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2章 新メンバーですよ、救出隊!

sideカイ きっかけは突然に

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 あー、学校つまんねぇ。
早く家に帰ってサッカーとゲームしたい……。
じゃなくて、今日はねえちゃんのプレゼント買うんだった。
忘れちゃねえちゃんに怒られるし、おれの気分も下がるしな……。
小説オタクだから、小説買えばいいか?
でもこのみ知らねぇや。
【小説 面白い】って検索すれば出てくるか?
「それでは授業を終わりにします」
よっしゃ、終わった!
     ***
よーし、超ダッシュで帰るぞ~。
 ダッシュしてたら、誰かにぶつかった。
「あ、ごめんなさ……」
謝ろうとしたけど、ねえちゃんだった。ならいいや。
小説求めてダッシュ中だったのか?
なんかおれたち、すごく似てるな……。
でも、おれが先に着いてやる!
 「ただいま~」
結局、先に着いたのはおれ。
ヒミツの道知ってるし……。
適当にランドセルを部屋に放り投げて、洗面所へ。
そこには母ちゃん。
なんか、母ちゃん怒ってる?
「カイ‼ ランドセルは丁寧に扱いなさい! 昨日レイにも言ったのよ!二
 度言わせないで!」
いや、二度言わされたのはねえちゃんのせいだろ。
それに、マイは丁寧に扱ってるから三回も言うよりいいだろ。
「いいから、これからは丁寧に扱いなさい‼」
「は、はい~」
ひゃ~、怖え~。
 財布、スマホ、バッグ。
よし、買いに行くぞ!
その前に、面白い小説調べないと。
__________________________________
[面白い小説 の検索結果]
・小説以外何もいらない。そんな私が天使になってゲームみたいに悪魔と戦
 闘中。
・天使聖戦記
__________________________________
へー、なんだかねえちゃんが主人公みたいな本出てきたな。
これにするか!
天使聖戦記も気になるけどな。
来年のプレゼントにするか。
            ***
 「ただいま~」
「カイ? どこ行っていたの?」
そういえば、買い物に行くこと自体も言っていなかった……。
「えっと、きゃらめる本屋だよ」
「しっかりどこに行くか言ってから行きなさい‼」
は、はーい。
さて、買った本をしまうか。
ねえちゃんに見つからないように、一応部屋を確認。
あれ、いない。
小説が散らばって……。
小説オタクのねえちゃんが読書を中断することって、絶対ないのに……。
母ちゃんに「ご飯出来たよ~」って言われても来ないしな。
 ……。

部屋に誰かいる!
長い髪の女の人……、よく見たら翼がはえている!?
コスプレイヤー!?
もしかしてコイツ、ねえちゃんを誘拐した? だからねえちゃんがいない?
なら、どうにかしないと!
おもちゃの剣でも持って行って……。
扉を開ける!
「あらっ?」
声を出したのはコスプレイヤーみたいな人。
あの子・・・の弟かし……」
「ねえちゃんはどこだ」
コスプレイヤーもどきの人の話をさえぎる。話を聞くよりおれが聞くのが先だ、と思ったからだ。
そしたらその人、目をつぶって。
そして、ハッとした顔。
一体何がしたいんだ?
「おねえちゃんのことが、大好きなんですね」
へ?
「ば、ば、ばか言え!」
「図星過ぎて、何も言えないんですね」
な、なんで心読まれてるんだよ‼
「それは、あなたがそれを言われて茹でダコみたいに顔真っ赤なのと、思っ
 たことを全て独り言として喋っているからです」
ま、まじか……。
茹でダコって、おれは食材か!
「ただのたとえです」
あ、そうなのか。
おれの国語力が低いだけか……。
「ついでに、あなたについても情報を仕入れたので、何でも知っています
 よ」
怖っ!
「では、あっているか確かめてください」
おう!
「風間カイ10歳。桜丘小学校に通う、小学4年生。風間レイの弟。学校より
 サッカーとゲームが優先のサッカー&ゲームオタク。最近の悩みはお母さ
 んに叱られてゲームとサッカーをする時間が減るということ。あらまぁ、
 レイと同じ悩みですね。友達は、サッカーをする必要人数の10人! つい
 でに、おねえちゃんが大好き!」
ついでに、はいらねえよ……。恥ずかしい……。
「で、おねえちゃんがどこにいるか知りたいんでしょう。レイは今、エンジ
 ェル・カントリーにいます」
は? エンジェル・カントリー?
どこだそれ。
「ではカイも救出隊に出来そうなので、天使にしまーす!」
いや、勝手な……。
救出隊??
へ、おれ天使になるの?
キラキラキラ~っと光に包まれて、光がなくなると服が変わっていた。
首の布は途中からマントになっている。
マントって、正義のヒーローみたいじゃないか。
半そでTシャツは袖の先端が金色。
ハーフパンツも裾の下のほうがが金色だ。
この服は全体的にグレーだな……。
「グレーが好きという事なので、グレーにしました~。あと、二回ジャンプ
 して翼がでてくるか確かめてください」
は? 翼がでてくる?
ピョンピョン。
バサッ!
げ、本当にでてきた!
「それでは、エンジェル・カントリーへLet' go!」
え、早くないか?
救出隊の説明も全然受けてない……。
「まあそこは、『あたって粉々になれ』なので~」
そこは「あたって砕けろ」だろ!
粉々になったらダメだろ!
ツッコんでいたら、突然目の前が真っ白になった。
「移動中は、こうなるので慣れてくださいね~」
慣れるか!
「そういえば、名乗っていませんでした。光の女神、シェルジアーヌです」
女紙? 女の紙なのか?
「女神は、女の神ってこと!」
……。おれ、国語力低いんだ……。
 ヒュー、ヒュー。
ちょ、これって、おれ落ちてる!?
怖くて目が開かない~。
死ぬ~。
ボフン!
ん? これ落ちた音なのか?
それにしてはやわらかい。
ぬわっ! ここ地面雲じゃないか!
ってことはここ、黄泉の国?
おれ死んだ?
さっきのしぇるじあーぬって人に騙された??
「なんか、初めて私がエンジェル・カントリーに来たときみたいなこと言っ
 てる人がいる……」
そっその声はっ、ねえちゃん!
ねえちゃんも、おれに気付いたみたいで。
「カイっ!」
「ねえちゃん!」
おれ、思わず抱きついちゃって。
「ねえちゃん、なんで急にいなくなるんだよ……。心配したじゃないか
 あ……」
「ごめんね……。急にいなくなって……。というか、シェルジアーヌ様が急
 にエンジェル・カントリーに移動させたからだよ」
「ねえちゃんもその人にあったのか」
「カイも会ったんだ」
一気にしゃべったら、隣にいたメガネの人が、
「ねえレイ、その人もしかして恋人?」
なんて言い出した。
は?
「「んな訳ないだろ!!!!」」
完全にシンクロ。
「ねえちゃんだって‼」
「弟だって‼」
今度も、シンクロ。 
 おれたち、ホント似ている……。
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