302 / 307
ラスト・コンテクスト Part3
越境(20)
しおりを挟む
――大法廷。現在
「てなワケで遥々やってきたのに、何だよこの状況はぁ!」
オクルスが嘆く。
しかしその心中は、ヴェルメロスの一行以外誰も察しようがなかった。
「ソレよりも、早く何とかしなきゃ! ですよね!?」
恐らくオクルスからマイクの前を分捕ったであろう、カオルが叫んだ。
デイルが落ち着いて返す。
「ああ、その通りだ。だが、今のトコロ名案が無くてね……」
「……待ってくれ。“遥々やってきた”んだよな? その蜘蛛に乗って」
ツヅキが言った。
カオルが返す。
「うん。急ぎだったから乗り心地は良くなかったけどねー」
「ソイツに全員乗って、“キョート”から脱出できないか?」
皆の顔が一瞬明るくなる。
しかし、デイルが首を振った。
「残念だが、“キョート”は周囲を“暗黒領域”に覆われている。暗黒山脈もその一つだ。この……蜘蛛とキミたちが言っている機械、『廃都』の技術のようだが、コレでも域外越境は難しいだろう」
「でも、0%よりはマシじゃあないですか?」
「あくまで私の意見だが、限りなく0に近いと思う……」
「じゃあ後は、オレたちの世界とか、別の異世界に避難するしか……“鍵”を手に入れたら戻れるハズでは?」
「その通りだが、ソレは“使用後”の話なんだ……」
ツヅキは蜘蛛の方を向いた。
「ミサトさん。貴女は別の世界の管理機関の人ですよね? 行けないんですか?」
「ムリムリ! 元の世界の装置があれば別だけど……私もその、逃げてきたみたいな感じだからさ」
「……あーちょっと待てよ」
その声はレインスだった。
「オクルスさぁ。あの場所って“境目”みたいなコト言ってなかったっけ? ほら、えーっと……何だっけ?」
「何言ってんだ」
「だからアレだって! あのほら、“トガノオ”?」
「……あっ」
オクルスが少し黙る。
メイが聞き逃さなかった。
「トガノオ? トガノオってあのトガノオ? 見つけたの?」
「あー、うん見つけた」
「何なんだ」
ツヅキが問いかける。
「時空のあわいに存在するかもっていう都市とか王国とか言われる場所よ。消失が“確認された”土地でもあるけどね」
「いやいや、マジで見つけたって。いや、迷い込まされたのが正しいかもだけど」
「でも例え、トガノオが時空のあわいに存在するとしても」
ジュディが口を挟んだ。
「“鍵”の影響を逃れられるかはわからないわ。あの“廃都”でさえ、乱れた時間軸にも関わらず、影響は逃れえない」
「あーいや、ソレは逃れられるかも」
答えたのはレインスだ。
「何故?」
「いやだって、そう言ってたし」
「誰が?」
「トガノオの人」
会話が一瞬止まる。
デイルが口を開いた。
「すまない。話を早くするために、少しキミたちの心を読ませてもらった。キミたちの心象がまとまっていないから全てはわからないが……そのトガノオにもし行けたとしても、どうやって入る? 時空のあわいに存在すると言われていたその地は、幾度の調査にも姿を現さなかった。キミたちが迷い込んだというのは事実のようだが……ん、待てよ……?」
デイルが頭を指で抑える。
その答えを待たず、オクルスが言った。
「あ、心に思い浮かべたのわかった? そうそう、“迷い込ませてもらう方法”があるかもしれないんだ。彼らはこの“蜘蛛”を気にしてるから。コイツがパスポートになってくれるかもしれない」
「てなワケで遥々やってきたのに、何だよこの状況はぁ!」
オクルスが嘆く。
しかしその心中は、ヴェルメロスの一行以外誰も察しようがなかった。
「ソレよりも、早く何とかしなきゃ! ですよね!?」
恐らくオクルスからマイクの前を分捕ったであろう、カオルが叫んだ。
デイルが落ち着いて返す。
「ああ、その通りだ。だが、今のトコロ名案が無くてね……」
「……待ってくれ。“遥々やってきた”んだよな? その蜘蛛に乗って」
ツヅキが言った。
カオルが返す。
「うん。急ぎだったから乗り心地は良くなかったけどねー」
「ソイツに全員乗って、“キョート”から脱出できないか?」
皆の顔が一瞬明るくなる。
しかし、デイルが首を振った。
「残念だが、“キョート”は周囲を“暗黒領域”に覆われている。暗黒山脈もその一つだ。この……蜘蛛とキミたちが言っている機械、『廃都』の技術のようだが、コレでも域外越境は難しいだろう」
「でも、0%よりはマシじゃあないですか?」
「あくまで私の意見だが、限りなく0に近いと思う……」
「じゃあ後は、オレたちの世界とか、別の異世界に避難するしか……“鍵”を手に入れたら戻れるハズでは?」
「その通りだが、ソレは“使用後”の話なんだ……」
ツヅキは蜘蛛の方を向いた。
「ミサトさん。貴女は別の世界の管理機関の人ですよね? 行けないんですか?」
「ムリムリ! 元の世界の装置があれば別だけど……私もその、逃げてきたみたいな感じだからさ」
「……あーちょっと待てよ」
その声はレインスだった。
「オクルスさぁ。あの場所って“境目”みたいなコト言ってなかったっけ? ほら、えーっと……何だっけ?」
「何言ってんだ」
「だからアレだって! あのほら、“トガノオ”?」
「……あっ」
オクルスが少し黙る。
メイが聞き逃さなかった。
「トガノオ? トガノオってあのトガノオ? 見つけたの?」
「あー、うん見つけた」
「何なんだ」
ツヅキが問いかける。
「時空のあわいに存在するかもっていう都市とか王国とか言われる場所よ。消失が“確認された”土地でもあるけどね」
「いやいや、マジで見つけたって。いや、迷い込まされたのが正しいかもだけど」
「でも例え、トガノオが時空のあわいに存在するとしても」
ジュディが口を挟んだ。
「“鍵”の影響を逃れられるかはわからないわ。あの“廃都”でさえ、乱れた時間軸にも関わらず、影響は逃れえない」
「あーいや、ソレは逃れられるかも」
答えたのはレインスだ。
「何故?」
「いやだって、そう言ってたし」
「誰が?」
「トガノオの人」
会話が一瞬止まる。
デイルが口を開いた。
「すまない。話を早くするために、少しキミたちの心を読ませてもらった。キミたちの心象がまとまっていないから全てはわからないが……そのトガノオにもし行けたとしても、どうやって入る? 時空のあわいに存在すると言われていたその地は、幾度の調査にも姿を現さなかった。キミたちが迷い込んだというのは事実のようだが……ん、待てよ……?」
デイルが頭を指で抑える。
その答えを待たず、オクルスが言った。
「あ、心に思い浮かべたのわかった? そうそう、“迷い込ませてもらう方法”があるかもしれないんだ。彼らはこの“蜘蛛”を気にしてるから。コイツがパスポートになってくれるかもしれない」
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
転生無双の金属支配者《メタルマスター》
芍薬甘草湯
ファンタジー
異世界【エウロパ】の少年アウルムは辺境の村の少年だったが、とある事件をきっかけに前世の記憶が蘇る。蘇った記憶とは現代日本の記憶。それと共に新しいスキル【金属支配】に目覚める。
成長したアウルムは冒険の旅へ。
そこで巻き起こる田舎者特有の非常識な勘違いと現代日本の記憶とスキルで多方面に無双するテンプレファンタジーです。
(ハーレム展開はありません、と以前は記載しましたがご指摘があり様々なご意見を伺ったところ当作品はハーレムに該当するようです。申し訳ありませんでした)
お時間ありましたら読んでやってください。
感想や誤字報告なんかも気軽に送っていただけるとありがたいです。
同作者の完結作品「転生の水神様〜使える魔法は水属性のみだが最強です〜」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/743079207/901553269
も良かったら読んでみてくださいませ。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。
その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。
ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。
それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。
そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。
※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる