東京で、ある男との記憶帳

koohsei

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前書き:僕に触れた男たちへ

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東京に来て、もうすぐ十年になる。

長いようで短くて、その間に学校へ通い、試験を受け、引っ越しを重ね、恋をして、友情を築き、孤独に沈み、そして欲望に身を任せた。

この十年で本当に僕の中に残ったものは、「誰と肌を重ねたか」という記憶だ。

誰に抱かれ、誰を抱き、誰の吐息を喉の奥で受け止め、誰の指が僕の中を這ったのか。
誰を濡れた夜に押し倒し、そのまま涙を流させたのか。

これは官能小説ではない。僕自身の身体が記憶している、ある種の記録だ。
誰に抱かれたか、僕は忘れない。

東京で出会った男たちは、何百人にもなる。だが、誰でも書くわけではない。
僕の身体を通っていった人、僕に欲望を呼び起こした人だけを、ここに残す。
たとえ、それが言葉の中だけだとしても。

僕は覚えている。あの喘ぎ、匂い、体勢の変化、そして絶頂の瞬間に浮かぶ表情。
快楽が過ぎ去った後にも、身体に残る何かがある。
だから書く。熱くて、でも冷めていない。汚れていて、でも嘘じゃない。

僕は、綺麗事を言うつもりはない。
ただ、事実を描きたいだけだ。

僕は欲望に正直だ。
舐められるのが好きだし、舐めるのも好きだ。
抱かれることも、抱くことも、どちらも好きだ。

だけど、すべての性愛が記録に値するわけじゃない。
記すのは、ただ「確かに深く響いた」そのときだけだ。

このシリーズは、連作短編として少しずつ公開していく。
全て実話をもとにしているが、読みやすくするために文体を整えた。

あるときは短く激しく、あるときは長くじっくり。
あるときは僕が受け手で、あるときは与える側だった。

あなたが東京にいるなら、あるいはかつて誰かと夜を重ねた記憶があるなら、
この文章が、あなたのどこかと響き合うかもしれない。
読みながら、ふと自分の身体が覚えている夜を、思い出すかもしれない。

それでいい。
それが、この記録の意味だ。
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