61 / 67
私の宝物
【私の宝物】
しおりを挟む
私は我儘令嬢と呼ばれて育った。
幼い頃から妃教育から逃げ、平民街で自由に遊ぶのが大好きだった。
ズボンを履くのも剣を学ぶのも大好きだった。
「ロイス」
妃になりたくなかった。後悔だらけの人生だった。
だけどロズワールとの結婚生活は嫌ではなかった。愛しているわけではなかったけれど、彼は私を楽しませてくれる人だったから。
「…母が呼んでいるのに冷たい子ね」
私は実子であるロイスの頬を撫でる。
生きてはいるけど冷たい体に私は微笑んだ。
「そのまま寝てなさい。母が全て終わらすその時まで」
ロイスは何に対しても完璧な子供だった。
私の子であるならば、きっと乱暴で我儘な子供になる!と喚いていた脂肪の塊のジジイ達を唸らせるほど、完璧な子供だった。
だからここ最近の変化が嬉しかった。
皇帝になるには、完璧であってはいけないから。
戦争の恐怖を、成せない悔しさを、誰かを失う悲しみを、そんな不幸を皇帝になるには知らなければならない。
「私の宝物」
誰からも愛される皇帝にならなくていい。
我儘で優しい皇帝に。
私達の様に、誰かを犠牲に生きる大人にならないで。
「《僕達だって誰も殺したくないのに。人間って馬鹿ばかり》」
幼い頃から妃教育から逃げ、平民街で自由に遊ぶのが大好きだった。
ズボンを履くのも剣を学ぶのも大好きだった。
「ロイス」
妃になりたくなかった。後悔だらけの人生だった。
だけどロズワールとの結婚生活は嫌ではなかった。愛しているわけではなかったけれど、彼は私を楽しませてくれる人だったから。
「…母が呼んでいるのに冷たい子ね」
私は実子であるロイスの頬を撫でる。
生きてはいるけど冷たい体に私は微笑んだ。
「そのまま寝てなさい。母が全て終わらすその時まで」
ロイスは何に対しても完璧な子供だった。
私の子であるならば、きっと乱暴で我儘な子供になる!と喚いていた脂肪の塊のジジイ達を唸らせるほど、完璧な子供だった。
だからここ最近の変化が嬉しかった。
皇帝になるには、完璧であってはいけないから。
戦争の恐怖を、成せない悔しさを、誰かを失う悲しみを、そんな不幸を皇帝になるには知らなければならない。
「私の宝物」
誰からも愛される皇帝にならなくていい。
我儘で優しい皇帝に。
私達の様に、誰かを犠牲に生きる大人にならないで。
「《僕達だって誰も殺したくないのに。人間って馬鹿ばかり》」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
314
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる