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第6話 私には兄がいる
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姉上が私の部屋を去ってひと段落と思ったら、外で凄い殺気の応酬が繰り広げられている。やめてくれない?そこ私の部屋の前ですよ?そういうバトル展開は私には要らないのよ。
王城の使用人がビビって逃げてるじゃない。私もビビっている。心優しい少女に殺気は刺激が強すぎる。
そんな強い刺激を柳に風と言わんばかりに飄々と突っ立ている人間が一人。私の側近、シェードだ。
「シェード、お願いできるかしら?」
「仰せのままに、フォー様。」
シェードに頼んで私は外で睨み合っているだろう二人を宥めさせる。姉上とあそこまで喧嘩腰でいられるのはワーン第一王子だけ。
そして王族である彼等に意見するのは並の使用人には許されない。私直属のシェードじゃなければ。
ここで、私の自慢の側近について説明しよう。
彼女、シェードは影という王国暗部組織に属する私専用の側近。年は知らない。前まで私と同年代だと思っていたけど、実兄曰くもっと年取っているらしい。その時シェードがすんごい顔で睨んでいたから、触れちゃいけないやつだと思う。
それがデリカシーてやつね。
スリーに最も欠けているものでもある。
「フォー様。」
実兄という悪魔を罵るのに熱中しすぎたのだろうか、いつの間にか戻ってきたシェードの声で私は意識を戻す。
「‥‥喧嘩は?」
「終わりましたよ。」
「流石シェード。」
やはり持つべきものは素晴らしい部下。しかし当の彼女は私の賞讃にご不満な様子。頬を膨らませて私を見ている。
「…なによ?」
「フォー様に褒められたの今月で初めてな気がします。」
「嘘つけ‥‥いやそうかも。よし、こっちきなさいシェード。頭撫でてあげるわ。」
「馬鹿にしてます?」
なんでよ。
「ともかく、ワーン第一王子をお連れしましたよフォー様。」
流石シェード。優秀な上に気が利く。
「ありがとうシェード。姉上は?」
「ワーン第一王子とフォー様の面会を告げると去っていきました。後日また話がしたいようです。」
「分かったわ。あとでまた手紙を送るわ。」
この状況で私が第一王子派閥に加わったら、て気が気でないのでしょうね。でも兄上も同じこと思っているから姉上と面会したら兄上も面会しないとだめなのよ。そしたらまた姉上が、、の繰り返し。まさに負の連鎖。
私だけが不幸になる謎のシステムだ。
そして私が不幸になるならば、いっそ兄上姉上も巻き込んでやろうと思うのが人の性。だから私はニンマリと笑って告げる。
「それで兄上、一体どうなさいました?」
「…ふん。」
シェードに連れられ、室内に入ってきたワーン兄上。あたかも「怒ってます!」と言わんばかりに憤慨した顔。でも怒っていいそれをしていいのはお前じゃなくて私だからな?
シェードも同じことを思ったのか、姉上が罅を入れた椅子を兄上に勧める。さすがシェード。気が利いている。
そんな私達の企みに気付かず、どっかりと座る兄上。
「ご機嫌悪うございますねぇ。」
「はっ、あのような王家の恥晒しと会えばだれでもこうなる。」
「相変わらず仲が悪いことで。もう少し仲良く出来ないのですか?」
平和大好きなフォーちゃんは姉と兄を想って仲直りの提案をするも、兄上の顔に浮かぶは憤怒と傲慢の二種類のみ。
「あんな奴と仲良くだと?冗談にしても笑えんな。」
あらそう。
「さすが『白銀』サマです。仰る言葉がちがいますわぁ~。」
「・・・・お前それは馬鹿にしてないか。」
癪に障ったのか、少し眉を顰めて私を見る兄上。
でも私にだっていい分はある。
自分の兄弟にそんな面白い名前があったら嗤うしかないよね。
白銀(笑)。姫騎士(笑)とお似合いだわ。
シェードも腹抱えてプルプルしている。お手洗いかな?
(やーねーシェード。お手洗いぐらい済ましておきなさいよ)
(いや、違…白銀て、、ふふ。姫騎士と白銀。。。ぷぷ)
「シェード、白銀様のティーカップはまだ?昨秋美しい白銀の兄上専用の陶器を買ったでしょう?ほら、あの趣味の悪いギンギラギンのやつ。」
「す・・・すこしだけ。。お待ちください。」
「おい、やっぱり馬鹿にしているだろ。」
思わずと言った形で口を挟む兄上だが、的外れも良い所。こんなにも尊敬しているのに馬鹿にしているわけがないでしょうに。まったく、これは急いで誤解を解かねば。
「兄上。私は白銀なんていう大仰な名前を冠していらっしゃる兄上を心の底から誇りに思っていますわ。例えそれが自称だとしても。誰かさんが武力を誇る誰かに危機感を抱いて自作した名前を流したのだとしても。」
「お、お前知っていたのか!?」
その顔はウケる。鳩が豆鉄砲を食ったような顔してる。
シェードが横で必死に笑いを堪えているが、私は兄上と真正面に座り合っているので笑うそぶりすら悟らせることができない。
妹は辛いわ。
「一体何のことです?『姫騎士』なんていうものに張り合って自身の名を流布したなんてお腹が痛くなるほど愉快話を私は知るわけがありませんよ。」
「ええい、違う違う!俺はあんな奴に張り合ってなぞいないわ!」
顔を真っ赤に染め上げて否定する兄上。
五月蝿いよ。なんで姉上といい兄上といいやたらめったら叫ぶの?私の部屋は演説用じゃないのよ?
でもいいの。特別に許してあげましょう。その代わり私は私で好きに鬱憤を晴らすから。
「いいじゃないですか『白銀』。かっこいいじゃないですか『白銀』。聖銀を使い蛮族を退ける英雄、名はワーン!!人呼んで『白銀』!!いやあ、婦女子の憧れの的なんてすごいですわ!!」
「本当になぜそこまで知っているんだ!?」
兄上の魔術は複雑系を主流とするこのご時世では珍しいことに、土属性メインの鉱族操作。これは五属性という古臭い体形魔術に属して、名前の通り土、つまり金属への干渉が得意だ。
その中でも彼は聖銀の扱いが巧みである。
これが『白銀』とか言う名前の由来ね。白銀wwww。
聖銀は、魔力親和性が高いお陰で緻密な操作に向いている。精製して、尖らせて敵にぶつけたりね。しかしそれだけじゃない。
この金属は、長時間魔力に馴染ませると他の魔力から干渉を受けつけないという特徴を持つ。つまり、兄上の固有魔力波長で十分馴染まされた聖銀は、他者の波長が異なる魔力による影響を受けない。兄上しか操作できない聖銀となるのだ。
この特性を利用して兄上は高魔力保持者と戦ってきた。通常なら五属性の魔術は高魔力保持者による乗っ取りや妨害を受け威力が減少する。だから人気無くなったんだよね。
だが、兄上の聖銀は異なる。
そうした主導権の強奪を受けず十全に力を発揮できる。兄上は大量の聖銀を所持し生成できるから、自分専用のバトルフィールドを準備できるということ。
クソチートだよね。腹立つ。
兄上がそこまでして力を求めた理由?
姉上に嫉妬したからに決まっているじゃん。
こういう人の妬みや憎しみの群像劇って見てる側からすればこの上なく面白いわよね。
まぁ私はそれに巻き込まれているから面白くないけど!!
王城の使用人がビビって逃げてるじゃない。私もビビっている。心優しい少女に殺気は刺激が強すぎる。
そんな強い刺激を柳に風と言わんばかりに飄々と突っ立ている人間が一人。私の側近、シェードだ。
「シェード、お願いできるかしら?」
「仰せのままに、フォー様。」
シェードに頼んで私は外で睨み合っているだろう二人を宥めさせる。姉上とあそこまで喧嘩腰でいられるのはワーン第一王子だけ。
そして王族である彼等に意見するのは並の使用人には許されない。私直属のシェードじゃなければ。
ここで、私の自慢の側近について説明しよう。
彼女、シェードは影という王国暗部組織に属する私専用の側近。年は知らない。前まで私と同年代だと思っていたけど、実兄曰くもっと年取っているらしい。その時シェードがすんごい顔で睨んでいたから、触れちゃいけないやつだと思う。
それがデリカシーてやつね。
スリーに最も欠けているものでもある。
「フォー様。」
実兄という悪魔を罵るのに熱中しすぎたのだろうか、いつの間にか戻ってきたシェードの声で私は意識を戻す。
「‥‥喧嘩は?」
「終わりましたよ。」
「流石シェード。」
やはり持つべきものは素晴らしい部下。しかし当の彼女は私の賞讃にご不満な様子。頬を膨らませて私を見ている。
「…なによ?」
「フォー様に褒められたの今月で初めてな気がします。」
「嘘つけ‥‥いやそうかも。よし、こっちきなさいシェード。頭撫でてあげるわ。」
「馬鹿にしてます?」
なんでよ。
「ともかく、ワーン第一王子をお連れしましたよフォー様。」
流石シェード。優秀な上に気が利く。
「ありがとうシェード。姉上は?」
「ワーン第一王子とフォー様の面会を告げると去っていきました。後日また話がしたいようです。」
「分かったわ。あとでまた手紙を送るわ。」
この状況で私が第一王子派閥に加わったら、て気が気でないのでしょうね。でも兄上も同じこと思っているから姉上と面会したら兄上も面会しないとだめなのよ。そしたらまた姉上が、、の繰り返し。まさに負の連鎖。
私だけが不幸になる謎のシステムだ。
そして私が不幸になるならば、いっそ兄上姉上も巻き込んでやろうと思うのが人の性。だから私はニンマリと笑って告げる。
「それで兄上、一体どうなさいました?」
「…ふん。」
シェードに連れられ、室内に入ってきたワーン兄上。あたかも「怒ってます!」と言わんばかりに憤慨した顔。でも怒っていいそれをしていいのはお前じゃなくて私だからな?
シェードも同じことを思ったのか、姉上が罅を入れた椅子を兄上に勧める。さすがシェード。気が利いている。
そんな私達の企みに気付かず、どっかりと座る兄上。
「ご機嫌悪うございますねぇ。」
「はっ、あのような王家の恥晒しと会えばだれでもこうなる。」
「相変わらず仲が悪いことで。もう少し仲良く出来ないのですか?」
平和大好きなフォーちゃんは姉と兄を想って仲直りの提案をするも、兄上の顔に浮かぶは憤怒と傲慢の二種類のみ。
「あんな奴と仲良くだと?冗談にしても笑えんな。」
あらそう。
「さすが『白銀』サマです。仰る言葉がちがいますわぁ~。」
「・・・・お前それは馬鹿にしてないか。」
癪に障ったのか、少し眉を顰めて私を見る兄上。
でも私にだっていい分はある。
自分の兄弟にそんな面白い名前があったら嗤うしかないよね。
白銀(笑)。姫騎士(笑)とお似合いだわ。
シェードも腹抱えてプルプルしている。お手洗いかな?
(やーねーシェード。お手洗いぐらい済ましておきなさいよ)
(いや、違…白銀て、、ふふ。姫騎士と白銀。。。ぷぷ)
「シェード、白銀様のティーカップはまだ?昨秋美しい白銀の兄上専用の陶器を買ったでしょう?ほら、あの趣味の悪いギンギラギンのやつ。」
「す・・・すこしだけ。。お待ちください。」
「おい、やっぱり馬鹿にしているだろ。」
思わずと言った形で口を挟む兄上だが、的外れも良い所。こんなにも尊敬しているのに馬鹿にしているわけがないでしょうに。まったく、これは急いで誤解を解かねば。
「兄上。私は白銀なんていう大仰な名前を冠していらっしゃる兄上を心の底から誇りに思っていますわ。例えそれが自称だとしても。誰かさんが武力を誇る誰かに危機感を抱いて自作した名前を流したのだとしても。」
「お、お前知っていたのか!?」
その顔はウケる。鳩が豆鉄砲を食ったような顔してる。
シェードが横で必死に笑いを堪えているが、私は兄上と真正面に座り合っているので笑うそぶりすら悟らせることができない。
妹は辛いわ。
「一体何のことです?『姫騎士』なんていうものに張り合って自身の名を流布したなんてお腹が痛くなるほど愉快話を私は知るわけがありませんよ。」
「ええい、違う違う!俺はあんな奴に張り合ってなぞいないわ!」
顔を真っ赤に染め上げて否定する兄上。
五月蝿いよ。なんで姉上といい兄上といいやたらめったら叫ぶの?私の部屋は演説用じゃないのよ?
でもいいの。特別に許してあげましょう。その代わり私は私で好きに鬱憤を晴らすから。
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「本当になぜそこまで知っているんだ!?」
兄上の魔術は複雑系を主流とするこのご時世では珍しいことに、土属性メインの鉱族操作。これは五属性という古臭い体形魔術に属して、名前の通り土、つまり金属への干渉が得意だ。
その中でも彼は聖銀の扱いが巧みである。
これが『白銀』とか言う名前の由来ね。白銀wwww。
聖銀は、魔力親和性が高いお陰で緻密な操作に向いている。精製して、尖らせて敵にぶつけたりね。しかしそれだけじゃない。
この金属は、長時間魔力に馴染ませると他の魔力から干渉を受けつけないという特徴を持つ。つまり、兄上の固有魔力波長で十分馴染まされた聖銀は、他者の波長が異なる魔力による影響を受けない。兄上しか操作できない聖銀となるのだ。
この特性を利用して兄上は高魔力保持者と戦ってきた。通常なら五属性の魔術は高魔力保持者による乗っ取りや妨害を受け威力が減少する。だから人気無くなったんだよね。
だが、兄上の聖銀は異なる。
そうした主導権の強奪を受けず十全に力を発揮できる。兄上は大量の聖銀を所持し生成できるから、自分専用のバトルフィールドを準備できるということ。
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