無能とされた双子の姉は、妹から逃げようと思う~追放はこれまでで一番素敵な贈り物

ゆうぎり

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第一章 公爵令嬢の姉

5 姉として断罪されました

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 涙を浮かべた妹が、王太子にエスコートされ壇上にいる。

「私は姉の脅しに屈してしまったのです」

 そこから始まる言葉は、私が最下位クラスである為にその鬱憤うっぷんで妹を虐げ、今回試験結果を入れ替えるという暴挙に出たと言う事だった。

 もちろん、側で王太子も学園長も笑顔で聞いている。
 三年のトップクラスの生徒達も妹を励ますように、相槌や「マリアーヌ様頑張れ」などの声援を送っていた。

 因みにどのように入れ替えたのかは不明で、結果と今までの提出物が根拠となっていた。

 その提出物自体が私が作成したものですが。
 そんな言葉を飲み込んで聞いていた。

 これまで、自分の提出物をしっかりと納めても、試験がまともに点数とれていない、と私には補習が当然の様にありましたが、それは無視ですか。

 言いたい事は山ほどあったが、言った所で誰も信じないだろう。
 ため息も飲み込んで、冷たい視線を耐えていた。

「ここで、リディアーヌ・エイヴァリーズ公爵令嬢の退学を宣言する」

 私の申し開きを聞く前に、王太子が睨みながら宣言した。

「お待ち下さい。これは承服出来ません」
「待ってください。これは早計ではありませんか?」

 二つの異なった声が重なった。
 一つは試験を実施した王宮魔術師、もう一つは……クラス教師オルレンブルグ先生が声を上げていた。

「これはこれは……リディアーヌ・エイヴァリーズは二人の協力者に恵まれていたのですね」

 不気味な学園長の声が第一演習場に響いた。

「意外と巧みだったが、やっと尻尾を出したか。色仕掛けはその体では無理だから、権力か金か。全く無能に肩入れする気持ちが私にはわからんよ」

 会場内がざわめきながらも、学園長が言った事がまるで真実かのように受け止められた。
 二人の反論などさせる気がないのか、矢継ぎ早に話を進める。

「学園長として、王族として宣言しよう。大人である二人は、令嬢を正しく導く事を怠り加担した。学園への永久立入禁止とし、この国からも即刻出て行ってもらおう」

 私に比べて、誰もここ迄の処分になるとは思っていなかったのだろう。
 第一演習場は静まり返った。


 私の退学処分は、これからも妹の提出物を片付け筆記試験を代わりに受けさせる為だろう。
 二人の処分は、多分都合の悪い事を知ってしまったから。

 私は、二人に悪い事をしてしまったと罪悪感に囚われた。


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