異世界の歩き方

月野片里

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零章 始まりはドタバタで

迷走回廊 終

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黒い鬼との遭遇から5日経ち俺は迷走廻廊を抜けるべくカーシャに付き従い歩みを進めて居た。
「なぁ、カーシャ」
「ん?何だい?」
「迷走廻廊って名前だけどさ……」
「ああ、それがどうかしたかい?」
「普通ならさ、迷う事なく真っ直ぐ進めば外に出られるんじゃないのか?」
「あはは!そう思うよね普通。でもね……それは無理なんだ」
「何故だ?現に俺達はこうして歩いてるじゃないか」
「そうだね、私達は何も考えずに真っ直ぐ進んでいるよ。ただね、この迷走回廊は曲がっているんだ。だからどれだけ進んでも振り出しに戻る様になっっているのさ」
「成程そういうことか。しかし、それじゃあ何でカーシャはそんな道を知ってるんだ?」
「ああ、それはね、私が案内人だからって言うのもあるけど、地図も有るし何万回も案内していれば覚えるなって言うのが無理な話だよ」
「それもそうだな」
それにしても目的の場所が非常に遠いと言うのは非常に面倒である。こうしている間にも時間は刻一刻と過ぎていくわけだしな。まぁ、迷子にならないだけマシではあるが……。
「さて、そろそろ休憩しようか」
「もうか?まだ早いんじゃないか?」
「焦ってもしょうがないよ」「まぁ、そうだな」
休憩ついでにバラクバやカーシャに教わったことを振り返って見ようと思う、この死後の世界はとっても広く何京人もの死者が来ても大丈夫なぐらい広大空間を擁している、最上層には生命の大樹がありその葉から滴り落ちる一滴の水滴が地上へと落下する。そして落ちた場所は小さな湖となりそこから更に水が湧き上がり川とり各階層を流れていく。現世で言うところの三途の川はこの川のこちである、最下層は奈落と呼ばれており光すら刺さない場所であり、人の持つ悪意などの負の感情や業が溜まっていく場所で凶悪な犯罪者や戦争犯罪者例外なくここへと空か落ちていくらしい、また奈落で発生している黒い霧状のモヤは異形の怪物を創り出したり人を取り込み黒い鬼に成るということがある。そして俺が今いる迷走回廊は死者にとってこの世界の入口であり死を受けいっる場所であるここで何年かすごした後案内人に案内され次なる階層へと旅立つのだ。ちなみにこの迷走回廊は一方通行となっており戻ることは出来ない。また、三つの基本ルールがあり一つ目はこの世界では絶対に死んではならない事、死後の世界と言うだけあって基本死ぬことは無い、最悪目玉1個でも残っていたら全身が再生されたり、バラバラの肉片になっても一つにくっつき綺麗にさいされるという、だが現世の肉体が生きていて魂だけの状態でここにいるとなると話は違ってくるこの世界での死🟰魂の消滅になるからだ、人は魂が無くなってしまったら生命エネルギーを作り出せなくなり身体も死に至るという。
基本ルール二つ目は案内人の仕事の邪魔をしてはならない、彼等の仕事は魂の案内以外に多岐にわたる、現世との間の境界の綻びの発見や修復、生命の大樹から生まれる天使や神の分身体に教育を施したり、奈落関連の警戒や奈落の鬼との闘いがあるからだ、その為案内人の仕事の妨害をするものは容赦なく戦闘に巻き込まれ魂の消滅危機に陥り人知れず消えていくことに。
基本ルール三つ目は、現世の身体が生きている者はこの世界の食べ物を飲食してはならない。これは、魂と身体の繋がりを絶つためだ。もしこれを破ってしまうと現世に戻れなくなるどころか最悪の場合消滅しかねない。
他にも細かいルールがあるが、大体こんな感じだろう。そし
てもう一つ気になっていたことがあった。「なぁカーシャ」
「ん?何かな?」
「俺の目的地は何処になるんだ?まさか、ダンテみたいに最後は悪魔サタンが出てきて倒せとか言わないよな?」
「あはは!それは流石に無いよ。ただ、私が案内できる所までしか行けないし、そもそもそこまで行けるかもわからないよ」
「そうなのか?」
「ああ、私は案内人の端くれだからね、案内人にはそれぞれ担当区域があってね、私達のような迷子の案内人や神界への案内人、奈落の番人、冥界の門番など様々だよ」
「へぇ~そうなんだな」
「まぁ、ここまで来るのも大変だったんだし、あと少し頑張ろう!」
「ああ、わかったよ」
そうして、休憩を終え再び歩き始める、すると前方の方で声が聞こえた気がした。
「ん?誰かの声がしないか?」
「えっ!本当かい!?」
「ああ、聞こえるぞ」
「一体誰なんだい?」
「さぁな、行ってみるしかないな」
「そうだね、急ごう」
声がする方へ進むとそこには、大きな扉があった。
「なぁ、この先には何が有るんだ?」
「わからないけど、恐らく次の階層に行くための扉だと思う」
「そうか……開けてみよう」
「ちょっと待って、心の準備がまだ……」
「何を言ってるんだ?行くったら行くんだよ」
「わ、分かったよ」
「よし、じゃあいくぞ」
俺はカーシャの手を取り扉を押し開く
「うぉおおおおおお!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
勢いよく開いた扉の向こうには、見たことのない景色が広がっていた。
カーシャと手を繋いで扉を開けた先は一面の花畑だった。
「な、何なんだいここは?それにさっきまでの道とは全然違うじゃないか」
「おい、カーシャあれを見ろよ」
花々の真ん中には一軒の小さな家があり、その前には一人の老人が椅子に腰掛けていた。
「お爺さんが居るようだね。話を聞いてみようか」
俺達はその家の前まで行きドアを叩きながら声を掛けることにした。
コンッココココンッ!! 中からは反応がない。
ドンッドンッ!!今度は強めに叩いてみた。
それでも、一向に出てくる気配がない。
「留守なんじゃないか?どうする?」
「仕方ない、出直すか」
踵を返し来た道を戻ろうとしたその時、後ろから声が掛かった。
「お主ら、そこにいるのは分かってるんじゃ、早く入って来なさい」
俺達が振り返ると、先程の老人が立っていた。
「いつの間に!?」
「お前は、何者だ?」
「ほっほ、わしはこの世界の案内人じゃ、名をダンテと言う」
「ダンテだと?ここは何なんだ?」
「まぁまぁ、そんなに焦らんでもちゃんと説明してやるわい。まずは、中に入ってくれ」
「いいのか?」
「大丈夫じゃ、入ってくれ」
「それなら、遠慮なく上がらせてもらうよ」
俺達は、促されるままに家の中に入った。
「ふむ、これで全員揃ったの。では、自己紹介を始めようかのう。わしの名はダンテじゃ。見ての通りこの世界の住人に見えるじゃろううが、わしは生きながら死に半人半魔の様な状態じゃがの。ここは、わしの受け持つ大地の関門じゃ。迷走回廊七大関門の一つじゃな」
「あんたが案内人なのか?見た目は普通の人間にしか見えないんだが」
「そう見えるのも無理はない。案内人は案内人同士でのみ分かる特殊な能力があるのじゃ。それがこれじゃ」
そう言うとダンテの目から赤い光が放たれた。
「これが、案内人のみが使える千里眼と言うものじゃ。お主らの事も既に把握しておるぞ」
ダンテは得意げに微笑むと、それまで普通の民家に見えていたものが急に歪み石造りの巨大な関門が姿を表してきた。
「な、なんだと!?」
「こ、これは!?」
「驚いているところ悪いが、ここがこの場所の入口でもあるのでな、わしが許可しなければ入ることも出来ぬのだよ」
「なるほど、それでさっきからいくらノックしても出てこないわけだ」
「そういうことじゃな。ところでお主らは何故ここにきたのかね?」
「俺達?俺とカーシャのことか?」
「そうじゃ、ここには死者しか入れんはずなのじゃが?」
「俺は気が付いたら此処に居たんだ、最初はバラクバに案内をしてもらっていたのだが」
「そうなのか?」
「ああ、だが途中で奈落の鬼に遭遇し、バラクバは鬼と戦い消滅したんだ」
「そうか……それはすまない事をしたな」
「いや、気にしないでくれ、もう済んだことだ」
「そう言っていただけると助かるよ」
「それよりも、俺達を案内してくれないか?現世に帰りたいんだ」
「それは、私からもお願いします」
「そうか……分かった。では、ついてきてくれ」
そうして、俺達はダンテの後に続き関門の中へと足を踏み入れた。
俺達が中に入ると、そこは広大な草原だった。
「此処が出口になるのか?」
「ああ、まだじゃ」
「随分と広いんだな」
「そうじゃな、この世界での時間は外の世界の時間とは切り離されているからの」
「どういう事だ?」
「この世界は時間の進み方が外の世界とは違うという事だよ」
「成る程な、だからこんなにも広いのか」
「そうじゃ、それにここでは、あらゆる場所に移動する事が出来るんじゃよ」
「へぇ~、凄いな」
「じゃあ早速移動しようかのう」
「何処に行くつもりだ?」
「とりあえず、お主らが目指していた場所に行こうと思うのじゃが?」
「出口の所まで行けるのか?」
「いや、残念ながらそこまではまだ行けないのじゃよ」
「じゃあ、どこに行くんだよ」
「まぁまぁ、落ち着くのじゃ。まずは、お主らを案内しなければいけないのじゃ」
「わかった。頼むよ」
「任せるのじゃ」
ダンテは歩き出すと暫く行った所で立ち止まった。
「この辺りで良いじゃろ。さて、これからどうするかじゃが……」
「何かあるのか?」
「実は、この先にあるのが次の関門じゃ」
「次の関門?」
「そうじゃ、この先には次の七大関門最後の関門である煉獄の門が有るのじゃが、そこを守護する者がおるのじゃ」
「何者なんだ?」
「不死の王リッチじゃ」
「不死の王様だって!?そんな奴を相手にしたら死んでしまうじゃないか!」
「大丈夫じゃ、お主らには戦う必要などないのじゃから」
「どういう意味だ?まさか、そいつに会えって言うんじゃないだろうな?」
「その通りじゃ」
「ふざけるな!そんな所に誰が行くもんか!!」
「まぁまぁ、話だけでも聞いてくれ、不死王と呼ばれていても普通の人間じゃがの」
「普通の人間だと?」
「そうじゃ、お主らと変わらぬ人間じゃよ」
「何で、普通の人間が不死の王様なんて呼ばれてるんだ?」
「不死王は不死に関する知識や呪法をたしなむからじゃがな」
「知識や呪法?つまり魔法みたいなものを使うということか?」
「それはともかく、進むとしようかのぉ」
ダンテは俺達の話を聞かずに進み始めた。
仕方なく俺達はついていく事にした。
それから少し歩くと大きな湖が見えてきた。
「あの湖の真ん中に城が見えるじゃろう。あれが不死王の住処じゃよ」
確かに城の様に見える建物が建っている。
しかし、城の手前には橋のようなものは見当たらない。
「おい、どうやって渡るんだ?」
「心配せんでも大丈夫じゃ。ほれ、あそこにボートがあるじゃろう」
見ると、湖の上に木製のオール付きの小舟があった。
「本当に大丈夫なのか?落ちたりしないだろうな」
「安心せい、わしも乗ったことがあるからな」
「お前も来た事があるのか?」
「そうじゃ、何度も来ているぞ」
「何でだ?」
「この関門に来るものは皆通る道なのじゃよ」
「どういうことだ?」
「それは後で教えよう」
「ならいいけどよ」
俺達が船に乗り込むとダンテが呪文を唱え、船が動き出した。
「これで向こう岸まで渡れるはずじゃよ」
「便利なものだな」
「そうじゃな、では行こうかの」
俺達は不死王が待つ城へと向かった。
「着いたな」
「ああ、さっさと行こうぜ」
「待て、焦っても仕方がないじゃろ」
「何故だ?さっさと終わらせたいんだ」
「まぁ、そう言わずもう少しゆっくりするのじゃ」
「何故だ?」
「不死王に会えば分かるじゃろ」
「それもそうだな」
俺は納得して腰を下ろした。
「そう言えば、ダンテは何でこんな所にいるんだ?」
「わしか、わしはこの世界に生まれ変わったのじゃが、人ではなく悪魔として」
「そうなんだ。じゃあ、俺達が現世に帰る方法を知っているのか?」
「知っていれば、案内人なぞやっておらんわい」
「そりゃそうだよな」
「それにしても、お主ら随分と落ち着いているのう」
「そうかな?」
「普通はもっと驚くと思うのだがのう」
「まぁ、色々あったからな」
「ふむ、そういうことか」
「なんだよ?」
「いやいや、気にするでない」
「そう言われると気になるんだけど」
「まぁ、そのうち話す時が来るじゃろ」
「そんなもんかね」
「そんなもんじゃよ」
「そういえば、ダンテはいくつなんだ?」
「そうじゃのぅ……もう500年くらい生きておるかの」
「そんなに生きているのか!?」
「ああ、そうじゃ。だからお主らの事も子供のように思えるのかもしれんのう」
「成る程ね」
「さて、そろそろ行くとするかのう」
「わかった」
俺達は立ち上がり不死王がいるであろう城の中へと足を踏み入れた。
中に入るとそこには、
豪華な調度品の数々が並んでおり、奥の方には玉座が見えた。
そしてその前には一人の男が立っていた。
男はこちらに気が付き近づいてきた。
「これは珍しい客人がやって来たようだ」
「久しぶりじゃの不死の王よ」
「おお、誰かと思ったらダンテか、相変わらず小さいな」
「余計なお世話じゃ!」
「それで、今日はどうしたのだ?」
「この者達を次の階層にへ連れていくのじゃよ」
「この者共をか?」
「そうじゃ、お主にも協力してもらうからのう」
「まぁ、良いだろう」
「ありがとうなのじゃ」
「では、ついてくるが良い」
不死王は歩き出すと扉を開いた。
「ほれ、早く来るのじゃ」
「分かったよ」
俺達3人は不死王の後に続いて歩き出した。
そして扉を越えようとしたところで
「ここで、お別れね。次の案内人があなたを待ってるわ!」
と言う声と共に、目の前が真っ暗になった。
目を開けるとそこは白い部屋だった。

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