異世界転移した先の世界では、唯一精霊魔法を使える魔法使いでした

二段階右折

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第一話

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 私は重度のオタクだった。毎日学校が終わったらすぐ家に帰りアニメラノベ漬けの生活。部活にも入らず、自分の趣味に没頭していた。
 最近のマイトレンドは異世界もの。ファンタジーの世界で魔法を使ったり、美少女とむふふしたり、かわいいおにゃのこと旅をしたり……。そんなことをしたいと毎日夢見ていた。実際に夢も見ていた。朝起きて夢の中にいた女の子を失って悲しむ日常。それが私の日常だったのに……。

「神様、どうか私を異世界に連れて行ってください。そして美少女と毎日一緒に屋根の下を暮らす毎日を私に恵んでください」

 私は神社にお賽銭を一万円を入れてそう願った。そうすると、何か声が聞こえた。

「分かった。それじゃあ、異世界に連れて行こう」

 そうエコーがかかった声が聞こえるとともに、私は渦巻き状の風に包まれた。そして目の前が段々と青白く光り始めた。私はそのまま身を委ねた。
 少しずつ視界が晴れ始めた。すると目の前に綺麗な女性がいた。その人は綺麗な衣に包まれており、穏やかな目をしていた。いわゆる、女神様のような。私はその女神様の姿に暫く見惚れていた。顔を埋めたくなるようなボインなお胸……。

「何か今、失礼なこと考えてませんでしたか?」

 女神様らしき人が声を出した。

「そ、そそそ、そんなことないですよ~」
「それならいいんですが」

 そういい女神様は後ろを向いた。そして、女神様は意味深そうな声で言った。
 
「私は美少女たちが異世界でムフフしてるのが好きなんです」
「え?」
「つまり、あなたと私の利害は一致してるんです。私があなたを異世界に連れて行って、美少女たちと出会わせれば一緒に同じ屋根の下で毎日楽しんでいる様子を天から見ることが……えへへ、ぐへ」

 女神様はよだれを垂らしながらそう言った。垂らすな。よだれを。まあ、美味しそうだからいいか、あのよだれ。

「それって、女神様の恣意なんじゃ」
「違う!」

 女神様は食い気味にそう否定した。

「本当ですか?」
「違う!!!」
「はぁ……」

 私は女神様の圧に負けた。というか、私よりも女神様の方が重症なんじゃ。とはいえ、私も異世界に行けるのは嬉しいし、美少女と同じ屋根の下を暮らせるのは嬉しいし、ま、いいか!

「分かりました、異世界に連れて行ってください」
「それじゃあ、あなたには特典をあげましょう。テンプレ的に」

 言っちゃったよ。テンプレって。
 とは言っても、特典か。何にしようか。私の夢は美少女と一緒にむふふすること。それを達成するためには。

「美少女とフラグが立ちまくる特典をください」

私はそう女神様にお願いをした。

「分かりました。それでは、異世界へ送りますね。<転移魔法>!」

 女神様が魔法を唱えると、私はまた光に包まれた。
 異世界に本当に行けるのかな。期待感と不安感に包まれながら、その身を光に委ねた。



「ここは……」

 目が覚めると、そこは緑に包まれた深い森だった。そして、私の周りには大きな魔物が……。え、魔物?

「うわーーー!助けてー!」

 私は叫びながら走り逃げ回った。その時、声が聞こえた。

「魔法を使って!」
「ま、魔法!?ど、どうやって」
「いいから早く!」

 私はそう急かされ、魔法を使おうとした。え、魔法ってどうやって。火、とか?私は追いかけてきている魔物に向かって手を伸ばし、火が飛び出るようにイメージした。
 すると、私の手のひらから青い炎が燃え盛った。そして、数十体はいた魔物を全て飲み込んだ。そして、全てが黒焦げになってしまった。
 え、なんで魔法が使えるの?どうやって?

「説明しよう!今あなたと話している私は炎の精霊、フレア。私があなたに魔素を流して炎魔法を使えるようにしたのです」

 私の目の前に手のひらに乗るほどの可愛い赤髪の精霊が現れた。てか、炎の精霊ってことは、私が炎魔法以外を使おうとしてたら、もしかして。

「私が炎魔法を使おうとしてなかったらどうなってたんですか?」
「ん?死んでたよ」

 私は目を丸くした。

「まあ良かったじゃん、生きてるんだし」

 そういう問題じゃないんだけどな。とりあえず、もっとこの世界のことを聞かなきゃ。

「とりあえず、私この世界にきたばっかりなんだけど色々教えてくれない?」
「あー、そっか。そういうことね。私の言葉が分かるのは」

 フレアは勝手に納得したかのようにそう言った。というか、精霊語でもあるのか?

「私が話しているのは日本語。これが分かるってことは、あなたは日本人ってことね」
「え、もしかしてここって日本?」
「いや、異世界だよ。順を追って説明するね」

 そういうと、フレアは私の手のひらに乗った。ちょこんと乗って可愛いな。ロリ精霊可愛いな。

「私は500年前に異世界人、日本人に召喚された精霊。私と一緒に他に五人の精霊が一緒に召喚された。そして、私はその日本人と一緒に旅をするようになった」
「もういい、飽きた。私がフレアと話せる理由は分かったからもういい」

 フレアは肩を落とし、涙を流した。頑張って説明しようとしたのに……。私は気になることをフレアに質問しようとした。

「この世界ってどんな世界なの?」
「えー、自分で考えてー」

 フレアは不貞腐れながらそう答えた。さっき私が話を途中で止めたのが良くなかったか。

「そ、そういえば、さっきの話の続きが気になるナー」
「本当!?」

 フレアは声を高くしながら私を見上げた。そして、満更でも無い様子で説明を始めた。さっき、500年前がうんちゃらかんちゃらって言ってたし長くなりそうだな。

「私のご主人が死んだ時、」
「いきなり死んだ!?」
「私のご主人様は私たちに意志を託していったの。美少女が困っていたら助けなさい。そうすれば、むふふな人生が待っていると」

 むふふてゆうな。
 てか、ご主人様の意思、動機が不純すぎるでしょ。そんなんでよくこんなに可愛い精霊達に逃げられなかったな。

「だから私はあなたを助けたの。ご主人様の意思を貫くために」

 かっこよく言ってるけど全ての根源が黒い。ただただ黒いよ。

「私はご主人様の意志を守りたい。死んだご主人様の為にも、だから。あなたについて行ってもいいですか?あなたは私が今までで見た中でも一番の美少女だから!」

 そんなご主人様の意思なんて守らなくてもいいよなんて言えない雰囲気だなこりゃ。
 てか、私が美少女?この私が?そう思い私は自分の姿を見ようとするが、一人称なので自分の身体しか見えない。っていうか、あれ、胸が。
ぽいん。
 胸がある!なんで!さっきまで私ぺったんこだったのになんで!もしかして異世界転移して容姿が変わったの?

「私、そんなに綺麗……?」

 そう私が聞くと、精霊は深く頷いた。ほんとかなー。自分の立ち姿を見たいが、こう、鏡でもないものか。

「あー、光の精霊とかが現れて、上手く屈折を使って鏡みたいなの作ってくれないかなー」
「呼びましたか?」

 私の目の前にもう一人精霊が現れた。まじか。

「私は光の精霊、ピカリです」
「ブフッ」

 私は吹き出してしまった。ピカリ?ピカリって何それ笑笑。

「ご自身の姿が見たいのですか?でしたら」

 そういいピカリは小声で何かを呟くと、私の目の前に縦長い鏡ができた。横から見ると、何もないのにそこには鏡があった。すご。

 「てか、私めっちゃ美人やん」

 驚きすぎて関西弁が出てしまった。
 というか、モデルでもこんなに綺麗な人見たことないぞ。綺麗な肩までの長さの白髪に、長いまつ毛。そして、綺麗な赤い瞳に加え、ぼいんなお胸。Gはありそう。そして毛穴も見えないすべすべな純白の肌。最高かよ。異世界。

「てか、六人しかいない精霊がここに二人いるってなんか凄いね」
「いや、ここ精霊の森だから普通だよ」

 そうフレアは否定した。精霊の森か。魔素の濃度高そー。

「普通ならここに人間が入ったら爆発してしまうんですよ。魔素が身体に容量の限界まで流れてしまって」

 そうピカリは言った。爆発って怖。何それ。ともかく私は爆発しないで良かった。というか、ここが精霊の森ってことは他の四人もいるのかな?

「いや、今は他の子たちは外出中。一人は別の理由でいないけど」

 フレアは言った。
 そっか二人だけなんだ。まあいいっか。こんなに可愛い子が二人もいるんだし。これももしかして私が女神様にお願いした報酬ってやつ!?異世界最高じゃん!

「そういえば、私が魔法をさっき使えたのはフレアのお陰だったけど、自力で出したりはできないの?」
「うーん、ちょっと待ってね」

 そうフレアは言うと、私の手のひらの上で座り、小声で何かを言い始めた。

「<魔法継承-炎->!」

 すると、フレアの手のひらから私の手のひらへと炎が流れた。そしてそれは私の右人差し指に入っていった。そこには、小さな紋様ができていた。

「これで使えると思うよ」

 私はその人差し指から魔法を念じてみた。すると、小さな炎が人差し指に揺らいだ。

「そしたら私も、<魔法継承-光->!」

 すると、私の右中指に新たな紋様ができた。私がまた念じると、中指が少し光った。

「おお、魔法が二つも!」
「しかも、私たち精霊の力だから、詠唱もいらないんだよ」

 フレアはそう言った。

「けど、そしたらなんでフレアとピカリは詠唱みたいなのを」
「「かっこいいから」」

 二人はそう口を揃えて言った。かっこいいからって理由単純すぎない?
 とりあえず、これで私は二属性の魔法が使えるようになったわけか。何か魔法を使ってみるか。
 そして、私は右手を前に突き出し、出来るだけ強い炎魔法を念じた。すると、目の前に大きな火柱が立った。その大きさは軽くビルを凌駕するほどのものだった。

「え、強すぎない?」
「私たちの力だからね」

 そうフレアは答えた。
 どうやら、精霊というのはかなり多くの魔素を持っているため強い魔法が使えるらしい。精霊でない私が高威力の魔法を使えるのは、精霊とさっきの紋章を通じて大量の魔素を使えるかららしい。なるほど、むずい。

「光の魔法って何が出来るの?あまりイメージが湧かないっていうか」

 そう私が聞くと、ピカリは答えた。

「光魔法は、名前の通り光を操ることができますねー。例えば、屈折を上手く使って透明化したりですかねー。あとは、回復魔法なんかも使えちゃいます」

 回復魔法が使えるのか。それは凄くありがたいな。

「回復魔法は死者蘇生とかは無理ですけど、切断された手足をもう一回くっつけるとかならできますよ~」

 やば、精霊の回復魔法やば。普通の回復魔法だったらどのくらいの治癒力なんだろうか。

「普通の回復魔法ってどのくらい回復できるんですか?」
「そうですねー、強いのだと骨折を治せるとかでしょうかねー」

 それでも凄いな。流石魔法といったところか。

「ありがとう、色々教えてくれて」
「いえいえ~」

 ピカリはそういうと私の周りを周り始めた。可愛い。
 フレアは私の手のひらの上でずっと私を見上げている。可愛い。

「そしたら、寝床とか確保したいんだけどどうすればいい?」
「したら、ギルドに行って冒険者登録したらいいよ。冒険者に無償で宿貸し出してくれるから」
「そっか、ありがとう」

 私は冒険者ギルドに行って冒険者になることを決意した。とはいっても、冒険者が具体的にどういう仕事なのかは分からないが。

「道案内してくれない?フレア、ピカリ」

 そう私がいうと、二人は頷き、私の前を二人が先導するように飛び始めた。

「そういえば、私たちの姿は普通の人間には見えないよ」

 フレアが言った。ということは、私は普通の人間じゃないの?

「だから、周りが人がいるときに私たちに話しかけないでね。怪しまれるから」
「確かにそうだね。気をつける」

 そう返事をし、私たちはずんずんと歩いて行き、数分で森を抜け、ギルドに着いた。
 ギルドは小さなアパートほどの大きさだった。一階が冒険者の仕事の受託する場所で、二階以上はおそらく寝泊まりする場所だろう。

「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへ」
「こんにちは」

 中に入ると、早速事務員らしき人に挨拶された。そして、その人は言葉を続けた。

「本日のご用件はなんでしょうか?」
「あ、冒険者になりたいんですけど」

 私がそう答えると、事務員のお姉さんは机のしたから大きな石を取り出した。そしてそれを机の上に乗せると、説明を始めた。

「それでしたら、まず最初にこの石板を使って冒険者のランクを決めます。もし低かった場合には、冒険者になれない場合もありますので。それでは、この石板にタッチしてください」

 私は指示通り石板にタッチした。すると、何かの文字が石板に浮かび上がった。

「はい、ありがとうございます。ランクはEランクですか。冒険者になれますね」

 良かった。冒険者にはなれるらしい。私の能力値とかが気になるがどうなのだろうか。

「能力は、身体能力は平均より少し上。特に特出したところはないですね。ただ、<美少女天国>というアビリティーは気になりますが。ご自身のオリジナルだったり?」

 名前やばすぎでしょ。女神様ちゃんとした名前つけてくれ。

「そ、そうです。オリジナルです」
「そうなんですか。分かりました。それでは、こちらは冒険者カードですね。今後ランクCになったらまたお伝えください。職業を決めることが出来るようになりますので」
「分かりました」
「冒険者の説明は必要ですか?もし親族にいたら既に色々聞いてると思いますが」
「あ、必要です」

 私はそう答えた。冒険者の説明。まさに異世界ファンタジーの冒頭のテンプレ!

「それでは説明させていただきます。まず、冒険者は依頼を受けてその報酬で食い繋いでいく職業です。ランクはFからAそしてSランクまであります。ランクが高い依頼ほど報酬も高くなります。依頼は一つ上のランクのものまで受けることができ、それが3回成功したらランクアップとなります。そして、このギルドでは冒険者の方々に無償で宿を貸し出しています。ぜひ使ってくださいね」

 事務員はそう説明すると、一息ついた。

「説明ありがとうございました。今すぐ依頼を受けちゃいたいんですが、もうできますか?」
「はい、できますよ。それでしたら、あちらのボードに貼ってある依頼一覧をご覧ください」

 私は事務員が指差す方へと歩み出した。ボードには様々な種類の依頼があった。
 火炎竜の討伐、これは無理だな絶対。Aランクだもん。Eランクの依頼はっと。あった。スライム十匹の討伐か。簡単そうで良さそう。

「すみません、あのスライム討伐の依頼を受けたいのですが」
「分かりました。そうしたら、2日以内にご依頼の達成をお願いします。魔物は倒すと魔石が出てくるので、それを集めて帰ってきてください。それを倒した証拠として扱いますので」
「ありがとうございます」

 私はそういい、ギルドを出た。スライムが出る場所はどこだろうか。困った時は二人に聞くか。

「ねえ、スライムってどこら辺に生息してる?」
「この辺だと左手に見える草原じゃない?てか、周りに人がいるときは話しかけないでって言ったでしょ」

 フレアはそう答えた。私はすでに見える草原の方へと歩き始めた。すると、遠くから何か叫び声が聞こえた。

「誰かが助けを求めてる!」

 フレアはそういった。ピカリはそれに頷いた。私は声が聞こえた方に急いで走り始めた。
 小さな森の中へ入って行くと、叫び声が段々と近くなってきた。私は無我夢中で走り続けた。
 すると、目の前に大蛇がいた。そいつは白くて、いかにも強そうだった。そして、そいつの目の前には冒険者パーティーらしき人たちがいた。すでに戦っていたのか、身体はボロボロだった。

「君、危ないから逃げろ!」

 そう、冒険者の一人が言った。しかし、その人はすでに目の光を失いかけていた。私が助けなきゃ。
 私は大蛇の目の前に立った。冒険者たちが何かを言っているが、私の耳には入ってこなかった。
 私は大蛇に右手を突き出した。そして、

「<燃えろー!>」

 と、唱えた。すると、私の手からは青い炎がずもももと燃え盛り、大蛇を包んだ。大蛇は燃え、狼狽えた。そして暫く経つと、大蛇は動かなくなった。

「あ、ありがとう。お陰で助かったよ」

 そう冒険者パーティーの一人がお礼を言った。というかこのパーティー全員女性なのか。しかも美少女揃いときた。これも<美少女天国>のお陰なのかも。

「いえいえ、とんでもないです。ちょっと回復魔法をかけますね」
「ほ、本当か!?ありがとう、助けてもらったのに加えてそこまでも」

 私は全員に回復魔法をかけた。すると、身体の傷は全てなくなった。

「凄い治癒力だな。さっきの炎魔法といい回復魔法も使えるなんて君は何者なんだ」

 そう冒険者パーティーの一人が言った。

「ただのEランクの冒険者ですよ」

 決まったー。かっこよすぎでしょ私。

「Eランクとは思えない。是非私のパーティーに入ってくれないか?ここにはヒーラーがいなくて丁度困っていたところなんだ」
「本当ですか!?こんな美少じ……かっこいいパーティーに入れてもらえるなら大歓迎です!」
「それなら良かった。これからよろしくな。えっと、ウチの名前はセラ。剣士をやっている。そして、こっちの子はアナ。魔法使いだ。そしてこのこはソラ。索敵が得意だ」

 セラは剣士というだけあって筋肉がかなりついていた。髪はショートヘアで、黒髪。目がキリッとしていてボーイッシュな印象を与える。
 アナはロングヘアでウェーブをしている茶髪。ちょっと背が低くて可愛い感じだ。
 そしてソラはツインテールで、髪は青色。ジト目って感じだ。三人ともとても可愛い女の子たちだ。神様ありがとう。

「私はサヤ、炎魔法と光魔法が使える。よろしく」

 私はそういうと、セラは手を差し出し、握手をした。そして残りの二人とも握手をした。

「これからよろしくね」
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