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48 ぼや騒ぎ
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(──アレン‼︎)
はぜるような勢いで起き上がり、そのまま立ち上がろうとしたところで、ずるっと足がすべった。
転げた体を、羽毛布団が受け止めてくれる。ぽふん、とやわらかい音がした。
(あ……帰って、来ちゃったんだ……)
大の字に寝転んで天井を眺めていると、サー……という音が、あたりを包んでいるのに気付いた。
外は真っ暗で見えないけれど、雨が降っているらしい。
燃え盛る赤も、肌をあぶる熱も、急に消えてしまったものだから、水音の優しさが夢のようだった。
(アレン……あのあと、どうなったのかしら)
ひたいに触れると、汗をかいていた。煙の匂いが、まだ鼻の奥でくすぶっている。
それどころか、だんだん匂いが強くなってきたような──。
(……ん?)
私は再び跳ね起きた。ベッドから飛び降りて、まだ火の残る燭台を持ち、小走りに廊下へ出た。
不快な焦げくささが鼻をつく。目をこらすと、うっすらと煙が漂っている。
(どこかに火がついてるの……? ひとまず厨房を見に行こう)
鼻と口を覆って、慎重に、けれどすばやく階段を下りる。少しずつ煙が濃くなってきた。
エントランスの柱時計を見ると、時刻は3時。みんな寝ている時間だ。
通路を駆け抜け、厨房のドアを開けた瞬間。
「わっ!」
ぶわっと黒煙がなだれ出てきて、私はとっさにドアを閉めた。
「は、はあっ、はあ……っ」
こんなの、1人じゃどうにもならない。
(人を呼ばなくちゃ。たしか、使用人の部屋は……)
オスカーに案内された廊下へ急ぎ、並んでいるドアを片っ端から叩いていく。
「誰か起きて! 火事よ! 誰か!」
少しして、従僕が2人、部屋から飛び出してきた。
「奥様、どうなさいましたか⁉︎」
「厨房から火が出てるの!」
2人は目を剥き、サッと顔を見合わせると、バタバタと走っていった。
彼らだけで、あの煙を収められるとは思えない。
私は、屋敷の使用人を全員叩き起こした。自分で思うより焦っていたらしく、勢い余って倉庫のドアまで開けてしまった。
目を覚ました使用人たちは、ジェイクやナンシーの指示で迅速に動いた。
庭の土を桶で運び、かまどから広がった火を埋めていく。事態が落ち着いた頃には、東の空が白んでいた。
誰もが「やれやれ」と床にへたり込む中、ジェイクだけは老体に鞭打ち、片付けを始めた。
「お前たち、さっさと立ちなさい! 今日は旦那様がお帰りになるんだから」
はぜるような勢いで起き上がり、そのまま立ち上がろうとしたところで、ずるっと足がすべった。
転げた体を、羽毛布団が受け止めてくれる。ぽふん、とやわらかい音がした。
(あ……帰って、来ちゃったんだ……)
大の字に寝転んで天井を眺めていると、サー……という音が、あたりを包んでいるのに気付いた。
外は真っ暗で見えないけれど、雨が降っているらしい。
燃え盛る赤も、肌をあぶる熱も、急に消えてしまったものだから、水音の優しさが夢のようだった。
(アレン……あのあと、どうなったのかしら)
ひたいに触れると、汗をかいていた。煙の匂いが、まだ鼻の奥でくすぶっている。
それどころか、だんだん匂いが強くなってきたような──。
(……ん?)
私は再び跳ね起きた。ベッドから飛び降りて、まだ火の残る燭台を持ち、小走りに廊下へ出た。
不快な焦げくささが鼻をつく。目をこらすと、うっすらと煙が漂っている。
(どこかに火がついてるの……? ひとまず厨房を見に行こう)
鼻と口を覆って、慎重に、けれどすばやく階段を下りる。少しずつ煙が濃くなってきた。
エントランスの柱時計を見ると、時刻は3時。みんな寝ている時間だ。
通路を駆け抜け、厨房のドアを開けた瞬間。
「わっ!」
ぶわっと黒煙がなだれ出てきて、私はとっさにドアを閉めた。
「は、はあっ、はあ……っ」
こんなの、1人じゃどうにもならない。
(人を呼ばなくちゃ。たしか、使用人の部屋は……)
オスカーに案内された廊下へ急ぎ、並んでいるドアを片っ端から叩いていく。
「誰か起きて! 火事よ! 誰か!」
少しして、従僕が2人、部屋から飛び出してきた。
「奥様、どうなさいましたか⁉︎」
「厨房から火が出てるの!」
2人は目を剥き、サッと顔を見合わせると、バタバタと走っていった。
彼らだけで、あの煙を収められるとは思えない。
私は、屋敷の使用人を全員叩き起こした。自分で思うより焦っていたらしく、勢い余って倉庫のドアまで開けてしまった。
目を覚ました使用人たちは、ジェイクやナンシーの指示で迅速に動いた。
庭の土を桶で運び、かまどから広がった火を埋めていく。事態が落ち着いた頃には、東の空が白んでいた。
誰もが「やれやれ」と床にへたり込む中、ジェイクだけは老体に鞭打ち、片付けを始めた。
「お前たち、さっさと立ちなさい! 今日は旦那様がお帰りになるんだから」
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