断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

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最終章

アクアの話ですわ

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その後、また家族と会い良かった、良かったとひとしきり喜び合いましたわ。

久しぶりにお風呂にも入り、あ、眠っていた時はお母様がクリーン聖術で綺麗にしてくれていたそうなので全然臭くないのですよ?

新しい寝間着に着替えて果実水を飲んでいたらアクアが来ましたわ。

「おお。サッパリした顔してるな」

「ええ。今夜はアクアのお話を聞くのでリラックスして待っていましたわ。長くなるのでしょう?全部話して下さいね?」

マリルがアクアに紅茶を淹れてあげていますわ。

「では、私はこれで休ませて頂きます。アクアに何かされそうになったら直ぐにこのベルを鳴らして下さいませ」

と、言って魔術がかかっているベルを置いていきましたわ。

「今日は何もしねーよ」

「今日は?ですの?」

「そうだ。俺はチビを襲うために帰ってきたんだからな」

そんな犯罪を堂々と宣言しないで欲しいですわ。

「さて、何から話そうか。まずは生い立ちからか?」

アクアは静かに語り始めましたわ。

「俺の父親は前魔王だったが割と平和主義で人間と関わり合わないように森の奥に悪魔村を作って暮らしていた。けど、惚れっぽい父親はふらりと村を出ては色んな所で子供をつくっては連れて帰ってきていた」

「まぁ!ではここではない別『ジゲン』とか言う場所でもですの?」

「ああ、次元を超えて女に手を出しに行ってたな。本当に女好きでな。それさえなければ完璧な魔王だったのだが。そのうち若い奴らがこんな田舎での生活が嫌だと言って村を出ていくようになった。その中の1人が今の魔王だ。出て行った奴らは人間を食べるようになり人間と対立し始めた」

「悪魔は人間を食べなくても生きていけるのですね?」

確か私と契約していた時のアクアは私達と同じ物を食べていましたよね?

「そうだ。人間と同じ食事で生きていける。だが、悪魔にとっては人間が1番美味いのだがな」

アクアがニヤリとしましたわ。
そ、そうなのですね......。

「そして奴らは悪魔村も襲い皆殺しにした。俺はこっちの次元に逃げ込んで暫く静かにしていたさ。そしたら悪魔はあまりこちらに入って来ないことに気がついた。何故なら契約しないと人間に近づけないし近づくと跳ね飛ばされるからだった。これ、どうやらこの世界を作った神が人間を守る為に最初に混ぜ込んだルールらしいがそれがきちんと機能してる世界はここだけだった」

「ん?こちらに逃げ込んだっていうことは悪魔村があったのは別のジゲンってことかしら?最近までアクアが行っていた場所?」

「そうだ」

「そちらは悪魔でも人間と接触出来るという事ですの⁉︎そんな恐ろしいですわ!どんどん人間が食べられてしまいますわよね⁉︎」

ミカエル様!そのルールをこちらだけじゃなくて繋がっている全部の世界できちんと機能させて下さいませ!!もう、何でも少しずつ役に立たないのですよね!

「そう。普通で考えるとそうなんだけど、色々あってあちらの次元では魔王、悪魔達は1000年ぐらい強制的に眠らされてたみたいだ。だから1000年の間は被害がなかったみたいだぞ?ただ魔獣は暴れていたらしいが」

へぇ~。そんな事が。まあ、被害がなくて良かったですわ。

「え?もしかして最近1000年の眠りから魔王達が目覚めてしまったって事ですわよね?だってこちらに来ましたもの、魔王が」

「そうだ。あちらの女神ちゃんが1000年前に色々やって今の女神ちゃんが引き継いで魔王を倒そうとしてるみたいだったぜ?それで少しだけ女神ちゃんに接触させてもらって魔王がこっちに来たら即戻すって約束をこぎ着けた。凄いだろう?俺!」

「そう言ってくれるぐらいあちらで良い事をしてきたのでしょうけれどあちらの女神様に全て押し付ける様な感じになってしまったのではないでしょうか?」

「あー、大丈夫だ。女神ちゃんは自分しか魔王を倒せないから戻して欲しいって感じだったし、実際にあちらの女神ちゃんしか倒せないと俺は思う。それに女神ちゃんには仲間が沢山付いているから大丈夫だ」

それを聞いて安心しましたわ。
女神様、魔王討伐よろしくお願いしますわ。

「で、俺、実は前魔王とこっちの大聖女との子供なわけ。んー、チビの何代前の大聖女だったかな~?初代か?」

ぬわんですとぉぉぉぉーー!!
突然の爆弾発言ですわ!

「で、俺は悪魔の素質と神子としての素質を持ち合わせて生まれた。父親に育てられて悪魔村で生活していたから表向きは悪魔だったけど最終的には自分でどちらかを選べるんだって聞いてな。でも何となく選ばないで中途半端な悪魔で生きてきたんだ」

「そうでしたのね......。アクアって凄い悪魔だったのですわねぇ......」

「いや~凄いのは俺の母親だな。大聖女なのに魔王と子作りするなんてよ。破天荒な女だったんだな~って。顔も見たことねーけどな」

「きっとカッコいいお母様だったと思いますけれど」

私の言葉にアクアは目を丸くしてから微笑んだ。

「チビのそーゆーとこな。俺は3歳のチビに出会って惚れた。この女となら一生添い遂げられると思った。まあ、3歳だといっても中身は18歳だったんだろう?2回目の人生だったんだもんな。そうじゃないと流石の俺も3歳児には惚れない」

「ふふふ。あの時からアクアはずっと私の中は子供じゃないと度々言っていましたものね。見抜かれていて私はヒヤヒヤしてましたけれど」

「ははは!よく『子供でちゅ!』って言ってたもんな!で、俺はチビの側に居たいが為に勝手に契約したわけだ。そしてチビの両親には全て身の上を話し、チビが成人したら俺も神子を選ぶから結婚させろと言った」

はは~ん。それですのね?お父様がアクアとの契約を了承した理由は。

「あっちの次元に居てチビが何歳になっていたか分からなかったからこっちに帰って来て直ぐに神子になったんだ。丁度16歳で良かったぜ?16歳で成人だろう?あっちとこっちでは時間の流れが違うんだ。寿命の長い悪魔には関係ないがチビは人間だからな、俺が帰ってきて婆さんになってたら目も当てられない」

「まあ!そうなんですの⁉︎時間の流れが!ん⁉︎そもそもですけれど何故あちらのジゲンにアクアは戻っていたのですの?」

私は前から疑問に思っていましたの。

「あの時、無理矢理チビとの契約を解約されただろう?悪魔は契約者から解約の呪文を受けて初めて契約終了になるんだ。無理矢理第三者から解約させられたら気が狂う奴が殆どなんだ。しかし俺は父親から聞いて知ってたのさ。そんな事が起きたら直ぐに元契約者から距離を置けと。1番安全なのは違う次元に飛ぶ事だってね」

「色々、対処法があるものなのですね!アクアのお父様は物知りですわ」

アクアがマリルに淹れてもらった紅茶を一気飲みしてから優しい微笑みで言いましたわ。

「だからチビの伴侶は俺な?」

「え⁉︎いえ、それは......」

「チビが3歳の時から親公認だったんだぞ?」

「私、恋とか愛とかまだ分からないのですわ。それにこれからこの国を立て直さないといけませんもの。何年かかるか分かりませんし......」

アクアが突然に私の隣に座ってきましたわ。そして私の手を取りニッコリ笑いました。

「恋とか愛とかこれからゆっくり育もうぜ?俺と。俺だけと。国の立て直しをしながらだって結婚は出来るしな。俺はチビに無理矢理は嫌なんだ。チビがきちんと俺を好きになってくれるまで頑張るから。覚悟しとけよ?」

頑張るなんてアクアの口から聞く事になるとは思っていませんでしたわ。

「ちょっと、アクア?近いですわ。もう少し離れて下さらないと」

「下さらないと、何だ?」

「殺しますわよ?」

アクアはガハハと大笑いして私から離れて立ち上がりました。

「本当にチビは面白い。お前に出逢えて俺は幸せ者だな」

幸せ者ですか。私も良い人々に囲まれて2回目の人生は幸せですわ。変態も混ざっていますけれど。いえ、変態ばかりですけれど?
ですがアクアのお母様が初代の大聖女様だったとしたらアクアって今何歳ですの⁉︎悪魔ってどれだけ長生きするのですの⁉︎そこ、確認しなければですわ。

「アクアはもう悪魔でなくなったという事は寿命も人間と同じになったのですの?」

「ああ、神子になった時に人間でいう20歳設定にしたからチビと一緒に歳をとるぞ?」

あ~、そうなのですね。

「よかったのですか?悪魔のままならまだまだずっと生きていられたのですよ?」

「お前なー。チビの居ない世界なんて興味ねーわ」

そうなのですね?人を好きになるって凄いのですわね。命を半分以上、いいえ、それ以上かもしれないのに捨てれるって......。

「分かりましたわ。私なりに考えてみます。アクア、私を好きになってくれてありがとうございます」

私は微笑みながらお礼を言いました。
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