弟が優秀すぎるから王国が滅ぶ

今井米

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2nd

第4話 尊敬と敬遠は両立できる 

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姉上は興味なかったから勉強を辞めた。騎士道に走った。それが許されない齢と生まれ・・・・・・・・・・・でそれをしてしまった。だから兄上ワーンに馬鹿にされている。そんな奴が政治を語るのか、と。



姉上はそれに憤慨している。私もだ。勉強できなくったって政治にあれこれ言う権利はある。文句だって要望だって言っていい筈だ。その愚かな民のためにあるのが政治なのだ。そんな責務を負った政治が、民を無視するなんてありえない。

例えその民が勉強できなかったとしても、だ。


勉強できるからって馬鹿にすんなよ。確かに私はギリギリだったけど!?教師に呆れ顔で合格貰ったけどもそんな私だって政に文句言っていい筈よ!兄上も禿げろ!もげろ!アイツも勉強できる側だから大っ嫌い!できない側の気持ちを考えやがれよこんちくしょう!!



王族なんて大っ嫌いだ!あいつら基本的にスペック高いから凡人以下の人間を理解しないんだ!私みたいに恵まれた環境が無かったら詰んでた人間を分かろうとしないんだ!!



・・・待て、落ち着け私。これでキレて暴れたら実兄スリーと同じだ。アイツと一緒になるのだけは嫌だ。よし、落ち着いたな、私。クールだ。クールにいけ。

キリっとした顔で姉上の顔を見て私は口を開く。目指せキャリアウーマン。

「それで?ファイーブは未だ王治論や帝王学、経済学などを履修していませんよ?王位の正当性を主張するならあと四年ほど待ちませんと受け入れられないと思いますが。。。」


国王というのは王族だったら誰でもなれるというわけではない。そこまでイージーな職ではなく、王霊議会で議席を所有する貴族の5分の3以上の支持、かつ王国学園で必要科目を履修して、その単位を取る必要がある。


そして政干渉権限というものが5より高位の権限を得る必要がある。因みに数字が小さいほど上ね。で、今のファイーブは9。先は長い。


最速でもファイーブが卒業するまでの四年間、これまではずっとドロドロの政争が待っているということ。

地獄か何かですか?

実兄スリー曰く、組織政争は優秀な人材を生み出すため蟲毒の儀式だって言うけれど、巻き込まれる側はやってられないよ。でも理屈は分かる。優秀な人材が生まれない国は世界規模の経済戦争で負けてしまうんだ。

そう、理屈は痛い程分かる。ただ納得できないだけ。

全く世界はカスなのかな?責任者を呼んで作り直させろ。だから女神とか好きじゃないのよ。

ああ、そうそう。姉上には言わなきゃいけないことがまだあった。

「それにファイーブは座学の成績も芳しくはありませんし。いや、算学などは良いのですが音楽や美術、詩など言ったものでは手を抜いたのが明らかに分かるような成績で…」

自分でこれは使わないからいらないって判断したんだろうな。羨ましいなこんちくしょう。私なんて・・・・いやよそう。虚しくなる。

でも姉上はそう思わなかったよう。

「勉学などどうでもいい!いらないであろうあんなもの!お前は日常業務で経済学を使うか?帝王学や王治論を使うか!美術は!音楽は!詩を詠んだりすることがあるだろうか!」

「使いませんねー。」

「そう!使わないだろう!!」

(フォー様の成績だと歌うだけで悲惨な状況になりますしね‥おっと失礼お口が勝手に戯言を。)

後でシェードの耳元で子守唄歌ってやる。教師が絶叫したやつな。

(ごめんなさい。)

(暗文つかってまで嫌味を言ってくる奴に私は容赦しないっておじい様に誓っていましてよ。)

もちろん今作った誓いだ。

(本当にごめんな

「王に必要なのは学歴でなく素質だ!」

シェードが言い終わる前に、姉上が大声で結論を叫びぶった切る。

「素質ですかー。」



それもそれでカスですね。素質才能ですべて決まるとかある意味残酷。才能無い子は野垂れ死ねということだ。うん、サイッコーに嫌な世界。私なんか簡単に死んでしまうわ。

なにせオールBマイナス(芸術除く)をコネでAにまで上げて貰っている王族の恥が何を隠そう、この私なのだから。

が、そんな理由で姉上にケチをつけるほど私は子供じゃない。

「家柄ではなく、実力・素質だけで評価する。良い社会ですわね。」

「そうだろう!私はそれを騎士団で実感した!必要なのは机上の空論などではない!心だ!」


「さようですかー。」



姉上は兄上に蔑まれながらも騎士隊長にまで上り詰めたからか、勉強不要論を唱えている。勉強しなくても、大切な芯があれば、国民を守ることはできるってね。私も勉強は嫌いだからつい賛同したくなるのだけどねぇ。でも代わりに中身を見るなんて言われたら一発で退場なのよ。


自慢じゃないが私は自分の性格が上等なものじゃないという自信はもある。

(本当に自慢じゃないですね。)

(言っとくけどスリーよりはマシよ。)

(あれは人にカウントしません。)

あいつ暗部にすら嫌われるとかよっぽどだな。

まぁ、逸れた話を元に戻すとして。万人に公平な社会なんて実現不可能なのだ。だって互いに差を付けて評価する社会なのだから、その中で公平平等なんて論理的に矛盾している。

でもそこで考えるのやめてしまったらそれこそ社会は腐敗するのだ。


私達は理想社会という幻想をゴールに、不可能と知りつつもに絶えず歩み続ける必要がある。足を止めれば、満足してしまえばそこから爛れた堕落が待っている。

自分が切り捨てた者達の恨みに戦々恐々と怯えながらも、無限に走り続ける。それが政治屋というもの。

だから姉上の言うように、今までとは違う価値観を持って人を評価しよっていう試みも悪くはないのだろう。

・・・・私はその革新による尊い犠牲になってしまうが。


「それなのにあの俗物は王位に執着してなんとも見苦しいことか!」



「ああ、ワーン兄上の事ですね。」

「そうだ!忌々しい法がなければ我が雄々しく燃える剣の錆にしてやったものの。」

「姉上の剣は物理的に燃えてますからね。殺気が高すぎる。」

「当たり前だ、悪だぞ?そもそもアイツは昔から・・・・」


一見兄上ワーンなんか怖くない!ていう態度の姉上だけど兄上の言葉は想像以上に深いコンプレックスを残した。自分は勉強していない、学無しだと嘲笑されてコンニャロウと烈火の如く立腹する気持ちもあるけれど、同時に恥じ入る羞恥心の源にもなっている。

どうせどこかの貴族騎士に『学無し』とでも散々馬鹿にされたんだろう。


姉上に実力で及ばないから陰口や皮肉を言ったていう所だろうだけど、それは姉上にとっては「恥」だと自覚させるには十分だったのだ。



そんなこと気にするなら勉強し直せばいいのに、と思うが兄上に従うようで癪なのだ。プライドが邪魔して絶対に勉強しない。愚かすぎる。でも気持ちは分かる。



私もスリーに勉強したら?とか言われた時はぶん殴りたくなったもの。こっちは十分勉強してあの点数なんじゃい!!!勉強してないからみたいに言ってんじゃねえよ!!



「全くあの悪が。尻尾さえ見せればすぐさま裁きを下してやるというのに。」

「裁きって?」

「安心しろ、王族らしく服毒だ。家族としてそれぐらいの情けはある。」

ふくどく。。。。家族にそんなこと言われたら私ならショックで寝込んじゃうよ。


姉上は悪への執着が相変わらずよね。

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