断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

文字の大きさ
8 / 135
第一章

生贄にされそうですわ

しおりを挟む
「そうだな~。お前、ガキのくせに頭良さそうだから死ぬ前に教えてやるか」

あら?そんな殆ど話してないのに頭良さそうだなんて。
見る目がおありね。

「そんなもん聞きたくない!早く俺達を解放しろ!」

あっ、ルース様、相手を刺激しない方がよろしいかと。それに何の儀式の生贄にされるのかちょっとだけ気になりますわ。

「これ見てみろ。500年前のバルトカピ様を召喚する場面の絵だ。生贄には幼女の聖女が必要でな」

バルトカピ?何ですのそれ?

「なんでしゅか、それ」

「それって言うな!不敬だぞ!バルトカピ様は魔王の中の魔王なのだ!」

要するに化け物ですわね?儀式をしている絵は悪魔らしき人物に生贄の血を飲ませているわ。何故悪魔なのか分かるのかって?その絵の人物には悪魔特有の角があるからです。この悪魔が化け物に変化して誕生するのがバルトカピなのですね。

「そんなものつくってどーしゅるの?」

「そんな物とは何だ!」

もう、いちいちうるさいですわね。

「この世界を征服する」

お馬鹿ですの?いえ、お馬鹿ですね?

「たぶん、これ、いうこときかないであばれまくる。おまえたちもはめちゅする」

「な、何だ⁉︎聖女の予言か⁉︎」

いや、いや、いや。化け物が自分達の言いなりになるって考える方がおかしいですわよね?
やはりこーゆー方々は普通の考え方とは違うのですわね。

「そうだ!アイラは聖女だからな!予言だぞ?だから止めとけ」

ルース様、それ言っては駄目ですわ。その逆をおっしゃって?私が聖女じゃないから生贄にしても無駄だと。

「やはりエバンズ家の娘は聖女なんだな。しかも500年前の幼女と同じ銀髪にエメラルドグリーンの瞳だ!最高だ!」

あ、ほら、ヤル気になってしまったわ。
って、そうなのですか?500年前の生贄さんと一緒。親近感沸きますわね。
でもここで疑問が。その絵は空想なのではないですか?
500年前にそんな化け物が出たなんて記述はどの歴史書にも載ってませんでしたわよ?前の人生の記憶ですけれど。

「さ~て。お遊びは終わりだ。まずその聖女をもらうぞ」

そう言うなり、かまいたちのようなモノが私を抱き抱えていたルース様の左手に当たりました。すると肘から下が鈍い音を鳴らしながら落ちたのです。それと共に私も床へと転がり増したわ。

「うわぁぁぁ!」

ルース様が右手で左手を押さえます。ですが大量に出血してますわ!

「お前なんぞ最初から相手にならんのだよ」

そう言いながら男性が私のワンピースの襟ぐりを後ろから掴んで引っ張り引きずりだしました。

ルース様の黄金の腕が!将来ムキムキなマッチになりご婦人方を喜ばせる予定の腕が無くなってしまう!ご婦人方の楽しみを奪ってしまっては駄目ですわ!そもそもこのままだとルース様は出血多量で死んでしまいます!

私は体から眩しい光を放ちました。目潰しですわ!幸いルース様は痛さの余り目をつぶっていましたのでその隙に。

眩しさのあまり男性が私を離しました!
ルース様の元へ走り左の腕に私の両手を添えて治癒します。全身全霊で光を出して頑張りますわ!

うごぉぉぉぉぉぉ!!
ぐぇぐぇぇぇぇぇ!!

聖女らしからなぬ気合いの入れ方ですがそれはお許し下さいませ。

ニョキニョキとルース様の腕が、手が生えてきましたわ!やったぁ!その調子ですわ!

「るぅすしゃま!うではうごきましゅか?」

「あ?あぁ、何ともない。切られる前と同じ感覚だ......」

キョトンとしているルース様はとても可愛いですわね。

「よかったしゅ」

これです!これ!私がやりたかった事は!完全なる治癒ですわ!
ふぅー。興奮してしまいま......。

ドスッ。

え⁉︎ドスッ?

私は下を向き違和感がある自分の胸を見ました。大きな剣が私の小さな胸を貫いています。

「はえ?」

ゴブッ!お口から血が吹き出ましたわ。

「うわぁぁぁ!アイラ!アイラ!」

ルース様が半狂乱になって叫んでいます。あっ。この叫び声は聞いた事がありますわ!前の人生の私が処刑された瞬間に聞こえた幾つかの声の中の一つですわね。思い出しました。ルース様は私の最後の時に泣いてくれましたのね......。
感謝いたしますわ。

私を串刺しにした男性が歩き出しました。ぶら~んと私を串刺しにしたまま。
そのまま移動です。
とてもシュールな絵面ですわね......。

「いや~。お前やっぱり聖女だったか~。腕を生やすなんてホント神業だな。これで儀式も安泰だ」

笑いながら私を運びます。

「おい!血が流れ出してるぞ!体小さいんだから勿体無い!」

仲間の男性が焦っています。そうですわよね。儀式に私の血が足りなかったらまた聖女が生まれるまでなんだかって化け物の復活はないですもの。何でしたっけ?もう名前も忘れてしまいましたわ。

「ああ、悪い。じゃあコレを受け皿にしとくか」

床に転がっていた壺を取ろうと私を運んでいた男性が剣を一度床に置きました。すなわち私も置かれましたわ!
チャーンス!

私は走り出しました。もちろん剣は刺さったまんまですけれど。
これまたシュールな絵面ですわ。

「あ、おい!逃げたぞ!流石聖女だな!串刺しにされても死んでないとは!感動だ!」

言われてみればそうですわね?これ、心臓貫いていると思われますが私、走れていますわ。
おっとっと?剣が重くてよろけましたー!壁にもたれたら、あら不思議!その壁の一部がくるりと回転して私は穴に落ちていきました。隠し扉だったのですね?

暗く長い距離、私は落ちていきましたわ。そろそろ血を止めないと私も保ちませんわよね。そんな事を考えていたら床に叩きつけられました。
その衝撃で剣が抜けましたわ!
良かったです。どうやって剣を抜こうか考えていたところでしたから。

ふぅ。とりあえず自分を再生しなければ。

ふごぉぉぉぉぉぉーーー!!

私の体は光に包まれ傷も塞がりました。
ここにきて一気に聖力が覚醒してきたみたいですわね。余り量多く覚醒してしまうと色々な人に勘付かれるので用心しないとですわね。

「おい。チビ。お前聖女か?」

後ろから声がして心臓が飛び出るぐらい驚きましたわ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...