断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

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第三章

王太子様にご報告ですわ

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「先日の事は神官から全て聞いた。アイラ聖女はあのアバドンとかいう男に執着されているとか。そしてバルトカピにする為に付きまとっているとか」

このお部屋にはエリアス王太子様と専属護衛騎士がお一人、そして私とアレイ様が居ます。
もちろんお部屋の外には何十人ものエリアス王太子様の護衛騎士が待機していますわ。だってこの国の次の王様になる方ですもの。

エリアス王太子様の護衛の方は全て知っているようでかなり信頼している様子です。

今日は偶然私の専属護衛騎士がアレイ様なんですのね?なんて思っていたらアレイ様が裏操作していたようですわ。流石です。

「はい。あの男はしつこいので私をバルにするまではずっと付きまとうと思いますわ。そして私がバルになってしまうとこの国を壊してしまいますのでなんとしても阻止したいと思っています」

「バル......?国を破壊以前にアイラ聖女をそんな化け物なんかに絶対しない!まずはアバドンを何としてもでも捉えなくてはいけないね」

エリアス王太子様と護衛騎士が私のバル呼びに一瞬戸惑ったようですがこれは決して愛称で呼んでいる訳ではありませんのよ?名前が覚えられないからだなんて恥ずかしくて言えませんけれど。

「あのう、バルについて書いてある書物などは王立図書館に置いてあるのでしょうか?色々知っておきたいのです」

「今となっては伝説の生き物だからね。私が生きている時にその名前を聞くとは思っていなかったよ。たぶ数冊はあると思う。アイラ聖女が行きたい時に知らせてくれ。私も一緒に探すよ。それに私と会うと言った方が外出許可が出るだろう?」

「はい。ありがとうございます」

「神官からの話だとアイラ聖女の聖力は凄いと聞いた。アバドンもかなりの力だと聞いたがそれと互角に戦っていたと」

「違いますの。あの戦いはあの男が手を抜いていたのですわ。悔しい事ですけれど」

「あはは!そうか。アイラ聖女は悔しいのか。やはり大聖女候補だな。歴代の大聖女は戦いに秀でていたと書物に書かれているが本当なのだな。私もこの目でアイラ聖女が戦う姿を見てみたいものだ」

豪快に笑うエリアス王太子様を初めて見ましたわ!なんて可愛いのでしょう!

「王太子様、聖女様の戦う姿を見たいなどとは不謹慎です。聖女様には穏やかで平和に過ごしていただき国民やこの国を癒すのが仕事ですから。その聖女様が戦いに参加する状況ではこの国の......」

「あー分かった!分かった!クルン、お前の小言は後で聞く」

エリアス王太子様の護衛騎士はクルン様というのですね。前の人生では居なかったように思いますがやはり私が違う行動をしているので色々変わっているのですね。

それにかなり親しいようであんな意見も言えるなんて。良い関係を築いているのですね。

「それはそうとミカエルとかいう聖騎士がかなり腕の立つ奴だと聞いたぞ?先程の会議にも居たがアイツは何者だ?」

あ、それ、私に訊きます?

「私も彼の事は詳しく知りませんが何処かの田舎から出て来たと聞いています。あの男と互角に戦えたのは自分が放った技がたまたま意表を突いただけだった様ですわ」

「まあ、アバドンとの戦いについては先程本人からもそう聞いたのだが......。そういう事に今はしておくか」

何か感じるものがあるのでしょうか?ミカエル様の正体は知られないようにしないといけませんね。

「アバドンの行方についてはこちらでも探す事にする。アバドン事件に関しては今日はこれまでだ」

とりあえずホッとしましたわ。
私もバルの事や最悪バルになってしまった時の対処法がないかなど調べなくてはいけませんわね。

「王太子様、神官の様子ですが、今のところ変な動きはありません」

アレイ様がクーデター疑惑についての話題を出してきましたわ。

「そうか。引き続き捜査するように」

「私も神官様について何か分かりましたらご報告します」

私もエリアス王太子様に言いましたわ。

「ありがたい。頼んでおきながら何だが、無理はしないように」

「はい」

お話もひと段落ついたのでお茶を私が淹れましたわ。ここでは全て自分でするのです。

「すまないな。お茶を淹れてもらって」

エリアス王太子様が私にお礼を言ってお茶のカップを受け取りましたわ。

「うん。美味しい。これからここに来たらアイラ聖女が淹れてくれるお茶が飲めるのだな。頻繁に通うか」

微笑みながら私に向かって言いましたわ。その微笑みドキドキしてしまいますのでお止めくださいませね。

それから私は聖女様としての教育を受けて半年後には同期のお2人と一緒に『治癒巡業』に参加できるようになりました。

私達はまだ1番下っ端聖女なので地方までは行かず王都だけなのですが。
王都にある病院を回って医師では完治させれない方々を訪ねますの。

医師には治癒力はありません。
病気にはお薬を、怪我には塗り薬だったり軽い縫合などを施します。
骨折などは当て木などをして固定しますが上手くつながらない時もあります。

医師が施した治療で元気になる方も大勢いますがそうでない方もいます。その方達を治療しに私達が行くのですわ。

その日もユーリン様が引率してくれて私達同期3人はある病院に行きました。教会の外に出る時は沢山の聖騎士が護衛してくれます。何かあった時には安心ですわ。私は幸い戦える力がありますがエミリー聖女様とサフィー聖女様にはその様な力はありませんので。

いつも外に出る時の護衛の聖騎士の中には必ずお兄様がいますの。
これは絶対に裏で何かしていますわ。
そしてずっと私の側を離れません。護衛してくれているのは感謝しますけれどベタベタと触ってくるのはいただけませんね。

前の人生では清くて正義感があって妹思いで素晴らしい人格でしたのに何故今世ではこうなってしまったのかしら?

「やはり私が幼い頃に接し方を間違えたのかしら?」

独り言で呟いた事に対してミカエル様が反応しましたわ。

「うん。ホントそう。お前は間違えた」

呆れたような、馬鹿にしているような笑い顔で私を見ていますわ。本当のミカエル様ってかなりムカつくのですけれど。





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