例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間

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私の宝物

【宝物】

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【恐怖の料理と支配者】~あの時のロイスは~




「私は激怒しています」

「……」
 
私は何故か皇帝に叱られている。
その隣には母上もいる。

私達は騎士団の団長執務室に呼び出された。
そして着くと同時にソファーに薦められ、今に至る。
私は扉近くの場所へ、母上は私の隣へ、私達の向かいに皇帝が座る。

「私は激怒しています。理由は何でしょう?」

「「?」」

私と母上は何も思い当たる節が無いので軽く首を傾げる。

「まずは君。
一つ、スクエア公爵のロキくんへの暴行でスクエア公爵家から抗議。言い訳はある?」

「これが反抗期ね!」

「君は黙ってて」

「はーい!」

母上と皇帝は存外仲が良かった様だ。
私の記憶ではいつも事務的だったはずだが。

「暴行ではないです」

「では何?」

「殺害未遂です」

大義ある殺害を暴行と言われては困る。
あれはルイを手に入れる為に必要な事だ。

「殺害未遂は犯罪」

「?」

私が知らないと思っているのだろうか?
正しくは不法侵入、器物破壊、殺害未遂だが。

「…二つ、カロアス公爵家のルイくん誘拐。正式ではないけど軽く怒られたよ」

「誰です?」

「あら、誰にですか?」

「だから君は黙ってて」

「は"ーい"!」

皇帝が母上の頬を机越しに引っ張る。

(異様な光景だ)

「み・ん・な・から!」

「「?」」

私と母上は軽く首を傾げる。皇帝が怒っているのは分かる。
だが皆とは誰だろうか?

「詳しくは言えない契約。で、言い訳は?」

「監禁です」

契約…そんな事で契約を持ち出す人間がいるのか?
そして誘拐ではない。監禁だ。

「監禁は犯罪」

「?」

「…法律やり直すようにルルに言っとくね

で、次は君だよ」

皇帝が深いため息をつくが、私は何故ため息が出るのか分からない。

「私、何かしたかしら?」

「マリネット公爵子息らを泉に件や白騎士団副団長のクオトニットを両頬連続ビンタした件やヴィヴィドリーヌ男爵を荒縄で縛って色売りの館へ放置した件とか…もろもろ全てだね」

「母上…そんな事をしていたのですか?」

私は母上の皇族とは思えない行動に心の距離を置いた。

「したわね。でも、なぜ怒られるのかしら?」

母上が首を傾げる。
自身が行った異常行動を理解していないようだ。

「何で分からないかなぁ?君も勉強し直しかなぁ?私、激怒するよ?」

「先ほど激怒していると言っていましたが…」

「君は黙っていようね!」

「はい」

疑問に思った事を質問したら怒られてしまった。

(怒られる…?今、私は親に怒られている…のか…?)

それに気がつき私は少しワクワクした。

(これが"親の説教"というものなのか)   

「君達…本当にさぁー皇族だよね?自覚してる?」

「あら?心外ね。貴方も城下町で花売りを誘拐したり孤児の子供を木上に放置したり隣国の姫を谷底に落としたと聞いていますわ!私達だけ怒られるのは納得いかないわ!」

「何をしているのですか皇帝」

「うっ…それを言われると辛い」

私は両親の異常行動に深い溜め息をついた。
ただでさえ未来を憂いているのに。

「母上、皇帝、もっと慎みを持って行動してください」

「「………」」

「?…何か?」

母上や皇帝が変な顔をして私を見る。

「貴方に似てるわね~」

「いや、君にそっくりだよ」

「?」

なぜか二人は苦笑している。

(私が知らなかっただけで、仲が良いのか?

……母上や皇帝は…大丈夫…か?)

私は二人を見て顔を険しくする。
ここ最近未来を知っている者が多発している気がする。
それは良いのだ。ルイの安全を確保しつつルイの情報を知る事が出来るからだ。

未来を知っている者が未来の知識を悪用しないか懸念している。
もし未来で裏切られた人間が過去に戻ったら、裏切った人間に復讐しないか?
些細な事で誤解し、裏切ったと言う人間はいる。

そんな人間が現在にいたら…ルイの周りにいたら?

皇族は貴族や市民を殺す手段を多く持っている。
皇族が"その人間"だったら…。

(今の私に、何ができる?ルイを守れるのか?)

宝剣を出現させて安心していた。スクエアを殺せなかった。
宝剣は役に立たない可能性がある。

「あら?変な顔してどうしたの?」

「はぁ…本当に君達は皇族に向いてないよ」

皇帝が深いため息を吐いた時、扉が強い力で開かれる。

「姉さん!皇帝に変な事されてない!?」
 
叔父であるミチェルが隊服を着たまま許可なく入ってきたのだ。

「あら?どうしたのミチェル」

「はぁ…嫌な奴が来ちゃったよ」

母上と皇帝は呆れた様に言うが、私は驚愕していた。

「許可なく入るとは…凄いですね叔父上」

「いや、君もスクエア公爵にやってるからね?」

「早くここから出よう!じゃないと処刑とか処刑とか処刑になるから!」

「あら~なら私はカロアスの子に会ってくるわね」

ルイの名前を聞き、私は席を勢いよく立った。

「私も行きます!」

「ダメダメ!まだ説教終わってないから!!」

皇帝は私と母上の手を掴む。
だがそれを見たミチェルは母上の手を掴んでいた皇帝の手を叩いた。

「姉さんに触るなゲテモノ!!」

「ひどっ!?君黒騎士副隊長でしょ!?忠義は!?」

「ありますとも!当たり前な事聞かないでください!馬と鹿の子、皇帝陛下万歳!!」

「それ馬鹿って言ってるじゃないか!」

「ミチェル~先行ってるわよ~」

「え!?ったく、これだから元悪役令嬢は!」

ミチェルは先に出ていった母上を追いかけて去っていった。

「はぁ…ルイに会いたい」

私は深くため息をつき、再び席に座った。

「これだからマリネット家の血筋はっ!!」

皇帝は何故か叫んでいた。
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