断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

文字の大きさ
24 / 135
第一章

北のお屋敷に連れて行かれましたわ

しおりを挟む
「結局、本当にあの子が幽霊だったのかは分からないまま私は侍女を辞めたのだけれど。噂がたってしまったものだからなかなか新しい侍女が決まらないって聞いたわ」

「そ、それは幽霊ですわ!だって目が無かったのですよね?そして消えていますし!」

ユリアン様が半分叫びながら言いましたわ。

「うーん。今、冷静になって考えると幽霊にしては人間ぽかったような気もするのよ。幽霊ってもっと、こう、この世の者ではない雰囲気とかがあるのではないかしら?」

「その幽霊にはそれが無かったのですか?」

私はぬるくなったホットミルクを飲みながら訊きましたわ。

「そうなのよ。どちらかと言えば人間の悲壮感?助けて感?な感じがしたような気もするけれど私も驚いていたし今となってはよく分からないわ」

ふむ、ふむ、ですわ。

「えっと、マーレ様の故郷は東にあったエス?グ?」

お父様に聞いていましたが頭がまだ6歳児なので忘れてしまいました!

「エスグライド帝国だよ」

ダリル様が助けて下さいました。

「その隣国はサフィランカ帝国?」

「そうだよ」

ダリル様に正解を頂きました!この知識は前の人生の時の王妃教育で教えて頂いたものですわ。

「アイラ嬢は物知りだね?もうその歳で我が国周辺の帝国名を知っているんだね?素晴らしい」

ダリル様に褒められましたが8歳の貴方様が完璧に知っているのも素晴らしいと思いますわ。ダリル様は将来お父様の後を継いで宰相様になられるのでしょうね!陰ながら応援しますわ!

「あ、いえ、そんな......。地図を見るのが好きなのですわ。それで少しだけ記憶にあるだけです」

えへへと私は照れ笑いです。
ダリル様は凄い、凄いと頭を撫でてくれましたわ!幸せ!この何とも言えない幸せ感は⁉︎人生においてお初ですわ!

「さぁ、そろそろ子供は寝る時間だよ?」

と、ジョージ様がお部屋に入ってきましたわ。あら、残念です。まだ訊きたい事がありましたが仕方ありません。
良い子にしてねとお母様から言われていますもの。

その夜はユリアン様と一緒にフワフワなベッドで眠りました。

楽しいお泊まりが終わりました。
ユリアン様一家とお別れが辛いですわ。たった2日一緒にいただけなのに。

「また遊びにおいで」

ジョージ様が優しく言って下さいました。

「そうよ?いつでも大歓迎だわ」

アン様、ありがとうございます!

「今度は我が家の敷地内にある湖にピクニックしようね!待ってるよ!」

ダリル様がそう言って私の手の甲にキスをしてくださいました!
キスですわ!紳士ですわ!
どーしましょう⁉︎前の人生でもこの様な事をされたことが無いので戸惑います!

「はい......。よろしくお願いします」

ん?何かプロポーズの返事みたいになっちゃってません?私だけぇ?私だけそう感じてますのぉぉぉ⁉︎

「おい。チビ少し頭冷やせ。まだ色恋なんぞ早いんだよ!まずは大人の体になりやがれ。そしたら俺がいつでも可愛がってやるから」

アクアが私を馬車まで引きずりながら暴言を吐いてきますわ。
ちょっと!私はその様な事は望んでおりません!淡い恋心を何だと思っているのでしょうか⁉︎

今週も王城に行く日になりました。
私とユリアン様は週に3回ぐらい登城しています。曜日は決まっていないのですわ。日曜日にまとめてその週の予定が送られてきますのよ。

王城に着いていつものお部屋に行くとエレーネ様がとても不機嫌です。

「お泊まりの事がバレてしまったようです」

ユリアン様が小さな声で教えてくれました。
まぁ!何処から漏れるのかしら?

まだ先生が来ていないのをいい事にエレーネ様が私の手をグイグイ引っ張ります。

「アイラ、お泊まりしたんだって?何で私は呼ばれてないんだ?」

それって普通はユリアン様に訊ねる事なのでは?私が窓口ですか?

「えっと、まず流石にエレーネ様をお屋敷にお呼びしてお泊まりして頂くのは畏れ多いかと。それに今回は女の子だけのお泊まりでしたの。ごめんなさいです」

何故に私が謝っているのでしょう?

「ふん。相手がエリアス兄上ならそうだが私ならいいだろう?側室の子供なんだし普通の貴族として接しろ」

ぶーぶー文句を言いながら私の手を撫で回します。

「どうせ、泊まって一晩中例の幽霊話してたんだろう?私も調べてみたぞ。あれは北の屋敷で見かけるそうだな。だから、今日はお茶の時間に抜け出すぞ?」

何故そうなりますの?しかもそんな大きな声で言ってしまったのなら護衛騎士達に筒抜けですわ。

そしてお茶の時間。
私達3人には護衛騎士がベッタリくっ付いて離れません。
でしょうね?まったくエレーネ様は......。
そう思った瞬間エレーネ様が私の手を握り小さく呪文を唱えました。
すると目の前の景色が変わりましたの!
これは移動魔法ですわね?

目の前には見るからに幽霊が出そうなお屋敷がありますわ。

「ここが北の屋敷だ」

ですわよね。

「怖くないか?」

「大丈夫です。でも怒られないですか?勝手に入ってしまって」

私達はお庭に居るのです。もう門から中に入ってしまっているのですよ。

「私を誰だと?王城に俺が入ってはいけない場所などは無い」

そうですか?きっと沢山あるような気がしますわよ?まだ子供ですしね。
特に側室様のお屋敷は......。
あ~!勝手にお屋敷の扉を開けてはいけませんよ⁉︎

このお屋敷は門番も侍女も護衛も居ないのですか?
不審者が入りますよ?

ギギギーー。
わぁ、本当にアレイダ様が言っていた通りに古いお屋敷ですのね。

中に入り最初に居間のような大きいお部屋があります。私達は静かに歩いて行きます。長い廊下に出ましたわ。
その廊下の窓から外を見ると中庭に茶色い髪の毛の女性が2人の侍女を連れて歩いています。

「あれがマーレ様だ。外に出るなんて珍しいらしいらしいぞ?」

殆どお屋敷から出ないってアレイダ様も言ってましたわ。

私達は見つからないようにしゃがみ込みチラチラと窓の外を見ていました。
マーレ様は綺麗なピンク色の瞳ですわ!ダリル様と一緒です。
羨ましい......ですわね。

そう思った瞬間でしたわ。マーレ様がこちらを見たのです。
目が合ってしまいましたわ!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

処理中です...