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国境へ
8 さて、どうしたものか(後編)
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この街に着き商人連合や取引商会に顔を出てきたが、話をしていると話題の一つとして必ず上がっていた。
今話題のリディアーヌ・エイヴァリーズ公爵令嬢。
「だが、信じられるか?公爵令嬢が消えて十日以上経っているという。お付き一人いない状態で、令嬢が生活しているなんてありえないだろう?」
「だが、実際ここにいる」
そう、リディは今私達といる。
「距離もおかしい。早馬じゃないんだ。馬車にかなり慣れた者でも厳しいぞ」
「あぁ、そうだな」
馬の状態もよく、とても元気だ。
「確かに髪の色も瞳も同じだが、見た感じの歳が違う。それに態度も噂と違う。聞いた限りでは、わがままな無能な令嬢だ。あの子のどこにそんな要素がある」
髪は薬草で色が少し着いていたが、オシャレを始めた平民の女の子なら、遊びでよくやる事だろう。
服も上質だがとても質素で、わがままな貴族らしくない。
私は否定をすれば、現実もその通りになるとばかりに、自然と声が大きくなっていった。
「気に入ったのは分かったから、少し落ち着け」
興奮しだした私に、ブノーが肩に手を置き制した。
そして、備え付けの水差しからコップに水を入れ、渡してくれた。
「よく、ここまで無事だったよな。あれだけの上玉だ。悪党に目を付けられたら一溜りもない」
ブノーは関心したように言うが、でも本当にそうだな。
「まるで人形の様だからな。魔術で固めて、置物として飾ろうという奴が出てきても、私は驚かないさ」
今を切り抜いて……嫌な想像をしてしまった。
私達はゆっくりと水を飲み、これからのリディの事を話し合った。
「それにしても、今回のリディの捜索。変だと言う者も多いんだ」
「……そうだな。本来こんな大掛かりにならないはずだ」
「貴族なら、追跡の魔術で探せないのか?」
高位貴族相手なら、いくらでも方法がありそうだ。
「リディは、魔力が低いらしいからな。無闇に魔術を使わなければ、分からないのだろう。あまりにも探し出せないから、誘拐の話も出ているんだよ。誰かが隠匿の魔術を掛けている、と考えたんだろうな」
国内であれば、見つけ出せるはずだと思っているのだろう。
それで国境での対応を、直接指導し強化か……
手紙の魔道具があるから、連絡だけで任せれば良いものを。
「ユーフルディア帝国にかなり派遣されたのは、魔道具を持ち出したからだよな?」
「それもあるが、あそこは闇組織の抜け道斡旋が有名だからな」
だから、オーリア国か……。
私は、コップの最後のひとしずくまで飲み干し、不安を口にした。
「リディは知っていると思うか?」
私が何を思っているのか、付き合いの長いブノーは瞬時に理解したのだろう。
予測した答えを、否定してはくれなかった。
「庶民用の簡易門が問題を起こし、閉鎖されたのが半年前だ。多分知らないだろうな」
この国では教会での魔力測定は、国の住民としての登録も兼ねている。
国境では、水晶で確認される事になる。
「たしか貴族は平民と違い、八歳で登録するんだったな」
簡易門が許された経緯は、国境の街ブルンデンとオーリア国の街が近く、互いがかなり良好な友好国との事での領地間での措置だった。
互いの行き来が多く、この水晶が置いていない唯一のところだったのだ。
色々と後で手続きや約束事はあるが、私も誰にも知られず国外に出るだけなら、そこを狙っただろう。
実際リディが知っているなら、凄い情報収集力だけどな。
地元のみが知り、利用するのもほぼ地元民だけだったから目零しされていたが、半年前に閉鎖された。
「オーリア国の権力者の紹介状とか、持っていると思うか?」
「どうだろうな、こればかりは聞いてみないと分からんだろう」
私達はどうしたものかと、頭を悩ませた。
今話題のリディアーヌ・エイヴァリーズ公爵令嬢。
「だが、信じられるか?公爵令嬢が消えて十日以上経っているという。お付き一人いない状態で、令嬢が生活しているなんてありえないだろう?」
「だが、実際ここにいる」
そう、リディは今私達といる。
「距離もおかしい。早馬じゃないんだ。馬車にかなり慣れた者でも厳しいぞ」
「あぁ、そうだな」
馬の状態もよく、とても元気だ。
「確かに髪の色も瞳も同じだが、見た感じの歳が違う。それに態度も噂と違う。聞いた限りでは、わがままな無能な令嬢だ。あの子のどこにそんな要素がある」
髪は薬草で色が少し着いていたが、オシャレを始めた平民の女の子なら、遊びでよくやる事だろう。
服も上質だがとても質素で、わがままな貴族らしくない。
私は否定をすれば、現実もその通りになるとばかりに、自然と声が大きくなっていった。
「気に入ったのは分かったから、少し落ち着け」
興奮しだした私に、ブノーが肩に手を置き制した。
そして、備え付けの水差しからコップに水を入れ、渡してくれた。
「よく、ここまで無事だったよな。あれだけの上玉だ。悪党に目を付けられたら一溜りもない」
ブノーは関心したように言うが、でも本当にそうだな。
「まるで人形の様だからな。魔術で固めて、置物として飾ろうという奴が出てきても、私は驚かないさ」
今を切り抜いて……嫌な想像をしてしまった。
私達はゆっくりと水を飲み、これからのリディの事を話し合った。
「それにしても、今回のリディの捜索。変だと言う者も多いんだ」
「……そうだな。本来こんな大掛かりにならないはずだ」
「貴族なら、追跡の魔術で探せないのか?」
高位貴族相手なら、いくらでも方法がありそうだ。
「リディは、魔力が低いらしいからな。無闇に魔術を使わなければ、分からないのだろう。あまりにも探し出せないから、誘拐の話も出ているんだよ。誰かが隠匿の魔術を掛けている、と考えたんだろうな」
国内であれば、見つけ出せるはずだと思っているのだろう。
それで国境での対応を、直接指導し強化か……
手紙の魔道具があるから、連絡だけで任せれば良いものを。
「ユーフルディア帝国にかなり派遣されたのは、魔道具を持ち出したからだよな?」
「それもあるが、あそこは闇組織の抜け道斡旋が有名だからな」
だから、オーリア国か……。
私は、コップの最後のひとしずくまで飲み干し、不安を口にした。
「リディは知っていると思うか?」
私が何を思っているのか、付き合いの長いブノーは瞬時に理解したのだろう。
予測した答えを、否定してはくれなかった。
「庶民用の簡易門が問題を起こし、閉鎖されたのが半年前だ。多分知らないだろうな」
この国では教会での魔力測定は、国の住民としての登録も兼ねている。
国境では、水晶で確認される事になる。
「たしか貴族は平民と違い、八歳で登録するんだったな」
簡易門が許された経緯は、国境の街ブルンデンとオーリア国の街が近く、互いがかなり良好な友好国との事での領地間での措置だった。
互いの行き来が多く、この水晶が置いていない唯一のところだったのだ。
色々と後で手続きや約束事はあるが、私も誰にも知られず国外に出るだけなら、そこを狙っただろう。
実際リディが知っているなら、凄い情報収集力だけどな。
地元のみが知り、利用するのもほぼ地元民だけだったから目零しされていたが、半年前に閉鎖された。
「オーリア国の権力者の紹介状とか、持っていると思うか?」
「どうだろうな、こればかりは聞いてみないと分からんだろう」
私達はどうしたものかと、頭を悩ませた。
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