体質系?異世界召喚者、また召喚され、怒る

吉野屋

文字の大きさ
46 / 49
第五章

5.ベリン城

しおりを挟む
 ロドリゴは、燃える屋根で魔法陣を呼び出し突然姿を消した。消える前に一瞬、こちらに視線を向けた様にみえた。

「黒騎士は全て消えました。次はベリン城です。大丈夫ですか、ココ?」

 ムーランに気遣われている。はっとした。

「えっ?う、うん、大丈夫。・・・ムーラン、あのさ、不死者を救う方法ってある?」


「――――不死者を救う方法は、魂を開放してやり、輪廻の輪の中に魂を帰してやる事です。それ以外は救われません。・・・言っておきますが、一度死んだ者を生き返らせる方法はありませんよ」

「―――うん。わかった」

 やはりそうなんだ。

「ココ、貴女に辛い思いをさせなくてはならない事を深くお詫びします」

 アスランテが跪いて私の両手を握り見上げた。

「どうして、アスランテがそんなこと謝るの?おかしいよ。アスランテが居てくれて私とても心強い。アスランテはどこにもいかないでね」

「・・・はい」

 この淋しそうな微笑みがとても私には苦しかった。どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだろう。

 ムーランを見ると、そっぽ向いて知らんぷりしていた。

「ベリン城に行こう。みんな、この時の為に準備していたんだね」

「そうです、私達はいつか来るだろう、この時を待っていました。この国は強い結界で世界から切り離されています。確かに、他国からの侵略の心配はありませんでしたが、それ以上におかしな永久機関の中に閉じ込められて、多くの犠牲を払って来たのです」

「?よくわからないけど、それは獣人達の居なくなる周期の話?」

「はい、それと緑の姫巫女の召喚です」

「私達がまだ真実を完全に知った訳ではありませんが、おおよその仮説は立てています」

「そう。それを、ベリン城に行って確かめてみればいいんだね」

「ええ。私達は、緑の巫女姫に忠誠を誓い、最後まで戦います」

 今度は、ムーランが跪いて左手を胸に当てそう言った。

 私は、ホントは忠誠なんていらない、誰も死んだりするのをみたくない。でも逃げずにこの世界の決着がつくまで戦う。

 そう、心の中で誓った。




 ベリン城は黒々とした瘴気に包まれていた。皆、この戦いの仲間達がベリン城の周りに集結している。

 私はポケットから種を取り出して撒いた。

 種は広範囲に城を囲む五か所に散らばり、ジャックと豆の木みたいな天迄届く様な巨大な蔓が地響きを建てながら五か所に立ち上がり、そこから五芒星の光の陣を描き出した。

 城を中心として発せられていた真黒な瘴気が、天から降り注ぐ光の矢に消されて行く。

 黒く閉ざされていた城が現れ、城門がこじ開けられる。

 そこには王の使徒達が待ち受けていた。

 それぞれの戦いが始まる。どこかにこの黒騎士達を動かしているロドリゴがいるのだ。

 アスランテとムーランが血路を切り開き、城内へと進んで行く。城内に入ると外の戦いが嘘のように静かだった。

「ココ、これを貴女にお返ししましょう」

 アスランテから手渡された物は、刀の柄だった。刀身は現れていない柄の部分だ。

「あの時落としたの拾ってくれたんだね。ありがとう」

「はい。一緒に戦って下さる貴女に感謝します。私達の国の為に申し訳ありません。私は貴女が再びここに現れて下さって戦う勇気が出ました。貴女に出会えた事をとても嬉しく思います」

「そんなにかしこまって言わないで。この世界に来てアスランテに会えて良かった。私、アスランテの事大好き」

「・・・はい、私もです」


「オイオイ、愛の告白してんじゃねーぞ」

 灰色のローブを纏ったロドリゴが現れた。着替えた様だ。穴の開いた身体を見なくて済む。

「ロドリゴ、貴方を倒します」

「ふん、アスランテ、お前みたいな死にぞこないに殺られるかよ」

 バリバリと稲妻と炎が混ざり合い、城のあちこちが欠けて落ちて来る。

 二人が城の中で戦い始めた。

 目にも止まらない速さで飛び交う術とぶつかり合う神器。

 

「巫女姫、もう誰にも止められません。私達は地下におりましょう。地下神殿があります。そこに王が居る筈です」

 ムーランに言われて彼の後を追う。さらにスピードを増して二人の戦いが激しくなっていくのを感じた。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...