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「わかって頂けましたか?」
カリンは何度目かになる確認をしてみた。
もう流石にわかっただろうと婚約破棄の書類を片付け、代わりに結婚に伴う準備に掛かった費用の明細や父親の書斎から掻き集めた借用書類の束を出した。
厚みが凄い。
ずっと俯き、苦虫を噛み潰したような顔をしていたハマー伯爵は何を思ったのかニヤリとした。
「あぁターナー伯爵を無視してしまっていたな。貴公も会話に入らないか。そうだ二人で婚約証書を作成しよう。ちと書類の数は多くなるが、家長同士子供の為には手間を掛けてやらねばな」
カリンを言いくるめられないと思ったのかハマー伯爵はターゲットを露骨に変えてきた。
もちろんカリンはそんなことを許すつもりはない。大体婚約は婚約する本人の署名も必要だ。
これはつまりカリンに署名が出来ない状態になれと言っているようなものだった。
ハマー伯爵はその辺りの事をわかっているかは知らないが、ターナー伯爵は理解出来ているようだ。かなり冷たい顔をしている。
そっとカリンは父親の顔を確認して安堵した。
「確かに子供の結婚の決定は家長の権利でしょう。それは認めます。私が誰かと結婚する際、ターナー家から嫁ぐなら父の許しが必要ですもの。でも既に婚約破棄したハマー家には一切関係がないことです。書類作成などそれこそ『何の意味もない』事に時間をかける必要はありませんわ」
カリンはばさりと書類の束から十数枚抜き出した。
「将来の結婚相手として行っていた両家での借用関係は後日両家長で話し合って頂いてもいいのですが、せめて結婚準備に掛かった費用の話は片付けましょう」
王都での式場、会場のキャンセル費用。招待状と婚約破棄になり、中止になった為の詫び状やお知らせ。それに掛かった用紙の費用、配送費用等々。
カリンは結婚の4か月前には式場を決め、会場を決めた。その際の警備を学園を通して騎士団に依頼し、招待状も作成した。既に招待状の返信は何通も届いていたりする。
通常は6か月前位には決まっているのが一般的だが、オリバーが非協力的でなかなか捕まらなかったのだ。
王都での結婚は初めての二人の共同作業として、結婚当人が取り仕切る。準爵位を授けられているものなら当然しなければならない。社交を兼ねての顔見せである。
領地での結婚はまた改めて嫁ぐ領地で領民に祝われながら盛大に行う。こちらは両家で行う為カリンは詳しく知らされていない。
とにかく、カリンは通常貴族が行う一般的な手順よりも少し遅くではあったが、順調に準備を進めていた。費やした費用は婚約破棄したハマー家が支払うべきだと考えていた。
オリバーが6か月前の準備に非協力的な時に『婚約破棄』をしてくれたのならこの手間はなかっただろうとは思いながら。
「まだ、認めていない!」
「決定事項です」
『ああー、もう執拗い!』
カリンは心の中で舌打ちをしながら周りを見た。
確実にハマー家側とターナー家側では温度差があった。
「それなら……それなら私の土地を返せ!!」
ブルブルと怒り狂いながらハマー伯爵は言った。
あぁ、やっぱりこうなるのね。呆れながらカリンはハマー伯爵を冷めた目で見つめ続けた。
カリンは何度目かになる確認をしてみた。
もう流石にわかっただろうと婚約破棄の書類を片付け、代わりに結婚に伴う準備に掛かった費用の明細や父親の書斎から掻き集めた借用書類の束を出した。
厚みが凄い。
ずっと俯き、苦虫を噛み潰したような顔をしていたハマー伯爵は何を思ったのかニヤリとした。
「あぁターナー伯爵を無視してしまっていたな。貴公も会話に入らないか。そうだ二人で婚約証書を作成しよう。ちと書類の数は多くなるが、家長同士子供の為には手間を掛けてやらねばな」
カリンを言いくるめられないと思ったのかハマー伯爵はターゲットを露骨に変えてきた。
もちろんカリンはそんなことを許すつもりはない。大体婚約は婚約する本人の署名も必要だ。
これはつまりカリンに署名が出来ない状態になれと言っているようなものだった。
ハマー伯爵はその辺りの事をわかっているかは知らないが、ターナー伯爵は理解出来ているようだ。かなり冷たい顔をしている。
そっとカリンは父親の顔を確認して安堵した。
「確かに子供の結婚の決定は家長の権利でしょう。それは認めます。私が誰かと結婚する際、ターナー家から嫁ぐなら父の許しが必要ですもの。でも既に婚約破棄したハマー家には一切関係がないことです。書類作成などそれこそ『何の意味もない』事に時間をかける必要はありませんわ」
カリンはばさりと書類の束から十数枚抜き出した。
「将来の結婚相手として行っていた両家での借用関係は後日両家長で話し合って頂いてもいいのですが、せめて結婚準備に掛かった費用の話は片付けましょう」
王都での式場、会場のキャンセル費用。招待状と婚約破棄になり、中止になった為の詫び状やお知らせ。それに掛かった用紙の費用、配送費用等々。
カリンは結婚の4か月前には式場を決め、会場を決めた。その際の警備を学園を通して騎士団に依頼し、招待状も作成した。既に招待状の返信は何通も届いていたりする。
通常は6か月前位には決まっているのが一般的だが、オリバーが非協力的でなかなか捕まらなかったのだ。
王都での結婚は初めての二人の共同作業として、結婚当人が取り仕切る。準爵位を授けられているものなら当然しなければならない。社交を兼ねての顔見せである。
領地での結婚はまた改めて嫁ぐ領地で領民に祝われながら盛大に行う。こちらは両家で行う為カリンは詳しく知らされていない。
とにかく、カリンは通常貴族が行う一般的な手順よりも少し遅くではあったが、順調に準備を進めていた。費やした費用は婚約破棄したハマー家が支払うべきだと考えていた。
オリバーが6か月前の準備に非協力的な時に『婚約破棄』をしてくれたのならこの手間はなかっただろうとは思いながら。
「まだ、認めていない!」
「決定事項です」
『ああー、もう執拗い!』
カリンは心の中で舌打ちをしながら周りを見た。
確実にハマー家側とターナー家側では温度差があった。
「それなら……それなら私の土地を返せ!!」
ブルブルと怒り狂いながらハマー伯爵は言った。
あぁ、やっぱりこうなるのね。呆れながらカリンはハマー伯爵を冷めた目で見つめ続けた。
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