夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ

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第1章

第7話『迫る異変と沈黙する動物たち』

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 えまは息をのんだ。
 夜の動物園は、普段ならば静かで穏やかな時間が流れるはずだった。

 しかし今は違う。

 動物たちは怯え、檻の中でじっと身を縮めている。いつもなら鳴き声が響くはずの夜に、異様な静寂が広がっていた。

「……おかしい。」

 透子が小さく呟いた。

「この動物たち、まるで何かを警戒してるみたい。」

 えまはゆっくりと周囲を見渡した。普段は好奇心旺盛なはずのライオンも、檻の隅で縮こまり、視線を一点に向けている。

(何がそんなに怖いの? 何が……?)

 えまはそっと目を閉じた。
 すると、まるで冷たい風が吹き抜けるような、薄気味悪い感覚が背筋を走る。

 ——キイ、キイ。

 微かな音がした。

 それは檻の鉄格子が、わずかに揺れた音だった。

「……今の音、聞こえた?」

 透子が低い声で問いかける。

「聞こえた……。」

 えまは足元に力を入れ、恐る恐る前に出た。

 その時——。

「やめろ……! 近づくな……!!」

 突然、えまの頭に強烈な警告が響いた。

「——!!!」

 思わず、えまはその場にしゃがみ込む。

「えま!?」

 透子が驚いた声を上げる。

(今の声……動物の? 誰の……?)

 えまは呼吸を整えながら、慎重に意識を研ぎ澄ませた。

 すると——。

「……見られてる……。」

 誰かの視線を感じた。

 ——カメラの死角から。

 ぞくりと寒気が走る。

「透子さん……何かがいる……。」

 えまの声が震える。

 透子は真剣な表情でポケットから小型の懐中電灯を取り出し、周囲を照らした。

 しかし——何もいない。

「……えま、具体的にどこに?」

「わからない、でも……視線を感じる。」

 えまは唇を噛み締める。

 そしてその瞬間。

「ガシャンッ!!!」

 背後の檻が、大きく揺れた。

「!!!」

 驚きのあまり、えまと透子は反射的に振り返る。

 そこには——何もいないはずの空間に、確かに『影』があった。

「……何か、いる。」

 透子の声が緊張に満ちる。

 えまは喉が渇いたような感覚を覚えながら、じっとその影を見つめた。

 動物たちが恐れる何か。
 そして、えまが感じた視線の正体。

 それが今、目の前に——。

 ‐‐‐

(続く)
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