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第34章
異世界の聖女様は◯◯◯です(2)
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オレの反応が鈍いことに、声の主が心配しだしたみたいだね。
ゆさゆさと身体を強くゆさぶられる。
遠慮の欠片もなく、かなり激しくゆさぶられてしまう。
「あ……あ。すまない。少し……考え事をおおおおおおおっ!」
オレの身体を支えている人物を認識すると同時に、オレは勢いよくベッドの上で飛び跳ねていた。
そして、そのままずずずっとベッドの隅へと後退し、勢い余って床の上に転がり落ちてしまう。
ベッドから落下して派手に背中と腰を打ってしまったが、そんな痛みはこのさいどうでもいい。
「ゆ、ゆ、勇者様!」
声の主が慌ててベッドによじ登り、四つん這いでベッドを横断して、オレが落下したそばへと飛び降りてくる。
「ひいいいいいいいっっ! く、く、くるなああああっっ!」
ベッドから落ちて背中が痛い、とか、目覚めたばかりでまだ頭痛がおさまらないとか、そんな呑気なことを言っている場合じゃない。
オレは『そいつ』とできるだけ距離をとろうと、はうようにして部屋の隅へと必死に逃げる。
「こ、こないでくれえええええっ!」
「お、落ち着いてください! 勇者様!」
神官の衣装をまとった小柄な人物が、オレのそばに慌てて駆け寄ってくる。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 許してください! ダメです! 無理です! 嫌です! 無理です!」
オレは部屋の隅で小さくなって叫びまくる。もうパニック状態だ。
「勇者様! 落ち着いてください!」
両肩をつかまれ、ゆさゆさとゆすられる。
「い、いやだぁ――っっっ!」
恐怖の限界点に達したオレの口から悲鳴がでる。
だめだ。このままだと、また、襲われてしまう!
(ドリア……いや、ふ、ふ、フレドリックくん! フレドリックくん! 助けてぇ!)
口から出るのは、意味不明な「きゃーきゃー、わーわー」という悲鳴のみ。
ガクガク震えるオレを落ち着かせようと、声の主はさらにオレの肩をつかんで力の限り揺らす。
「勇者様! 落ち着いてください! わたしは、至高神アナスティミア様ではありません!」
「……え?」
その衝撃的な告白に、オレは呆けたような顔で目の前の人物をまじまじと眺める。
目にも鮮やかな赤髪と赤い瞳。
獅子のたてがみのような、ボリュームがあるクセの強い長い髪……。
女神アナスティミアによく似た容姿。
間違いなく、さっきまで、オレをとらえて、キスをしまくっていたこちらの世界の女神様だよ。
「違うでしょ?」
と言いながら、目の前の女神様はオレの手を取り、自分の胸へとオレの手を導く。
……弾力がなかった。
豊満な成熟した女性の胸ではなく、姉である女神ミスティアナによく似たペッタンコな……ではなく、男性の胸板だった。
そういえば、声も少しばかり低いかな?
女神アナスティミアは女性にしては低い中性的な声だった。
一方、いま聞こえている声は、どちらかといえば低めの少年の声?
「お、お、おまえは……誰だ?」
「わたしは、この世界の聖女です。至高神アナスティミア様の加護を受け、勇者様にお仕えするように命じられました聖女ライトナルです」
ゆさゆさと身体を強くゆさぶられる。
遠慮の欠片もなく、かなり激しくゆさぶられてしまう。
「あ……あ。すまない。少し……考え事をおおおおおおおっ!」
オレの身体を支えている人物を認識すると同時に、オレは勢いよくベッドの上で飛び跳ねていた。
そして、そのままずずずっとベッドの隅へと後退し、勢い余って床の上に転がり落ちてしまう。
ベッドから落下して派手に背中と腰を打ってしまったが、そんな痛みはこのさいどうでもいい。
「ゆ、ゆ、勇者様!」
声の主が慌ててベッドによじ登り、四つん這いでベッドを横断して、オレが落下したそばへと飛び降りてくる。
「ひいいいいいいいっっ! く、く、くるなああああっっ!」
ベッドから落ちて背中が痛い、とか、目覚めたばかりでまだ頭痛がおさまらないとか、そんな呑気なことを言っている場合じゃない。
オレは『そいつ』とできるだけ距離をとろうと、はうようにして部屋の隅へと必死に逃げる。
「こ、こないでくれえええええっ!」
「お、落ち着いてください! 勇者様!」
神官の衣装をまとった小柄な人物が、オレのそばに慌てて駆け寄ってくる。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 許してください! ダメです! 無理です! 嫌です! 無理です!」
オレは部屋の隅で小さくなって叫びまくる。もうパニック状態だ。
「勇者様! 落ち着いてください!」
両肩をつかまれ、ゆさゆさとゆすられる。
「い、いやだぁ――っっっ!」
恐怖の限界点に達したオレの口から悲鳴がでる。
だめだ。このままだと、また、襲われてしまう!
(ドリア……いや、ふ、ふ、フレドリックくん! フレドリックくん! 助けてぇ!)
口から出るのは、意味不明な「きゃーきゃー、わーわー」という悲鳴のみ。
ガクガク震えるオレを落ち着かせようと、声の主はさらにオレの肩をつかんで力の限り揺らす。
「勇者様! 落ち着いてください! わたしは、至高神アナスティミア様ではありません!」
「……え?」
その衝撃的な告白に、オレは呆けたような顔で目の前の人物をまじまじと眺める。
目にも鮮やかな赤髪と赤い瞳。
獅子のたてがみのような、ボリュームがあるクセの強い長い髪……。
女神アナスティミアによく似た容姿。
間違いなく、さっきまで、オレをとらえて、キスをしまくっていたこちらの世界の女神様だよ。
「違うでしょ?」
と言いながら、目の前の女神様はオレの手を取り、自分の胸へとオレの手を導く。
……弾力がなかった。
豊満な成熟した女性の胸ではなく、姉である女神ミスティアナによく似たペッタンコな……ではなく、男性の胸板だった。
そういえば、声も少しばかり低いかな?
女神アナスティミアは女性にしては低い中性的な声だった。
一方、いま聞こえている声は、どちらかといえば低めの少年の声?
「お、お、おまえは……誰だ?」
「わたしは、この世界の聖女です。至高神アナスティミア様の加護を受け、勇者様にお仕えするように命じられました聖女ライトナルです」
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