから」
嘗てこの右手は、千華の血に塗れていた。最後の命に触れていた。その感触を確かめるように、夏実は麻斗の手を握る。
「……何だか、先輩には弱いところばかり見せてますね」
「そう? 私は平気だよ。というか、麻斗は自分で思ってるより強くなんかないよ。それを知ってて私は好きだって言ってんだもん」
「敵わないなあ」
麻斗が苦笑するのに、それを見る夏実もなんだか笑えてきてしまう。
「何か、ぼくもお礼ができればいいんだけど」
「じゃ、付き合ってよ」
「それ以外で」
「なんでよ、ばか」
ぷくりと頬を膨らませると、麻斗が可笑しそうに吹き出した。そうして笑う彼の提案に、夏実は驚き、そして彼の言う「お礼」に賛同する。これからは絶対に楽しいことが待っている。それを体現するように、ふたりは笑いあった。
バスは、坂を下っていく。
到着したバスの中で、麻斗は静かにそう締めくくる。彼が軽音楽部を辞めたのも、千華が死んですぐのことだった。
「夏実先輩、覚えていてください。頭の片隅でいいんです。きっとあのとき、瞼を開こうとしたとき、千華は必死に生きようとしていた。最後の最後まで、あの子は全力だった。そのことだけ、覚えていて欲しいんです」
ゆっくりとバスが坂を下りていく。二人しか乗客のいない車内で、夏実は、麻斗が座席に置いた右手に左手を重ねる。
「大丈夫だよ。心配いらない。忘れろって言われても、私は忘れてあげないから」
嘗てこの右手は、千華の血に塗れていた。最後の命に触れていた。その感触を確かめるように、夏実は麻斗の手を握る。
「……何だか、先輩には弱いところばかり見せてますね」
「そう? 私は平気だよ。というか、麻斗は自分で思ってるより強くなんかないよ。それを知ってて私は好きだって言ってんだもん」
「敵わないなあ」
麻斗が苦笑するのに、それを見る夏実もなんだか笑えてきてしまう。
「何か、ぼくもお礼ができればいいんだけど」
「じゃ、付き合ってよ」
「それ以外で」
「なんでよ、ばか」
ぷくりと頬を膨らませると、麻斗が可笑しそうに吹き出した。そうして笑う彼の提案に、夏実は驚き、そして彼の言う「お礼」に賛同する。これからは絶対に楽しいことが待っている。それを体現するように、ふたりは笑いあった。
バスは、坂を下っていく。
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