例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

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留木原 夜という人間

【恐怖の料理と支配者】

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「うぇ…!」

「坊っちゃま、追加をお持ちいたしました」

僕は再び白い液体を飲み込む。
喉に粘りつき、とても不味すぎる液体を何度も何度も飲む。

「あら、そこまで美味しそうに飲んでくれるなんて!流石我が子の友人ね~!」

楽しそうに黒い扇を仰ぐのは、この帝国の妃ドルチェナ・マリネット・マロス…ロイスの実母である。




気がついたら皇城にいたルイはデジャブを感じながらも、その場所が皇城である事を知った。

一度目で内装を何度も見ていたからだ。

なので皇城のどこに居るかを理解し、脱走しようとしていた。
だが脱走しようとし、部屋を出た所で待って居たのは妃のドルチェナだった。

気難しい皇子が連れて来た友達を一目見たかったから、部屋に訪れたらしかった。
可愛い者好きなドルチェナはすぐにルイをかっ拐い、そして自室で他の使用人と共に着せ替え人形(ルイ)ショーを行っていた。

そしてルイがカロアスの人間だと告げると、ドルチェナはカロアス家に使いを送り、セバスを連れてきた。
ドルチェナはルイが告げなくても、カロアス公爵達には内緒で行動してくれていた。

そしてセバスが『昼食の時間ですので…』と告げると、ドルチェナは自分が作る!と言い、恐怖のシチューを作ったのだ。

「も、やぁ…」

ルイは本心から言った。
この料理の辛い所は、勿論味もあるのだが、更に辛いのは粘りっけである。
飲み込んだ液体は未だにルイの喉に残っている様で、その喉の違和感が何よりも辛かったのだ。

「もっとやって欲しい?あらあらあら!!なんて良い子なの!わたくし実家で『お前の料理は人を殺す。拷問の様に、じわじわと!!』って言われて作らせて貰えなかったの!!やっぱり子供舌の人しか分からない味なのね!!」

そう言って喜んだ妃は再びセバスに追加を命令する。

「坊っちゃま…ファイトです…そして追加です」

「やぁ…もっ…あ…ァ…」

気絶する前に強い快感を浴びせられたルイ。
だが今度の快感とは程遠いい苦痛に、再び気絶しそうだった。

「ここに居た」

そう言って妃の部屋に入って来たのはロイスだった。

ルイは思った。『ロイスならば、ドルチェナ様を止められる!』と。

「ろ…たすけっ…ン…もぉ…やぁ!」

喉に粘つくシチューに咳き込み、涙が出てくるルイ。
そしてそんなルイに固まるロイス。

「ルイに何を?いや、ナニを?」

「え?料理を振る舞っていただけよ??それより、ロズワールの説教は終わったの?」

「はい」

ルイに駆け寄り水を飲ませるロイスを楽しそうに見ているドルチェナ。

「あ…が…ァン…ロ、イス…」

まるで愛嬌声の様な声をあげて喋るルイにロイスは赤面する。

そして…


「ルイ、食べ物は残してはいけないよ?」


ルイ・カロアスの地獄は、始まったばかりだった。












***

「神月祭へ?」

「はい。皇帝が参列する様に、と」

ロクは皇帝…父から受け取った手紙をボクに渡す。
その手紙には今度行われる神月祭への参加の旨が書かれている。

「無理」

神月祭は宗教国レイノビアトール宗国で行われる。
あの国へ行くと、いつも体調を崩す。
それに、誰かを殺して殺して犯したい気持ちが強すぎて、暴れてしまいそうになる。

年々強まっていくのに、行けるはずない。

「マロス大帝国の皇子も参加するそうです」

「で?皇子とか興味ない。ボクが興味あるのは、あの子だ」

ボクはズタズタにしたルイ・カロアスの写真を見る。

(可愛い…殺して犯して狂わして…)

そんな想像をしてボクは微笑む。

「では、ルイ・カロアスが参加したのならば可能でしょうか?」

「…ニジュウニを使うつもりか?」

「はい」

ニジュウニは精神魔法系統の特殊魔法が使える。
それは極微量の催眠。
だが最初から疑っていない奴、心的嫌悪がない奴ならば、簡単に指示された選択の方へ進んでしまう。

「ルイ・カロアスが参加したら、良いよ」

だがあの子は催眠にかからない。
何となく、そんな気がした。

「ゴウも連れて行け」

「ゴウ…ですか?」

ロクが首を傾げる。
ゴウを連れて行く理由が分からないらしい。

「凡人だからね」

何の特技も特徴もない、凡人。
だけどボクが側に置いているのは、誰よりも使えるからだ。

「分かりました」

「ロク」

ボクはロクに優しく微笑む。ロクはそれだけで赤面する。

「ルイ・カロアスを傷つけるな」

そう言うとロクは不服そうな顔をする。
ロクはこれだけで、ルイ・カロアスが気に入らないはずだ。

そろそろ誰か処分しようと思っていたんだ。

「早く会いたいね」

ボクは壊れた小人人形に話かける。

「丁寧に壊したいんだ。だから早く産まれて、精霊」
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