カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

文字の大きさ
218 / 307
United Japanese tea varieties of Iratsuko(14)

暗黒山脈(43)

しおりを挟む
「――さて、以上が私からお前たちへのブリーフィング内容だが」

FBU局長代行、アンナ・ライトはそう言うと一呼吸置いた。
捜査局内の彼女の部屋には、アサヒたち一行が座っている。

場所はそうで、そして時間は、彼らが旅に出発する前だ。

「何か質問はあるか?」

アサヒが周囲を窺う。
フランシスは顔を掻いており、ジュディとは目が合った。

ジュディが微笑み返し、アサヒははにかむ。

「はい、先生」

ムサシが手を挙げた。

「何かしら。先生じゃあないけど」

「ああ、そうでしたね。ただ、貴女が教官だった時のクセがまだ抜けてなくって」

「そう。あの時はまだ貴方も可愛かったわね」

フランシスが笑う。
ムサシは喉を唸らせた。

「まあ、今ではこんな問題児になった俺を、またこの部屋に招いていただいて感謝してます」

「礼はフランシスに言うコトね」

「そうだぞ。いつもオレが助けてっぱなし」

「あざす。って言うか質問だ。今回は“裏口”は無いんですか?」

アサヒは、フランシスの頭の上に?が浮かぶのが見えるようだった。
そして、自分の頭上にも。

「流石ね。いつものようにしっかり調べたの?」

「そのクセだけは、ココで手に入れて良かった数少ないクセですよ」

「おいおい、なんだ“裏口”って」

フランシスが口を挿む。
その問いにはジュディが答えた。

「噂話程度だけど、聞いたコトがあるわ。“旅”には正攻法でないやり方もあるって。ソレが“裏口”なのかしら?」

「待て待て。オレと、恐らくだがアサヒもソレは初耳だぞ? なあアサヒ」

「は、はい」

「正攻法以外に、あんまり目的意識を外してほしくなかったのよ。だから、文書で追って伝えようと思っていたけど」

「はい、ザ・公的機関」

アンナを指差し、ムサシが悪い顔をする。

「うるさいわね。存在自体が不明瞭な部分があるから、口頭よりもソッチの方がいいでしょう?」

「黒塗りばっかでも困るぞ」

「で、明瞭な部分は?」

ジュディが次は二人に割って入った。
アサヒがフランシスを小声で呼び、耳打ちする。

「いつもこんな感じなんですか?」

「この会議の感じか?」

「はい」

「まあ、そうだな。ムサシがいるコトでより、だ。個人的には懐かしいがな」

「僕的には……少し微笑ましいです」

「そうなのか? 話が進んでねえから、若ぇヤツには退屈だろう」

「いえ、なんか……楽しめるムダな時間って気がして」

「ソレは違いない」

笑いながらフランシスは、ジュディから聞いていた“アサヒについて”の内容を思いだしていた。
まあ、前の世界では無かったんだろうな。こんな時間が。

「存分に楽しめ」

「ソコ、私の話聞いてた? 局長代行は同じコトを二度は言わんぞ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...