異世界貴族令嬢、現代でカフェ開業!? だけど隣にいる彼が気になりすぎる♡

メイナ

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第25話 異世界令嬢、究極の紅茶を求めますわ!

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カフェ・ルミエールの厨房に、いつもとは違う緊張感が漂っていた。
試験まであと数日——メルは、自分にとっての“究極の紅茶”を見つけるため、ひたすら試行錯誤を繰り返していた。

「やっぱり……これじゃダメですわね。」

 小さく呟きながら、メルは試作した紅茶のカップを見つめる。
 香り、味わい、余韻——どれも悪くない。でも、何かが足りない。

「何が違うんだ……?」

 響はカウンターに肘をつきながら、難しい顔をしているメルをじっと見ていた。

「なあ、お前さ……結局、どんな紅茶を淹れたいんだ?」

「それはもちろん、究極の紅茶ですわ!」

 メルは即答するが、その表情はどこか曇っている。

「じゃあさ、“究極”って具体的にどういうことだ?」

「……え?」

 響の問いに、メルは思わず言葉を失った。

「最高の茶葉を使う? 一番贅沢な淹れ方をする? それとも、貴族好みの完璧な味を目指す?」

「それは……」

 言葉に詰まるメル。響はため息をつきながら、紅茶のカップを手に取った。

「お前、今までの試作、全部“完璧”を意識しすぎてる気がする。」

「だって、試験で認められなければなりませんもの!」

「……でも、それが本当にお前が淹れたい紅茶なのか?」

 メルの動きが止まる。

「俺には、さっきから“評価されるための紅茶”を作ろうとしてるように見えるんだよな。」

「……!」

 メルの心に、一瞬衝撃が走る。

(私が作りたい紅茶……?)

 貴族時代の記憶が頭をよぎる。格式高いティーパーティー、完璧なマナー、厳格な品評——そこにあったのは、“誰かに認められるための紅茶”だった。

(でも、私が本当に紅茶を好きになったのは……)

 思い出すのは、カフェ・ルミエールで過ごした日々。
 響とおばあ様と、笑いながら飲んだ紅茶。
 常連客たちが幸せそうにティーカップを傾ける姿。

「……私の、本当に好きな紅茶。」

 メルは小さく呟いた。

「……決めましたわ。」

 ゆっくりと顔を上げると、響と目が合った。

「お前、いい顔してるな。」

 メルはふっと笑った。

「あなたのおかげですわ。」

 響が驚いたように少し目を丸くする。

(なんだ、この感じ……?)

 普段なら“偉そうに”とか言い返すのに、今日のメルは妙に素直だった。
 思わず、視線をそらす。

「ま、まあ……頑張れよ。」

「ええ、もちろんですわ!」

 メルの目には、もう迷いはなかった。


---

試験当日——伝説の紅茶ソムリエの前で

 試験会場に入ると、そこには数人の受験者たちが緊張した表情で座っていた。
 中央の席には、伝説の紅茶ソムリエ、アーサー・グランツが静かに佇んでいる。

(これが、アーサー……!)

 彼の鋭い青い瞳は、まるで全てを見透かすような眼差しだった。

「では、試験を始めよう。」

 アーサーの静かな声が響く。

「それぞれ、自分が考える“究極の紅茶”を淹れ、私に提供せよ。」

 受験者たちは一斉に動き出す。

 メルもゆっくりとティーセットを準備しながら、深呼吸した。

(私は、私の好きな紅茶を淹れる。)

 彼女が選んだのは、ダージリンのファーストフラッシュ。
 紅茶のシャンパンと呼ばれるその茶葉は、軽やかな香りと爽やかな味わいが特徴だった。

 温度、蒸らし時間——全てを慎重に調整しながら、メルは静かに紅茶を注いだ。

 香りがふわりと立ち上る。

(私が、みんなと一緒に飲みたい紅茶。)

「……できましたわ。」

 メルは、そっとアーサーの前にカップを置く。

 アーサーは何も言わず、それを手に取り、口元へと運んだ。

 一口——

 二口——

 そして、カップを静かに置いた。

 その表情は、読めない。

(どうか、届いていますように。)

 メルの胸は、鼓動を速めた——!


---

次回「異世界令嬢、運命の一杯を淹れますわ!」

 ついに試験の結果が明かされる——!
 メルが淹れた紅茶は、伝説の紅茶ソムリエに認められるのか!?
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