異世界貴族令嬢、現代でカフェ開業!? だけど隣にいる彼が気になりすぎる♡

メイナ

文字の大きさ
23 / 29

第23話 異世界令嬢、伝説の紅茶ソムリエに挑みますわ!

しおりを挟む
カフェ・ルミエールの扉が、かすかに軋む音を立てて開かれた。

「おや、もう来ていたのか?」

静かで落ち着いた声が響く。

振り向いたメルの視線の先には、一人の男性が立っていた。銀色の髪を持ち、端正な顔立ちに鋭い琥珀色の瞳。そして、長年の経験を物語るような落ち着いた雰囲気を持っている。

「君がメルフィーナだな?」

「ええ、そうですわ。あなたが……伝説の紅茶ソムリエ?」

メルは慎重に問いかけた。

「名はアーサー・ハミルトン。君の師となる者だ。」

そう言って、アーサーはカウンターの席に腰を下ろすと、店内を一瞥した。

「ほう……悪くない香りがする。」

「当たり前ですわ! 私のカフェは、紅茶を愛する人々のための場所ですもの。」

メルは誇らしげに胸を張る。

しかし、アーサーはふっと微笑むと、指を軽く振った。

「では、君がどれほどの腕前なのか、まずは見せてもらおうか?」

「もちろんですわ! 私が極めた紅茶の淹れ方、お見せいたしますわ!」

メルは自信満々にカウンターの奥へと向かった。




◆ 伝説のソムリエからの試練

メルはカップを慎重に温め、茶葉の計量を始めた。

「今日はダージリン・ファーストフラッシュをお淹れしますわ。」

手際よくポットに湯を注ぎ、茶葉がゆっくりと開くのを見届ける。

「さて、どうぞ。」

アーサーの前に、金色の美しい紅茶が置かれる。

アーサーはカップを手に取り、静かに香りを嗅いだ。

そして、一口。

「……悪くない。」

その一言に、メルは思わず頬を緩める。

「ですが——」

「えっ?」

「まだまだ、だな。」

アーサーはカップを置き、メルをじっと見つめる。

「君の紅茶は美しく仕上がっているが、まだ“深み”が足りない。」

「深み……?」

メルは困惑した。

「紅茶とはな、ただ美味しく淹れればいいというものではない。その紅茶が語る“物語”がなければならない。」

「物語……?」

「君は紅茶を淹れる時、何を考えている?」

「それは……美味しい紅茶をお客様に提供することですわ!」

「それだけか?」

アーサーの鋭い瞳がメルを射抜く。

「紅茶とは、その一杯に込められた歴史、文化、淹れ手の想いすべてが味となる。君は今までの人生で何を感じ、何を学び、それをどう紅茶に込めるのか?」

「……!」

メルは言葉に詰まった。

(私は……ただ紅茶が好きで、美味しいものを作ろうとしていただけ。でも、それだけで本当に“究極の紅茶”を生み出せるのかしら?)

「君に課題を与えよう。」

アーサーはゆっくりと告げた。

「三日後までに、君自身の“物語”を持つ紅茶を作ってもらう。」

「私の……物語?」

「そうだ。自分が何者なのか、何を成し遂げようとしているのか、それを一杯の紅茶に込めるのだ。」

「……わかりましたわ。」

メルは静かに拳を握った。

(私にしか作れない紅茶……それを見つけ出してみせますわ!)

響はそのやり取りを静かに見守りながら、ふっと小さく笑った。

(あいつ、また熱くなってるな。)

メルの新たな挑戦が、ここから始まる——!


‐‐‐

→ 次回 「異世界令嬢、自分だけの紅茶を生み出しますわ!」

メルが見つける“物語”とは!? 彼女だけの紅茶作りが始まる!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

オマケなのに溺愛されてます

浅葱
恋愛
聖女召喚に巻き込まれ、異世界トリップしてしまった平凡OLが 異世界にて一目惚れされたり、溺愛されるお話

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...