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第13話 最深部へ──魂を導く者達
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太陽の光が差し込む自宅のダイニング。台所の窓から見える空は、雲一つ無い。
「なぁマミ。最近、Unknown多くね?」
使い終わったまな板や包丁を、ミサオがシンクで洗っている。
「・・・そうねぇ。実際、報道の方誤魔化すの辛くなって来たって近藤二尉も愚痴ってたわよね。何なのかしら?」
ガスコンロのグリルで塩鮭の焼け具合を確認しているクミコ。
朝食の準備を2人でしながらの会話。
そこにジョロが慌てて割って入る。
「マミ!パピ!近藤さんから連絡来た!何か大規模作戦だって!みんなで本部集合だって!」
「噂をすれば・・・。こりゃ、他の家族もかな?」
「でしょうね?大規模作戦・・・って、何?あ!そこの戸棚にある四角いお皿取って!お魚ラップして、テーブルの上に置いていくから!」
朝食は家に常備していた菓子パンとパック牛乳へ変更し、車の中で食べながら霞が関に向かう事となった永井家一同。
車から降りた3人は、目的地である警察庁内部に設置されたH-FORCE(エイチ・フォース)本部に到着する。本部内では、いつもより多くの人員が急ぎ足で行き来している。
「コマンダーに対し敬礼!・・・着席!」
近藤二尉の声が響き渡る本部内会議室。永井家だけではなく、他の獣人家族や後方支援要員などが集まっている。
流石に国内遠方の最前線要員はウェブ参加らしいが。
「皆、毎日ご苦労様。・・・昨今のUnknownの出現の増加傾向。現場で動く者だけでなく、フォローする者達も実感していると思うが、我々も手をこまねいていた訳ではない。・・・今回はUnknown出現の元。黒い、あの霧の様な物質が出現する場所の一つを特定した。場所は・・・東京都昭島市。大学のキャンパス内に位置する一角だ。」
説明を始めた斎藤司令の後ろ側にある大きなモニターに場所の詳細が映し出される。斎藤司令が横に動き、マップが拡大され、細かく位置が切り替わる。
「現在、別の理由を付けて学生や職員、関係者等を現場に近付けないように誘導中だ。また、民家がすぐ傍に無いとはいえ、少しでも被害が及ばない様に、本日深夜から明け方に掛けての制圧行動となる。
・・・その分、Unknownの動きも活発になる事が予想される。又、現場付近では度々Unknownらしき物の目撃情報が寄せられているが、現在までに被害報告が1件も上がってはいないのは、逆に懸念材料となっている。・・・これまでと違い、複数が統制された、共通の目的を持っての動きかも知れない。・・・更なる危険も想定されるが、皆の奮闘を願いたい。この後、近藤二尉から各要員に詳細指示が与えられる。指示に従って、各要員、制圧行動に当たれ!・・・私個人の意見だが、自らの命が最優先!それがあった上での相互協力だ。命大事に!健闘を祈る。以上!」
斎藤司令に皆が立ち上がって敬礼する。
そこから近藤二尉より、各家族や後方支援要員等に詳細指示が与えられた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「で、ウチは何でこんな遠回りしてる訳?」
クミコが口をすぼめて言う。
「パトロール込み。深夜まで家でゆっくりって訳にもいかんだろ?だから横浜方面に戻ってから、改めて保土ヶ谷バイパス使って一直線で昭島市まで行こうと思ってさ。八王子バイパスの手前には24時間の中華料理屋あんだよ。トラックで配送やってた時に、よくダンプとか止まってるの横目で見て、1回寄ってみたいと思ってたんだよなぁ。俺のドライバー時代は寄る暇無くてな。こんな事でもないと行くタイミング無かったからさ。昼飯がてら、寄ってみよ?」
「中華料理・・・レバニラ、タンメン、チャーハン、ギョーザ・・・。」
ミサオの言葉によって、ジョロが謎の呪文を唱え出す。
「ジョロ?そこまでワクワクしなくてもね?もうパピ!ドライブじゃないのよ!大規模作戦よ?分かってる?」
ジョロの様子を見て、ミサオに苦情を言うクミコ。
「分かってるさ。でもな、時が来るまでは普通でいいんじゃない?・・・俺達の任務は重い。だから気持ちの切り替えも大事だと思うんだわ。現場着いても作戦夜中だろ?車かテントで待機なら、それまでドライブ気分で良いと思うよ。もちろん、こうして走ってる間に何かあれば、すぐ気持ちを切り替えればいい。」
「・・・それもそうね。じゃ、あたし何食べようかしら?」
ミサオの発言に納得したのか、クミコもコロッとメニューの選定作業に頭を切り替える。
「お?そのノリ、イイね!そこってドライバー御用達だから、中華料理屋のくせにカツ丼とかも有るらしいぜ?定食も充実してるらしいし。まずはそこ目指して、向かうとしますか!」
永井家の自家用車は、相模原市内を一路昭島方面へとゆったりと進む。
何事も無く東京都八王子市に入り、話題の中華料理店にも無事到着した永井家一同。
結局、奇異な視線を受けながらもテーブル席に座った3人は、ジョロがタンメン・ギョーザ・チャーハンを爆食し、クミコは回鍋肉定食、ミサオはカツ丼に豚汁というメニューを平らげた。
食事を終えた永井家の3人は、車の中で一休みした後に、再び指示された場所へと向かい出すのだが。
「・・・まだ夕方にもならんな。」
「・・・やっぱりテントで少し仮眠かしらね?この分だと。」
やはり時間が掛かるコースを選んで走ってはみたものの、深夜に作戦行動開始となると、時間があまりにも空きすぎてしまう。ミサオ達は午後3時過ぎに、現場へと到着してしまった。
「ミサオ二尉!クミコ二尉!コジマル二尉!もう現着ですか。まだ作戦前ですから、少しお茶でもしませんか?大学構内の会議スペースいくつか借りて、休憩場所確保してますんで。」
車から降りたミサオ達の元に、近藤二尉が駆け寄って来る。
「・・・いいんですか?皆忙しそうにしてますけど、俺等も何か手伝ったりとか・・・。」
ミサオが気まずそうに言う。
「皆それぞれ役目があります。永井家には永井家の仕事。今は後方支援要員の出番なだけです。彼らもプロですから、粛々と仕事を行い、少しでも皆さんのリスクを減らす努力をする。任せてあげて下さい。さ、コジマル二尉。用意してありますよ?例の、ワンコ大好きチュルッとするヤツ。」
「え!本当?行く行く!」
「ジョロ!じゃなかったコジマル二尉?タンメン大盛りとギョーザとチャーハン食べて、まだそんなに経ってないわよ?」
「・・・切り替え大事とは言ったものの、緊張感、少しはあっても良いのかな?」
ジョロの奔放さに親2人が思案しながらも、近藤二尉と永井家一同はそのまま休憩スペースへと歩いてゆく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そうですか。・・・海外も。」
「ええ。やはり活動が活発になってきているみたいです。そして変化も。どうも知能レベルの高いものが生まれてきている気配があります。まだ検証段階ですが。」
ミサオの言葉に近藤が答える。
「戦いに終わりはまだ見えない・・・悲しいわね。」
「でも、僕等がやらなきゃ、悪くなるだけだもんね。」
クミコを慰めるジョロ。
「・・・22:00(ふた・ふた・まる・まる)から現場集合及び待機。変更無ければ1時間後行動開始か。少し目ぇつぶっとくか?二人共。」
腕時計に目をやったミサオが、クミコとジョロにたずねる。
「眠らないまでも、身体は休めときましょうか。ジョロもね?」
「うん。その前にトイレ行ってくるね!」
会議スペースを飛び出し、左右をキョロキョロと確認して、トイレのマークを見つけたのか、廊下を左に走ってゆくジョロ。
「おいマミ!ジョロ、自分でトイレ行ってくるだってよ!・・・成長したよな?」
「・・・近藤二尉ごめんなさいね。あの人、忘れた頃にこれ言い出すから。気にしないで下さい。パピ!じゃなかったミサオ二尉!いい加減、幼児扱いはやめなさい!」
「だってさ~、凄くない?ジョロが自分で宣言してトイレ・・・はい、すみませんでした。気を付けます。そんな怖い顔しないで下さい。・・・俺の方がこの場でチビりそうです・・・。」
クミコのカミナリにヘコみながらも、ミサオはジョロを待って、3人揃って休憩用に用意されていたテントで身体を横たえる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ミサオは少し目をつぶったつもりだったが、目を覚まして腕時計を確認したら、時刻は午後9時半過ぎを表示している。
仮眠と言ってもそれほど深い眠りにつく事も無く、何度も目を覚ましながらテント内で過ごした永井家一同は、皆でテントの外へ出る。
「そろそろか?」
大きく伸びをしたミサオ。
「水分補給してトイレ済ませて、丁度くらいじゃない?携行食つまんどく?」
クミコは準備に余念が無い。
「僕、ミルク取ってくる!休憩スペースにあったよね?」
相変わらず、ジョロは本能に忠実に行動する。
「そんな忙・・・やっぱ走るの早いよなぁ、ワンコだけに。そうだマミ、今の内に装備の点検もな?ここで銃使えなきゃ、マジで危険だぞ。」
「もう済ませたわよ!パピこそ、まだやって無かったの?」
「1度目が覚めた時に、ジョロの分まで済ませたさ。アイツは使わんだろうけどな。現場では即時発砲準備。ここでお互い許可だな。」
「了解。承認ね。ジョロ戻ったらちゃんと持たせてよ、拳銃。」
「分かってるさマミ。今回はいつもと違う匂いがするからな。」
戦闘という非日常の中でも、ミサオとクミコは我が子への愛情は忘れない。一時(いっとき)たりとも。
紙コップを持って戻ったジョロを含めた永井家の3人は、淡々と準備を進めて、いよいよ現場へと歩き出す。
暗くなった構内でも、等間隔で外灯は設置されている為、道を違える事は無い。
そして永井家の3人は、目的の場所となる、右側に見える5階建ての建物へと静かに忍び寄る。
東京の郊外である事から、緑の色が都会より濃く感じられる。実際は、明かりが届いている場所の色彩がわかるだけなのだが。
「・・・この研究棟の地下か。・・・雰囲気あるよな?」
「電気の供給は遮断されて無いから、地上から上の階は明るいけどね?それにしてもこの自然環境、森の中にビルなんてって感じよね。」
小声で会話をしながらも、外から建物内の様子をうかがう永井家一同。
「・・・居るね、外にも。」
「!」
ジョロの言葉に夫婦は背中合わせになり、銃を構える。
「・・・ジョロ、敵は?何時方向だ?」
小声で確認するミサオ。
「大丈夫。ヒメちゃんやあ~くん達が抑える筈。僕達は本命に行かなきゃ。・・・ここを潰さないと、被害が広がるから。」
先程までの可愛く振る舞っていたジョロが、戦うモードへと移行している。
「分かった。・・・マミ、ジョロと俺の後ろで、横方向の警戒。ジョロは最深部までは後方を頼む。めんどくさいだろうが、今力使っちまうとスタミナが心配だから、お前さんもチャカ使ってな!俺が前方及び上方警戒で進む。ここからはハンドサインで指示出すから、常に動け!」
小声ながらもミサオが激を飛ばす。
「互いにフォロー!了解!」
声を合わせ、クミコとジョロが答える。
ミサオが研究棟の裏口のドアを開け、永井家一同が侵入を開始する。
(・・・前方、クリア。マミ、ジョロ、先に階段まで走れ!)
(階段手前、左右、確認!ダッシュ!・・・階段クリア!マミは?)
(階段下、踊り場まで確認!クリア。パピ、カバー入るから移動!)
(了解!ダッシュ!オッケー。このまま下の階へ進む!)
ハンドサインだけでの意思疎通も大分板についた様子で、徐々に目的地へと進む永井家一同。
(目標は地下3階。エレベーターは電源OFF。このまま行ければ・・・!)
ミサオが地下2階につながるドアの横でクミコとジョロを止める。ドアに耳を付けて物音を確認する。鉄製のドアの冷たさがミサオの耳に伝わってくる。
(・・・1・・・2・・・3。・・・下まで音たてたく無かったけど、知らんぷりは出来んよな。)
左手に銃を持ったまま、右手の親指でドアをチョンチョンと差し、指3本で対象の数を伝達するミサオ。ドアを開けて左側に何者かが居る気配がある事を示す。
ジョロがドアノブに手を掛け、ミサオが開閉側、クミコがドア裏側に立つ。
(3・2・1!GO!)
ミサオがうなずき、ジョロがドアを開ける。すかさず廊下に出たミサオが左側を向いて特殊拳銃を構える。すかさずクミコ・ジョロの順に続いて、ミサオの後方や上方、地面を確認してバックアップ体勢を取る。
ミサオ達の目の前には、見覚えのある姿のUnknownが3体。ヤギ頭・牛頭・ライオン頭の2足歩行型である。
「H-FORCE(エイチ・フォース)だ!動くな!って、止まらんよな!制圧開始!」
(タン!タタタン!)
ミサオとクミコが並んで前の3体の敵に発砲する。
「パピ!マミとそのまま奥の2体を撃ち続けて!僕は手前の牛から行く!任せて!」
やはりジョロは拳銃を使う事無く、Unknownへと向かっていった。
「あ、ジョロ!・・・了解!マミ、奥の2体に集中!」
「了解!2体とも、前と急所一緒よね?ならそこ狙って!お互い弾切れ注意!」
お互いに声を掛け合いながら、少しでもジョロの支援になる様に必死に動くミサオとクミコ。
「お、よし!ヤギ頭の額にHIT!初めて特殊拳銃で倒せたぜ!マミ!後ろのライオン頭に目標変更!」
「私、目を狙う!パピ、関節!足、膝!弱そうなとこ狙って!」
ミサオとクミコの行動にも、日々の成長が表れている。
「・・・お前も、魂、返せ~~っ!」
(ドゴ~~ン!)
クミコとミサオに届く、重量物が、何かにぶつかる音。ジョロの攻撃がHITした様である。
しかし2人はその物音に気を取られる事無く、ライオン頭のUnknownの制圧に集中する。
「よし!こっちは制圧完了!マミも射撃上手くなったもんだぜ。・・・おぅ。・・・ゆっくり休みな。」
「大変だったわね。・・・又家族と会えるわよ、きっと・・・。」
2体のUnknownから出てきた鳥と猫の様なモヤモヤが、光の粒子となって天に昇るのを見送るミサオとクミコ。
「ジョロ!こっちは!・・・って、そうなるよな?当然。」
信頼している息子の当然の結果に、安心して肩の力を抜くミサオ。
倒したUnknownのそばに立つジョロは、目の前の魂に語りかけている。
「うん。分かったよ。外も、僕の仲間達が頑張ってるから安心して。・・・そっか。許せないよな?任せて。ウチの家族強いからさ。又会おうね、どこかで!」
Unknownの身体から抜け出した魂が、粒子になって昇天してゆく。
「・・・こっちはフクロウさんでしたか。」
「ペットも色々いるわよね。でも、ジョロに怪我無くて良かったわ。」
牛頭のUnknownから抜け出た魂を見送り、その場に再び永井家の3人が集まる。
「パピ!マミ!・・・やっぱり下に、悪いの居るみたいだよ。」
フクロウの魂からの言葉を、ミサオとクミコに伝えるジョロ。
「今のうちに弾の補充だな。それと・・・コイツも使うハメになりそうか?」
自らの腰のバックを軽く叩くミサオ。何かを準備している様に見える。
「・・・気は抜けないわね。ここからが本番。ジョロもパピもケガしないでね?」
緊張した様子で言うクミコ。
「その前に・・・マミ。カリカリ少しつまんでいい?エネルギー消費しちゃったからさ?」
戦闘の後だと言うのに、緊張感の欠片も無いジョロ。
「一応本拠地真っ只中なんだがな?・・・この子はまったく。」
「・・・許可するけど、食べ過ぎはダメよ?激しく動くとケポするから。」
大規模作戦の最中で、しかも下の階には未知の敵がいるやも知れない状況といえど、やはりジョロとクミコはマイペースである。
「・・・ここ、最前線だよな?家じゃないよな?」
ミサオの常識は、この親子の会話には通用しない。
だが、まだ作戦は終わってはいない。
「なぁマミ。最近、Unknown多くね?」
使い終わったまな板や包丁を、ミサオがシンクで洗っている。
「・・・そうねぇ。実際、報道の方誤魔化すの辛くなって来たって近藤二尉も愚痴ってたわよね。何なのかしら?」
ガスコンロのグリルで塩鮭の焼け具合を確認しているクミコ。
朝食の準備を2人でしながらの会話。
そこにジョロが慌てて割って入る。
「マミ!パピ!近藤さんから連絡来た!何か大規模作戦だって!みんなで本部集合だって!」
「噂をすれば・・・。こりゃ、他の家族もかな?」
「でしょうね?大規模作戦・・・って、何?あ!そこの戸棚にある四角いお皿取って!お魚ラップして、テーブルの上に置いていくから!」
朝食は家に常備していた菓子パンとパック牛乳へ変更し、車の中で食べながら霞が関に向かう事となった永井家一同。
車から降りた3人は、目的地である警察庁内部に設置されたH-FORCE(エイチ・フォース)本部に到着する。本部内では、いつもより多くの人員が急ぎ足で行き来している。
「コマンダーに対し敬礼!・・・着席!」
近藤二尉の声が響き渡る本部内会議室。永井家だけではなく、他の獣人家族や後方支援要員などが集まっている。
流石に国内遠方の最前線要員はウェブ参加らしいが。
「皆、毎日ご苦労様。・・・昨今のUnknownの出現の増加傾向。現場で動く者だけでなく、フォローする者達も実感していると思うが、我々も手をこまねいていた訳ではない。・・・今回はUnknown出現の元。黒い、あの霧の様な物質が出現する場所の一つを特定した。場所は・・・東京都昭島市。大学のキャンパス内に位置する一角だ。」
説明を始めた斎藤司令の後ろ側にある大きなモニターに場所の詳細が映し出される。斎藤司令が横に動き、マップが拡大され、細かく位置が切り替わる。
「現在、別の理由を付けて学生や職員、関係者等を現場に近付けないように誘導中だ。また、民家がすぐ傍に無いとはいえ、少しでも被害が及ばない様に、本日深夜から明け方に掛けての制圧行動となる。
・・・その分、Unknownの動きも活発になる事が予想される。又、現場付近では度々Unknownらしき物の目撃情報が寄せられているが、現在までに被害報告が1件も上がってはいないのは、逆に懸念材料となっている。・・・これまでと違い、複数が統制された、共通の目的を持っての動きかも知れない。・・・更なる危険も想定されるが、皆の奮闘を願いたい。この後、近藤二尉から各要員に詳細指示が与えられる。指示に従って、各要員、制圧行動に当たれ!・・・私個人の意見だが、自らの命が最優先!それがあった上での相互協力だ。命大事に!健闘を祈る。以上!」
斎藤司令に皆が立ち上がって敬礼する。
そこから近藤二尉より、各家族や後方支援要員等に詳細指示が与えられた。
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「で、ウチは何でこんな遠回りしてる訳?」
クミコが口をすぼめて言う。
「パトロール込み。深夜まで家でゆっくりって訳にもいかんだろ?だから横浜方面に戻ってから、改めて保土ヶ谷バイパス使って一直線で昭島市まで行こうと思ってさ。八王子バイパスの手前には24時間の中華料理屋あんだよ。トラックで配送やってた時に、よくダンプとか止まってるの横目で見て、1回寄ってみたいと思ってたんだよなぁ。俺のドライバー時代は寄る暇無くてな。こんな事でもないと行くタイミング無かったからさ。昼飯がてら、寄ってみよ?」
「中華料理・・・レバニラ、タンメン、チャーハン、ギョーザ・・・。」
ミサオの言葉によって、ジョロが謎の呪文を唱え出す。
「ジョロ?そこまでワクワクしなくてもね?もうパピ!ドライブじゃないのよ!大規模作戦よ?分かってる?」
ジョロの様子を見て、ミサオに苦情を言うクミコ。
「分かってるさ。でもな、時が来るまでは普通でいいんじゃない?・・・俺達の任務は重い。だから気持ちの切り替えも大事だと思うんだわ。現場着いても作戦夜中だろ?車かテントで待機なら、それまでドライブ気分で良いと思うよ。もちろん、こうして走ってる間に何かあれば、すぐ気持ちを切り替えればいい。」
「・・・それもそうね。じゃ、あたし何食べようかしら?」
ミサオの発言に納得したのか、クミコもコロッとメニューの選定作業に頭を切り替える。
「お?そのノリ、イイね!そこってドライバー御用達だから、中華料理屋のくせにカツ丼とかも有るらしいぜ?定食も充実してるらしいし。まずはそこ目指して、向かうとしますか!」
永井家の自家用車は、相模原市内を一路昭島方面へとゆったりと進む。
何事も無く東京都八王子市に入り、話題の中華料理店にも無事到着した永井家一同。
結局、奇異な視線を受けながらもテーブル席に座った3人は、ジョロがタンメン・ギョーザ・チャーハンを爆食し、クミコは回鍋肉定食、ミサオはカツ丼に豚汁というメニューを平らげた。
食事を終えた永井家の3人は、車の中で一休みした後に、再び指示された場所へと向かい出すのだが。
「・・・まだ夕方にもならんな。」
「・・・やっぱりテントで少し仮眠かしらね?この分だと。」
やはり時間が掛かるコースを選んで走ってはみたものの、深夜に作戦行動開始となると、時間があまりにも空きすぎてしまう。ミサオ達は午後3時過ぎに、現場へと到着してしまった。
「ミサオ二尉!クミコ二尉!コジマル二尉!もう現着ですか。まだ作戦前ですから、少しお茶でもしませんか?大学構内の会議スペースいくつか借りて、休憩場所確保してますんで。」
車から降りたミサオ達の元に、近藤二尉が駆け寄って来る。
「・・・いいんですか?皆忙しそうにしてますけど、俺等も何か手伝ったりとか・・・。」
ミサオが気まずそうに言う。
「皆それぞれ役目があります。永井家には永井家の仕事。今は後方支援要員の出番なだけです。彼らもプロですから、粛々と仕事を行い、少しでも皆さんのリスクを減らす努力をする。任せてあげて下さい。さ、コジマル二尉。用意してありますよ?例の、ワンコ大好きチュルッとするヤツ。」
「え!本当?行く行く!」
「ジョロ!じゃなかったコジマル二尉?タンメン大盛りとギョーザとチャーハン食べて、まだそんなに経ってないわよ?」
「・・・切り替え大事とは言ったものの、緊張感、少しはあっても良いのかな?」
ジョロの奔放さに親2人が思案しながらも、近藤二尉と永井家一同はそのまま休憩スペースへと歩いてゆく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そうですか。・・・海外も。」
「ええ。やはり活動が活発になってきているみたいです。そして変化も。どうも知能レベルの高いものが生まれてきている気配があります。まだ検証段階ですが。」
ミサオの言葉に近藤が答える。
「戦いに終わりはまだ見えない・・・悲しいわね。」
「でも、僕等がやらなきゃ、悪くなるだけだもんね。」
クミコを慰めるジョロ。
「・・・22:00(ふた・ふた・まる・まる)から現場集合及び待機。変更無ければ1時間後行動開始か。少し目ぇつぶっとくか?二人共。」
腕時計に目をやったミサオが、クミコとジョロにたずねる。
「眠らないまでも、身体は休めときましょうか。ジョロもね?」
「うん。その前にトイレ行ってくるね!」
会議スペースを飛び出し、左右をキョロキョロと確認して、トイレのマークを見つけたのか、廊下を左に走ってゆくジョロ。
「おいマミ!ジョロ、自分でトイレ行ってくるだってよ!・・・成長したよな?」
「・・・近藤二尉ごめんなさいね。あの人、忘れた頃にこれ言い出すから。気にしないで下さい。パピ!じゃなかったミサオ二尉!いい加減、幼児扱いはやめなさい!」
「だってさ~、凄くない?ジョロが自分で宣言してトイレ・・・はい、すみませんでした。気を付けます。そんな怖い顔しないで下さい。・・・俺の方がこの場でチビりそうです・・・。」
クミコのカミナリにヘコみながらも、ミサオはジョロを待って、3人揃って休憩用に用意されていたテントで身体を横たえる。
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ミサオは少し目をつぶったつもりだったが、目を覚まして腕時計を確認したら、時刻は午後9時半過ぎを表示している。
仮眠と言ってもそれほど深い眠りにつく事も無く、何度も目を覚ましながらテント内で過ごした永井家一同は、皆でテントの外へ出る。
「そろそろか?」
大きく伸びをしたミサオ。
「水分補給してトイレ済ませて、丁度くらいじゃない?携行食つまんどく?」
クミコは準備に余念が無い。
「僕、ミルク取ってくる!休憩スペースにあったよね?」
相変わらず、ジョロは本能に忠実に行動する。
「そんな忙・・・やっぱ走るの早いよなぁ、ワンコだけに。そうだマミ、今の内に装備の点検もな?ここで銃使えなきゃ、マジで危険だぞ。」
「もう済ませたわよ!パピこそ、まだやって無かったの?」
「1度目が覚めた時に、ジョロの分まで済ませたさ。アイツは使わんだろうけどな。現場では即時発砲準備。ここでお互い許可だな。」
「了解。承認ね。ジョロ戻ったらちゃんと持たせてよ、拳銃。」
「分かってるさマミ。今回はいつもと違う匂いがするからな。」
戦闘という非日常の中でも、ミサオとクミコは我が子への愛情は忘れない。一時(いっとき)たりとも。
紙コップを持って戻ったジョロを含めた永井家の3人は、淡々と準備を進めて、いよいよ現場へと歩き出す。
暗くなった構内でも、等間隔で外灯は設置されている為、道を違える事は無い。
そして永井家の3人は、目的の場所となる、右側に見える5階建ての建物へと静かに忍び寄る。
東京の郊外である事から、緑の色が都会より濃く感じられる。実際は、明かりが届いている場所の色彩がわかるだけなのだが。
「・・・この研究棟の地下か。・・・雰囲気あるよな?」
「電気の供給は遮断されて無いから、地上から上の階は明るいけどね?それにしてもこの自然環境、森の中にビルなんてって感じよね。」
小声で会話をしながらも、外から建物内の様子をうかがう永井家一同。
「・・・居るね、外にも。」
「!」
ジョロの言葉に夫婦は背中合わせになり、銃を構える。
「・・・ジョロ、敵は?何時方向だ?」
小声で確認するミサオ。
「大丈夫。ヒメちゃんやあ~くん達が抑える筈。僕達は本命に行かなきゃ。・・・ここを潰さないと、被害が広がるから。」
先程までの可愛く振る舞っていたジョロが、戦うモードへと移行している。
「分かった。・・・マミ、ジョロと俺の後ろで、横方向の警戒。ジョロは最深部までは後方を頼む。めんどくさいだろうが、今力使っちまうとスタミナが心配だから、お前さんもチャカ使ってな!俺が前方及び上方警戒で進む。ここからはハンドサインで指示出すから、常に動け!」
小声ながらもミサオが激を飛ばす。
「互いにフォロー!了解!」
声を合わせ、クミコとジョロが答える。
ミサオが研究棟の裏口のドアを開け、永井家一同が侵入を開始する。
(・・・前方、クリア。マミ、ジョロ、先に階段まで走れ!)
(階段手前、左右、確認!ダッシュ!・・・階段クリア!マミは?)
(階段下、踊り場まで確認!クリア。パピ、カバー入るから移動!)
(了解!ダッシュ!オッケー。このまま下の階へ進む!)
ハンドサインだけでの意思疎通も大分板についた様子で、徐々に目的地へと進む永井家一同。
(目標は地下3階。エレベーターは電源OFF。このまま行ければ・・・!)
ミサオが地下2階につながるドアの横でクミコとジョロを止める。ドアに耳を付けて物音を確認する。鉄製のドアの冷たさがミサオの耳に伝わってくる。
(・・・1・・・2・・・3。・・・下まで音たてたく無かったけど、知らんぷりは出来んよな。)
左手に銃を持ったまま、右手の親指でドアをチョンチョンと差し、指3本で対象の数を伝達するミサオ。ドアを開けて左側に何者かが居る気配がある事を示す。
ジョロがドアノブに手を掛け、ミサオが開閉側、クミコがドア裏側に立つ。
(3・2・1!GO!)
ミサオがうなずき、ジョロがドアを開ける。すかさず廊下に出たミサオが左側を向いて特殊拳銃を構える。すかさずクミコ・ジョロの順に続いて、ミサオの後方や上方、地面を確認してバックアップ体勢を取る。
ミサオ達の目の前には、見覚えのある姿のUnknownが3体。ヤギ頭・牛頭・ライオン頭の2足歩行型である。
「H-FORCE(エイチ・フォース)だ!動くな!って、止まらんよな!制圧開始!」
(タン!タタタン!)
ミサオとクミコが並んで前の3体の敵に発砲する。
「パピ!マミとそのまま奥の2体を撃ち続けて!僕は手前の牛から行く!任せて!」
やはりジョロは拳銃を使う事無く、Unknownへと向かっていった。
「あ、ジョロ!・・・了解!マミ、奥の2体に集中!」
「了解!2体とも、前と急所一緒よね?ならそこ狙って!お互い弾切れ注意!」
お互いに声を掛け合いながら、少しでもジョロの支援になる様に必死に動くミサオとクミコ。
「お、よし!ヤギ頭の額にHIT!初めて特殊拳銃で倒せたぜ!マミ!後ろのライオン頭に目標変更!」
「私、目を狙う!パピ、関節!足、膝!弱そうなとこ狙って!」
ミサオとクミコの行動にも、日々の成長が表れている。
「・・・お前も、魂、返せ~~っ!」
(ドゴ~~ン!)
クミコとミサオに届く、重量物が、何かにぶつかる音。ジョロの攻撃がHITした様である。
しかし2人はその物音に気を取られる事無く、ライオン頭のUnknownの制圧に集中する。
「よし!こっちは制圧完了!マミも射撃上手くなったもんだぜ。・・・おぅ。・・・ゆっくり休みな。」
「大変だったわね。・・・又家族と会えるわよ、きっと・・・。」
2体のUnknownから出てきた鳥と猫の様なモヤモヤが、光の粒子となって天に昇るのを見送るミサオとクミコ。
「ジョロ!こっちは!・・・って、そうなるよな?当然。」
信頼している息子の当然の結果に、安心して肩の力を抜くミサオ。
倒したUnknownのそばに立つジョロは、目の前の魂に語りかけている。
「うん。分かったよ。外も、僕の仲間達が頑張ってるから安心して。・・・そっか。許せないよな?任せて。ウチの家族強いからさ。又会おうね、どこかで!」
Unknownの身体から抜け出した魂が、粒子になって昇天してゆく。
「・・・こっちはフクロウさんでしたか。」
「ペットも色々いるわよね。でも、ジョロに怪我無くて良かったわ。」
牛頭のUnknownから抜け出た魂を見送り、その場に再び永井家の3人が集まる。
「パピ!マミ!・・・やっぱり下に、悪いの居るみたいだよ。」
フクロウの魂からの言葉を、ミサオとクミコに伝えるジョロ。
「今のうちに弾の補充だな。それと・・・コイツも使うハメになりそうか?」
自らの腰のバックを軽く叩くミサオ。何かを準備している様に見える。
「・・・気は抜けないわね。ここからが本番。ジョロもパピもケガしないでね?」
緊張した様子で言うクミコ。
「その前に・・・マミ。カリカリ少しつまんでいい?エネルギー消費しちゃったからさ?」
戦闘の後だと言うのに、緊張感の欠片も無いジョロ。
「一応本拠地真っ只中なんだがな?・・・この子はまったく。」
「・・・許可するけど、食べ過ぎはダメよ?激しく動くとケポするから。」
大規模作戦の最中で、しかも下の階には未知の敵がいるやも知れない状況といえど、やはりジョロとクミコはマイペースである。
「・・・ここ、最前線だよな?家じゃないよな?」
ミサオの常識は、この親子の会話には通用しない。
だが、まだ作戦は終わってはいない。
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