異世界貴族令嬢、現代でカフェ開業!? だけど隣にいる彼が気になりすぎる♡

メイナ

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第24話 異世界令嬢、紅茶の極意を学びますわ!

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 カフェ・ルミエールの扉を開けると、芳醇な紅茶の香りがふわりと鼻をくすぐった。
 メルフィーナは、カウンターに腰掛けながら湯気の立つティーカップを手に取る。

「ふぅ……今日もいい香りですわね。」

 試作を重ねたロイヤルミルクティーパウンドケーキは、すでにカフェの人気メニューとして定着しつつあった。しかし、メルにはまだ課題が残っている。

 それは——「紅茶を極めること」。

「メルちゃん、紅茶ソムリエのアーサーに会ってから随分と熱心だねぇ。」

 老婦人が微笑みながらティーポットを傾ける。

「当然ですわ! 紅茶の魅力を引き出すには、まずその本質を知らねばなりませんの!」

 メルは拳を握りしめ、テーブルに並べた紅茶の缶をじっと見つめた。
 アッサム、ダージリン、キームン、セイロン——産地ごとに異なる茶葉の特徴を理解し、最適な淹れ方を見極める。それが彼女の次なる目標だった。

「でもさ、そんなに一気に覚えられるのか?」

 響がカウンターに肘をつきながら、彼女の様子を伺う。

「ふふ、覚えるのではなく、体験するのですわ。」

 そう言うと、メルは紅茶を一口含み、ゆっくりと目を閉じた。

「……この紅茶は、ダージリンのセカンドフラッシュですわね?」

「おぉ、正解。」

 驚いたように響が目を丸くする。

「茶葉の甘みとコク、後味に感じるほのかな渋みが特徴ですわ。まるで、初夏の爽やかな風を思わせるような……」

「やるじゃねぇか。」

「当然ですわ!」

 メルは得意げに胸を張る。
 だが、その顔にはどこか考え込むような表情が浮かんでいた。

(でも、まだ足りませんわ……)

 アーサーの言葉が脳裏に蘇る。

——「本当の紅茶の魅力を知るには、五感だけではなく、心で感じることが大切だよ」

「心で感じる紅茶……?」

 彼女は改めて、目の前のティーカップを見つめた。

「なぁ、メル。」

 ふいに響が隣に座り、彼女のカップを指で軽く示した。

「お前が好きな紅茶って、結局どれなんだ?」

「……私の好きな紅茶?」

「そうだよ。知識はすごいし、どの紅茶がどんな味かも分かる。でも、お前自身が一番好きな紅茶って、決めてるのか?」

 メルはハッとした。

(私が、一番好きな紅茶……?)

 貴族だった頃は、格式ある紅茶を選ぶのが当然だった。
 けれど、それは自分の意志ではなく、周りに合わせていたものだったのでは——?

「私は……本当に好きな紅茶を、まだ見つけていませんわね。」

 呟くように言うと、響は少し驚いたように彼女を見つめた。

「そっか。でも、それならこれから見つければいいだけだな。」

 ぽん、とメルの頭を軽く叩く。

「なっ……!?」

 思わぬ仕草に、メルは目を見開いた。

(こ、こんな風に頭を撫でられるなんて……!)

 響はいつも通りの表情だったが、メルの心臓はなぜか落ち着かない。

(なんでしょう、この感じ……!?)

 胸の奥が少しだけ熱くなる。

「お前のことだから、完璧にしようとしてるんだろうけど、焦る必要はない。ゆっくり探せばいいんじゃねぇの?」

「……ええ、そうですわね。」

 メルはそっと胸元のペンダントを握りしめる。

(私は、この世界で初めて“自由に選ぶ”ことを知りましたわ。なら、紅茶だって……。)

 もう一度、カップを手に取る。
 ふわりと広がる紅茶の香りが、優しく彼女を包み込んだ。

(私が本当に好きな紅茶を見つけた時——それが、紅茶を極めた証なのかもしれませんわね。)

 メルは静かに目を閉じ、深く息を吸い込んだ。

 ——本当の紅茶の魅力を知るために。

 彼女の旅は、まだ続いていく——!


---

→ 次回「異世界令嬢、究極の紅茶を求めますわ!」

 自分にとっての“本当に好きな紅茶”を探す旅が始まる!?
 メルの新たな挑戦にご期待ください!

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