裏切りの異世界ゲーム

Lukia

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「……は!?」
目が覚めた時、俺は灰色の部屋に閉じ込められていた。
「ぬぅ!!」
同時、一瞬だけ頭に激痛が走った。そしてさまざまなことを思い出す。俺のいた世界の事件、生活、家族……。凄まじい情報量が瞬間的に処理されたのだろうか。
だが、俺のいた世界とは情報が記憶されていた。
それは、自分の持つ特殊能力に関することだった。
俺は別に、何か特別なことができたわけではないのに、なぜこんなことを知っているのだろうか?
どうやら俺には「他人の信用を得やすい」というものが備わっているらしい。
……って、それだけかよ。

「しっかしまぁなんだこれ」
一人の空間に声が響いた。そのせいか、なんかさみしさを感じる。
っと言うか、ここはどこだ。全く分からん。ただ普通に、ベッドで寝転がっていたはずなのに……。それが目を覚ませばこんな悲しい所にいるなんて。

『やぁ。こんばんは』
!?
『そんなに驚くことはないよ』
どこだ!?なんだ!?俺以外はここに誰もいないはず!
『うん。僕は君の頭に直接メッセージを伝えているからね』
どう言うことだ?
『まずは簡単に。君は今、いわゆる異世界という場所にいてね』
は?
『だから、簡単に。それでね、君にはこれから、ゲームをしてもらうんだよ」
君たち?ゲーム?
『そう。君はもう自分の特殊能力スキルを理解しただろ?それを使って生きのびるんだね』
スキル?生きのびる?
『うん。まぁ、頑張ってくれ』
その返事とともに、灰色の壁が左右に広がる。まばゆい光が、俺のいる暗い部屋に差し込んでいる。
俺は何度か周りを見るが、やはりこの部屋には俺しかいない。あの声はなんだっとのだろう?
異世界とは?君たちとは?ゲームって?スキル……。生きのびるって?
あの短い会話の中に沢山の疑問を抱きながら、ゆっくりと立ち上がって、光の先へと向かっていく。


「あ?次はガキかよ」
いきなりひどい言葉が耳に入った。誰だこいつ?
って、なんだこの人らは?1、2、3、4、……16人もいるじゃねぇか。
「あら?君は?」
次に声をかけてきたのは女性だった。長い髪の毛を一つに結んでいて、二重の目とほっそりとした顔がとても印象に残りやすい。
「はい。お、僕は山上達真やまじょうたつまと言います」
「たつまくんね。よろしく」
ふふ、と笑って立ち去っていった。彼女もいきなり異世界ここに来てしまったのだろうか?
謎が増えるばかりだな……
「おいガキ」
っと。次はさっき俺にひどい言葉をかけたオヤジが来たぞ。
「テメェ何才じゃ?」
「17です」「17ぁ?」
でかい声が響くなぁ。この人は一体なんなんだよ。こういうオヤジってお……

!!!???

突然、周りが暗くなる。いや、暗くというレベルではない。真っ暗だ。本当に全てが黒に塗りつぶされたような感じだ。
『これより、皆さまには命をかけたゲームをしてもらいます』
!?
『ここにいる人たちの8人はとある世界からやってきた者。もう8人はそのとある世界で死んでしまい、転生を望む者、です』
死んだ?転生?全く分からん!
『ルールは簡単です。二人一組で戦って、最後に残った2人の『望む』側が優勝します』
『そして、そのルールは簡単です。でも、いうのがめんどくさいので皆さまの頭に直接送りますね』
『それでは皆さま、ご健闘を』

直後、バン!!!!と音が頭を巡った。
そして、またしてもたくさんの情報量が整理された。

ルール
二人一組で戦うゲーム
 一日に二回、匿名の投票により処刑者を決める
 その処刑者を決めるためには、みんなで話し合うこと
 裏切りあり
 望む側とは、転生したい側か、元の世界に帰りたい側のこと
 話し合う際に二人組で行動するのは禁止
 最後に残った二人の望む側が分かれた場合、どちらも処刑
 

……どうやら、俺はまずい世界に来てしまったらしい
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