幼馴染の御曹司と許嫁だった話

金曜日

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この先プラトニックにつき【挨拶編】

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俺は爽の肩に頭を乗せて、小さく欠伸をした。それを、目を細めながら爽が見る。



「………無防備な顔…」
「ふぁ…ごめ、眠くて……」
「俺時々自分に感心するわ…」
「…え?」
「こんな天使みたいな美少年と付き合ってて、しかもこーんな無防備に隣で眠そうにしててさ……なのに、襲わないでいるこの精神力……マジで俺すっげぇ……」
「ねぇそれ…自分で言っちゃうの?」
「……褒めてくんねーの?」


そう言って、頭を突き出してきた爽に笑ってしまう。俺は笑いながら爽の髪を優しく撫でて、つむじにキスをする。いつもと、逆。


「ふふっ…も~甘えんぼはどっちだよぉ」
「俺お前にしか甘えらんねーもん」
「大人のくせに~」
「大人は甘えちゃダメなんですかー」
「フフッ…!いいえ、いいですよぉ?もっと甘えてください」


甘えんぼ王子様の顔を両手で包み込んで笑うと、爽は驚いた顔で俺を見た。


「………うわ……なんか……今、未来が見えた」
「はい?」
「10年後…すーげぇ色っぽくなったセクシーなあきが……俺をめちゃくちゃ甘やかしてるとこが…見えた……」
「ハァ?」
「こう…フリフリのエプロンして、俺におかえりなさいダーリン!とかいいながら笑うんだよ…で、仕事で疲れた俺の頭を撫でる……完璧な良妻だ…!」
「…おまわりさーんっ!!この人妄想が行き過ぎて怖いでーす!!!」


俺が呆れた顔をしても、爽は気にせずニヤニヤしている。

13年の片想い期間のせいなのか、それとも元々の性質なのか……俺の彼氏はこの爽やかな見た目に反してやっぱり相当ムッツリスケベだ。


「………」
「……?なに?」


爽は急にグッと俺との距離を詰めて、鼻先が当たる位置で俺の瞳を見つめる。キスされるのかな…と、身構えたけど…そうじゃないみたい。なんだろ……?


「今日……旭見た時にも思ったんだけど、あきと旭って……目の色…薄いよな?グレー?」
「えっ!よく気付いたね…!」
「いや…実は……お前とキスするようになってからずっと思っててさ…それまではこんな近距離であきの顔見れる機会なんてなかったから……」
「ああ…なるほど…相当近づかなきゃわかんないもんね?」


これを人に言い当てられたのは生まれて初めてだ。そりゃそうか……俺は、爽がファーストキスの相手。こんな近距離で見つめ合ったのなんて、爽だけなんだもん。


「これ、隔世遺伝なの」
「隔世遺伝…?」
「うん、うち…母方のご先祖様に外国の人がいたらしくて…お母さんも母方の祖父母も普通なんだけど、なんでか俺と旭にだけ遺伝したんだよね…所謂、先祖返りってやつ?」
「へぇ……全然知らなかった……すげぇな……」
「すごいかな?」
「うん……めちゃくちゃ綺麗…」


突然瞼の上にキスを落とされて、驚いた。こんなとこまで、キスされちゃうんだ…。


「……神様って、どんだけあきにかわいさ詰め込んだら気が済むんだろ」
「……え」
「顔も、身体も、髪も、この泣きぼくろも、瞳の色も………全部あきの武器じゃん?おまけに性格までかわいいし……ほんと、みーんなに愛されるために生まれてきたんだなって……」
「………」
「……あき?」
「……も~!!!…よっ、よくそんな……恥ずかしいことを…!!」
「恥ずかしくねぇよ…マジで思ってるし」


俺は目をギュッと瞑って、恥ずかしさをなんとか受け流す。このお砂糖王子様の攻撃に付き合っていたら、こっちの身が持たない。

俺はこれから一生、こうやってこの人によって甘々にかわいがられ続けるんだろうか…?

俺は俺が、マジで心配。

羞恥で顔を真っ赤に染めながら、背中からソファにボスっと沈む。
心臓に……悪すぎ………


爽はガラステーブルの上に置かれた卓上のカレンダーをぼんやりと眺めながら、俺の手を握る。


「マジで………あと、1週間なんだなぁ……」
「……北海道?」
「……うん、スッゲェ楽しみ……あきと旅行なんて初めてだし」
「そういえば……小さい頃から爽の家族とうちの家族で何度か旅行行った事あったけど…爽は一度も参加したことなかったもんね?」
「…あー…まぁな……どう考えても当時の俺には無理だろ……あきと泊まりなんて……」
「……え?」


爽は片手で顔を覆って、チラッと俺を見る。


「好きな人と泊まりの旅行なんて、思春期のガキにとっちゃ拷問だと思わねぇ?死んでも手出せねぇんだぞ?」
「………あ、……そういう…こと?」
「ん……やっと9歳差が許される年齢になってくれて……よかった」
「………爽って……紳士だよねぇ……」
「大人として当然の配慮です」
「モラルの鬼…」
「俺なんて大したことねーよ……こないだ本物のモラルの鬼にブチギレられたろ?」
「あははっ!…要?」
「うん……ほんと…よく出来た再従兄弟だよアイツは…」


確かに……要ってあーんな派手なビジュアルなのにめちゃくちゃしっかりしてるもんなぁ。俺とは2つしか年齢も変わらないのに、精神的には爽や恭ちゃんより上な気がする。
改めて考えても、あんな素敵な人と親友なんて…俺ってマジでラッキーだと思う。優しくて、綺麗で、才能があって、おまけにモラルの鬼。ちょっと辛口な所すらスパイスに感じる、完全無欠のデンジャラスビューティーだ。もし本当に恭ちゃんが要を手に入れたら……俺、ちょっと嫉妬しちゃうかも。…なんてね?親友の幸せが、俺の幸せ。ちゃーんと祝福するよ?



「さて……俺そろそろお風呂入ろっかな~」
「風呂場で寝んなよ?」
「寝ないよ!子供じゃ無いんだから!」
「ふふっ……なぁ、あき?」
「ん?」


急に真面目な顔になった爽に驚く。

真面目だけど、甘ったるい…優しい顔。俺にしか見せない、"恋人"の顔。


「明日、バイト以外なんもないよな?」
「うん…ないけど、なんかあった?」
「話しておきたいことがあるから、バイトの後は予定入れないでくれるか?」
「……?うん、わかった…」


俺の頭をポンポンと撫でると、爽は自室に向かって歩いて行った。








この時の俺は、



まさかこの翌日にあんな恥ずかしい思いをすることになるなんて………







想像もしていなかった…
















…To be continued.
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