例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

文字の大きさ
36 / 67
留木原 夜という人間

【留木原 夜のシアワセな日常】

しおりを挟む
「副会長何かあった?」

鴨杉が突然そんな事を言う。
いつも通りにしていた。動揺や恐怖がバレない様に、していた。

「何で?」

「見てたら何となく?」

僕は苦笑した。
僕に隠し事は向いていないのだろう。

「何でもないですよ」

でも、言えない。
迷惑をかけたくない。

「……そう。言いたくなったら言ってね?…頼ってね?」 

「はい。ありがとうございます」

鴨杉は不服そうな顔をしながらも、ひいてくれた。


***

「?何ですかこれ??」

「……えっと…そのぉ…あぁ…えー…」

風紀委員会の持ち物検査の人手が足りないから僕が手伝っていた。

そんな日だった。

「ぜっっっったいに他の人に言わないでくださいね!」

「?分かりました」

「くっ!あどけない仕草!小悪魔!」

「?」

その生徒が言うにはBL同人誌?という本らしい。

「びーえる?」

「男と男が恋愛している本です」

「恋愛漫画ですか?」

「男同士の…ですね…はい」

僕はそんな物が存在する事に驚愕し、そして喜んだ。

「…えっと、没収対象ですよね…?」

「あ、そうですね」

「あぁぁぁ!ーーくん×……くんの続編がぁ」

「???」

その生徒は膝をつき叫んだ。

「反省文を書けば返しますから」

僕は距離を置きながらも答えた。

(BL…他にもあるかな?)


***

僕は学業と生徒会の仕事を終わらせ、寮の自室でパソコンを開く。

「えっと、B、L、と」

検索すると様々な小説、漫画、ゲームがヒットする。

「ゲームもあるんだ…」

そのゲームは選択制で今人気のゲームらしかった。

「ちょっとだけなら…」

僕はダウンロードのボタンを押す。
少しだけ、少しだけ自由に、自分に素直に生きたかった。

《【光の使い手は暗闇を消す】へようこそ。プレーヤー名を決めてください》

「プレーヤー名?名前で良いのかな?」

《ようこそ、ヨル様。
貴方は失われた魔法系統【光】を持って産まれました。
市民だった両親は貴方の身を案じ、教会へ預けます》

《教会は貴方を大切に育て、貴方は順調に育ちました。
そしてある日、貴方は神殿へ訪れた第一皇子であるロイス皇子に見初められます。
貴方はロイス皇子の提案で貴族が集う学園、ローズ学園へ入学します。》

《貴方はローズ学園で様々な傷を負った子息達に出会い、そして仲を深め、彼らを救い、心身共に成長していきます》

《そして貴方はマロス大帝国…いいえ、この世界の暗闇を知り、仲間と共に戦う事を決意します。》

「?そうなんだ?」

システム通りに進めるとシナリオが始まるのが面白い。

『君を一人にできるわけないだろう…』

「うわっ!」

イヤホンで聞いていたので攻略対象者?の声に驚く。

「びっくりしたぁ」

僕のお気に入りはクオトニット君だった。
笑った顔が…その、好きだったのだ。
高身長とかかっこ良いし、筋肉質だし。

自身の好みのタイプに赤面する。
完全に光一さんに影響されている。

「…続きやろう」

僕はそのゲームを気に入り、クオトニットルートを進めた。


***

「おはよう」

下駄箱で零と会ったので挨拶する。

結局あれから朝までゲームをしていた。
内容がとても面白く、クオトニットルート以外もやっていた為時間がかかったのだ。

寝不足で息が苦しい。頭がボーッとする。

「おはよう。…?夜、体調悪いの?」

「えっと…まぁ…ちょっとね」

徹夜でゲームをしていた為なんて恥ずかしくて言えない。
零はしばらく僕を見て『早めに寝なね?』と言った。

(流石だなぁ)

そんな事を思いながら、零と一緒に教室へ向かう。

「瑠木原様結婚とは本当ですか!?」

「教えて下さい!」

「マジですか!?」

「俺達の瑠木原様がぁー!!!」

教室を開くと何故か阿鼻叫喚となっていた。

「結…婚…?夜、嘘…だよね?」

零が鞄を落とし、僕の両肩を掴む。

「本当だよ」

「「「うわぁぁぁぁー!瑠木原様ぁぁー!!!」」」

クラスメイトや廊下に居た生徒達が泣きながら倒れ落ちる姿に驚く。
ここまで慕われていたんだ…照れるな…。

「嘘だよね夜」

「いたっ」

両肩に強い力を込められ肩がズキッと痛む。

「れ、れい?」

僕は恐怖のあまり震えた声を出す。
こんなに動揺した零を見た事ない。

「…………少し体調が悪いから早退するね」

「え?」

零はそのまま僕を置いて早退した。

「鞄、後で届けよう」

体調が悪いからあんなに動揺していたのか。


***

「え、誰もいないじゃん」

生徒会室には誰も居なかった。
時間を再確認し、あっている事を確認する。

「皆サボり?」

元々庶務の子達と書記はサボったり来なかったりしてたけど…。

「遅刻かな?」

遅刻なら何度かある。二人一緒にはなかったけど…。

「下校時間まで寝て待とうかな…」

僕は会長達が来るまで休憩する事にした。


***

「ッ…うぅ…」

苦しい。息ができない。

僕は息苦しさに目を覚ました。

「だ、れ…」

誰かが僕の上に乗っている。

怖い。苦しい。

「………」

「や……、て…だ…れ」

心臓の音が耳元で聞こえる。意識が朦朧とする。

怖い。怖い怖い怖い怖い。

「…………」

「…っ…が…」

抵抗しようにも手足が拘束されて動かない。

"死"

僕の脳裏にその言葉が過る。

(まだゲームクリアしてなかったなぁ)

泣き虫の父さんは大丈夫だろうか?心配性の母さんもきっと悲しむだろう。
会長に渡す書類があったな…。鴨杉にまた負担がいってしまうな…。

すぐ怒る風紀委員長や冗談が好きな副委員長達は犯人を見つけてくれるかな?

零は、大丈夫かな?

最後なら感謝の言葉を伝えるんだった。

「………」

「ご…ね」

その言葉を最後に僕は殺された。















しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

侯爵令息は婚約者の王太子を弟に奪われました。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

処理中です...